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立っている者は働けない者でも使え

「バアル様は孤児院をよく気にしますね」


背後にいたリンがお茶を入れてくれる。


「まぁね、実は結構様々なことに使えるんだよ」

「様々なこと、ですか」

「そう例えばだな」


本来は金を払い人を動かす部分のうち、子供ができる部分を奉仕活動という名目で働かせてもいい。


これだけでも公費をある程度削減できるからだ。


「…うわぁ~~~」


セレナが引いた声を出すが気にしない。


他には老人の再就職先にできることだ。


年老いて畑仕事や家事ができなくなった老人を集めて子供たちを世話させればいい。


「もちろん、賃金は安くなるが働けるだけましだろう」

「「………」」


二人はさらに引いた目をしているがこれは救済の面しかないのだ。


少し前までは姥捨て山のようなことを平気でする村もあったくらいだ。


それでいうと邪魔ものを引き取り簡単な仕事をさせて給金を与える、十分社会の役に立てているだろう。


「そういわれると」

「そう……思います」


二人も何とか納得してくれた。


「他にも将来の労働力の確保だったりと様々な恩恵があるからな、それを教会の連中にやるなんてもったいない」


もちろん最初は出費しかない、だが後々に帳消しになるほどのリターンが戻るのなら苦ではないさ。


そう考え笑っていると次の客が案内される。







本日最後の来客が終わる。


「疲れた」


父上じゃないけどだらけたくなる。


「お疲れ様です」

「ああ」


リンの用意したお茶を飲む。


「しかし、かなりのお客さんが来ましたね」

「……だな」


農業担当の役人が今年の作物の割り振りを聞いて来たり。


俺が立ち上げた銀行、ゼブルスバンクの総支配人が新しい銀行の立ち上げ場所を聞いて来たり。


商人ギルドのお偉いさんがゼブルスバンクで使用している生体認証の魔道具を何とか卸してほしいと相談しに来たり。


果ては御用達商人から新年の贈り物のお返しの品の相談に乗ったりとやたらに忙しかった。


「バアル様、銀行なんてものも立ち上げていたんですね」


セレナが純粋な疑問なのか聞いてくる。


「まぁな、犯罪悪化の抑止力となればと思い設立した」


俺が作ったゼブルスバンクは、孤児院と同時期に設立したものだ。


役割は預金、引き出し、為替の3つのみ。


さすがに融資や出資などの業務は現状のところ出来ないと判断し断念。


なので預金利息などは設定していない。


あくまで公的に金銭を管理する場所と言う名目で立ち上げた。


「衛兵を見回りなどさせているが盗賊がいなくなることはまずないからな」


もちろん、魔道具を使用してサーバーを用意してすべての口座の情報を管理できるようにもしている。


しかも生体認証で照合できるようにしてあるので、防犯上もばっちりだ。


おかげで商人ギルドに目を付けられたけどな。


(ギルドからしたら喉から欲しい技術だしな)


だがさすがにこれはそこまで広めるつもりはない。










数日掛けて予定していた面会がすべて終わった。


「はぁあ~~~~~~」


背伸びをして凝り固まった体をほぐす。


「……久しぶりに体を動かすかな」


数日間ずっと机にかじりついていたので体が鈍くなりそうだ。


訓練場に移動する。


そこには騎士の他に俺の配下全員がいた。


「バアル様、書類は終わったのですか?」

「ああ、さすがに数日まともに動いてないからな、少し動こうと思って」

「ならば、久しぶりに手合わせしませんか」


リンは好戦的な表情で聞いてくれる。


「いいね~」


多分だけど、俺もかなり好戦的な表情をしているだろう。


ブルブルブル×4


そして視界の隅で少し震えている4人。


「となるとウォーミングアップがしたいところだが……」


ギロッ


ビクッ×4


「そういえば、訓練の報告は聞いているが、お前たちがどれくらい強いかは直接見たことはないな」

「では先に4人の力を見てみますか?」

「そうだな、そうしよう」


リンの提案を飲み、最初は4人と模擬戦することになった。

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