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三人の強さ

「ふぅ~~」


濡れた髪をかき上げる。


「しかし思い切ったことをしましたね」


ラインハルトが言っているのは火の壁に突っ込んだことだ。


「しかし特大の『水球弾(ウォーターボール)』で自分ごと『火壁(ファイアーウォル)』に突っ込みますか…」

「本当よ、普通火の壁を突き抜けるとは思わないわよ…」

「まぁな、お前のユニークスキルだと左右どちらに通ってもまた距離を取られると思ってな」


今回の枷だと俺がセレナを追い詰めるのは長くかかりそうだったのであのような方法を取ることにした。


「しかし、接近戦にも怯まない様になっていた………頑張ったな」

「!!!!」


セレナはうれしそうな顔になる。


「じゃあ次は……三人でいい感じになるか?」


俺は緊張している三人を見る。


「そうですね、バアル様は武器を木製にして魔法とスキルを禁止でしたら……………ちょうどいいかと」


ということで


カルス&ノエル&カリンVS俺(ユニークスキル×魔法×スキル×武器訓練用木製槍)


となる。





ブン、ブン


「うん、いい感じだな」


訓練用の槍を削り俺の体格に合うようにした。


「そっちは準備いいか?」

「はい」


カルスが元気よく返事をする。


だが残り二人は少し気まずい顔をしている。


(まぁ雇い主を好んで殴る奴なんていないからな)


二人の気持ちは少しだけ理解できる。


「遠慮することはない、存分に力を見せごらん」


そう言うと少しだけ堅さが無くなる。






「では、はじめ!!」


ラインハルトの合図で始まる。


「はぁ!」

「たぁ!」


まず最初にカルスとカリンが襲い掛かる、だが腕前はそこまででもないので二人の剣を躱すのは容易い。


ちなみに装備はカルスが剣と短剣、ノエルが二本の短剣、カリンがラインハルトと同じ双剣となっている。


まずフォーメーションとしては前をカルスが受け持ち、後ろをカリン、そしてノエルが遊撃で様々な方面から攻撃を仕掛けてくる。


カツン×2


「やぁ!」


カルスとカリンの攻撃を同時に受け止め、槍が動かせないタイミングでノエルが仕掛けてくる。


「ほっ」


瞬時にカルスの剣の柄を蹴り、剣を飛ばし、槍を回転させてカリンの剣を受け流し、次にノエルの短剣を受け止める。


「うん、悪くない」


リンのように幼いころから鍛えたでもなく、セレナのような知識があるわけでもない、この三人はある意味で普通だ。


「っノエル、カリン」

「わかった」

「了解」


遂に三人はユニークスキルを発動させる。


カルスとノエルは指先から紫色の糸が、カリンは足が赤色に光る。


(カリンのユニークスキルは初めて見たな)


カルス達よりは能力に幅はないが充分使い勝手がいいスキルだと聞いている。


「っと」


考え事をしていると糸が迫ってくる。


(拘束でもされたらさすがに厄介だな)


手加減された状態だと拘束されて、大人数で囲まれるとさすがに負ける……かもしれない。


「ふっ」


槍で迎撃するが、時折針のように固くなるので始末が悪い。


(……これがバベルとかだったら折れる心配もないんだけどな)


今は木製の槍を使っており、負ける条件が戦闘不能状態になったら。


これには武器の消失も含まれている。


(俺があいつらの武器を壊してもあいつらはまだユニークスキルが使えるしな…)


程よく手加減するのもなかなか骨が折れる。


(あれ、カリンは…)


考える前に腕が動き右側頭部を守る。


ドン


そしてそこに衝撃が与えられる。


「そんな!?」


いつのまにか移動したカリンがスカートを翻しながら飛び蹴りしてきた。


「気づかなかった」


少し目を離したすきにここまで迫れるとは思わなかった。


「……速度上昇か」


カリンのユニークスキルはこれ一点に限られる。


もっと言うと足の限定的かつ飛躍的強化だ。


この世界の速度はAGIに依存しているのではない、前世の通り足の筋力や走りのフォームといった理にかなった理屈になっている。


敏捷性(AGI)は物事に関する認知速度、例えば時速150キロのボールは目で追えない人が、AGIのステータスを上昇させることによりそれが可能になるといった具合だ。


ただ、それは見えているだけで動けるわけではない。


動くには筋肉(STR)や体を支える耐久力(VIT)が必要になり、敏捷性(AGI)のみでは全くと言っても意味がない。


(ゲームみたく極振りのステータスだと一発で詰むからな)


ほどよくステータスを割り振るのがこの世界では強いとされている。


思考を戻しカリンを観察する。


(ラインハルトよりも攻撃の幅が広いな)


双剣に加えて、不規則な足技を組み入れてくる。


さらには跳躍力も強化されているので俺の真上を飛び越えるなんてこともできている。


(さらに厄介なのが…)


カリンの攻撃の合間に襲ってくる縦横無尽の糸だ。


二人はカリンに合わせて糸の攻撃を仕掛けてくる。


(コンビネーションは合格、あとは個々の力だな)


と言うことでこっちからも打って出る。


「ふっ」

「!?」


糸を薙ぎ払うのを意識しつつ、突きではなく体を中心に槍を回転させながらながれるように連撃を与える。


カカン、カン、カン、カン、カン!


右に打ち付け、すぐさま反対側に槍を回し、そのまま勢いを付けて左から殴打する。


また合間を与えず回転させて、次に槍の長さを調節し、もうひと回転し勢いを付けてまた右に強打する。


「ぎゅ!?」


そのまま少し転がりカリンは気絶する。


(一人は終わり、次は…)


カリンを見て動きを止める二人。


(戦闘中にそれはダメだ)


すぐに二人ははっとするが既に俺はノエルに迫っている。


カン、カン


「きゃ!?」

「そこまで!!」


短剣を弾き飛ばし、ラインハルトはノエルを戦闘不能とみなす。


「最後にカルスだな」

「……ふぅ~~」


カルスは覚悟を決めた目をする。


「じゃあ行くぞ」

「ん!?」


カン!!!


突きは短剣で防がれ、剣を振るう。


カン!


すぐに槍を引き戻し受け止めと同時に、身を捩りそのまま槍を回転させて胴体に打ち付ける。


だが


「『武装糸』、っが!?」

「おっ」


打ち付けた胴部分には紫色の糸が集まり鎧となっている。


「はぁ!!!!」


懐に入られた状態なので槍で剣を防ぐことはできない。


なので槍を手放しすぐさま距離を取る


「おぉぉ~~」

「っ~~~まだ!ま、だ…」


カルスは追撃に入ろうとするのだが、腹部を押さえて倒れこむ。


「……もう起きれないか」


最後の最後でしてやられた、カルスが倒れなければ戦闘続行不能ということで俺が負けていた。


「(予想より強くなっているようで何より)さて『慈悲ノ聖光』」


バベルを取り出しここにいる全員を癒す。


この場にいる全員の傷が癒え、気絶している者も目を覚ます。


「さて、お待たせ」

「いえ、体が温まったようで何よりです」


最後にリンの相手をする。

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