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毎回思うけど普通は仕事する年じゃないよね?

「それでそっちの進捗はどうだ?」

『順調……と言いたいけどそこまでではないね、やっぱり嫌悪感を抱いているエルフが多いね』


通信機でアルムと連絡を取っている。


「まぁそこは仕方ないだろう、アークたちが活躍したと言ってもすべてに浸透するとは思えないからな」

『だね、だけどこれで少しはエルフも外に目を向けてくれるさ』


多少の影響は出るから何ら問題ないと言う。


『それで魔道具は販売してくれるのかな?』

「もちろんだ、こっちとしてはそのために今回の件に協力したんだからな」


同じくガルバもそのために手伝っただけだ。


本来なら知ったこっちゃないと放置していたところだ。


ただリスクが低く、リターンがかなりでかいから手伝っただけに過ぎない。


「それでそっちは何を売るつもりなんだ?」

『それなんだよ、実は薬草の他に何を売ったらいいかまだ決まってなくてね』


そのためのアイディアが欲しいのだとか。


「何か特産になりそうなのはあるか?」

『特産か……果実かな?』

「果実?」


話を聞いてみるとノストニアは年中気候が変わらないので一定周期で果実が取れるのだそうだ。


「保存がきかないのがネックだな、ドライフルーツなら売れると思うが……ほかにはあるか?」

『あとは薬だったり、ノストニアの工芸品だったりだけど………』


エルフの生活を思い出すが素朴というか素材感が漂うような家具や工芸品しかなかった。


それが貴族に売れるかと言うと……


「がんばれ」

『ちょっと!他人事みたいにしないでよ!!』

「いや、俺があれこれ言うと内政干渉になりそうだからさ」

『待って待って』


それからも俺たちはお互いに何が欲しいのかを話し合う。










『そういえばウライトを覚えているかい?』


急に話が変わる。


「……あいつが何かあったのか?」


クラリスと共に洞窟に入ったのを覚えている。


『実はウライトが新しくできる町の長になるからさ、一応報告と思ってね』

「へぇ~あいつがか」


なにかを決意した気配を出していたから何かをするのは予想できていたが。


『それと、ルリィがローグに会いたいとわがままを言っていたぞ』


……たしかウニーア子爵のところで出会った子供だったな。


「へぇ~意外だな、攫われたんだから人族(ヒューマン)を怖がっていると思っていたが」

『間違ってないよ、でも、まぁ、会いたがっているんだ』


口には出さないが恋慕の情を持っているのだろう。


「了解だ、こちらでも少し手を打ってみるよ」

『頼むよ、毎日しつこく頼み込んでくるからさ』


……あれ?


「王太子であるお前に簡単に頼み込めるのか」

『なんだ知らなかったのか?ルリィの祖父は【青葉】の大樹なんだよ』


……つまりあれかグロウス王国で例えると、大臣の孫にあたるわけか。


それならアルムと顔見知りでもおかしくないな。


「わかった、ノストニアの要請ってことでローグを新しく作る街に呼ぶがいいか?」

『ああ、よろしく』


……グラスに連絡しておかないとな。


こうしてまたやることが増えた。











それから学園が始まるまで暇になる。


だがそれは普通の令息の場合だ。


俺の場合はイドラ商会やら行政やらを手伝っているので、普通に仕事が舞い込んでくる。


場合によっては父上よりも俺を頼ろうとしてくるやつまでいる始末………。


「で、孤児院は上手く稼働しているか?」

「はい、もちろんです」


俺の目の前にいるのはゼブルス領に全地域に配置してある孤児院の総責任者だ。


本来なら教会が孤児を引き取り育てるのだがこのゼブルス領だけは公共事業として孤児院を作り受け入れている。


これは俺が5歳の時に父上の権限を譲り受けて発足させたものだ。


「これが今年度の費用です」


提出された書類にはそれぞれの孤児院で養っている孤児の総数と年齢、食費、教育費、雑費、従業員の給金が事細かに書かれている。


「問題ないな、それで教会の反応は?」

「いい顔はされません、ですが我々ほど設備のいい孤児院を用意はできないので黙認しているようです」

「だろうな」


俺が運営している孤児院に入れば衣食住は保証されるし、設備もイドラ商会製の魔道具で充実している。


代わりにある程度の奉仕活動はしてもらうが、教育も十分にできる環境だ。


むしろ孤児じゃなくても入れたいという家族もいると聞く。


「ご苦労、これは監査部門に渡しておく」

「はい」


もちろん、定期的に役人に監査させている。


「話は以上か?」

「いえ、もう一点だけ。実は神光教が孤児に信仰を説きたいとおっしゃっているのです」


他の領なら教会と併設し、信仰を教え込むことができるがこの領はそれができない。


なので許可を取り信仰を説くしかできない。


「許可する、ただ無理に子供を捕まえて説いているならやめさせろ」

「わかりました」

「それでもう一つの方はどうだ?」

「ええ問題なく稼働しています」


孤児院のもう一つの役割は託児所だ。


指定した金額を払い子供を一定期間預けるというものだ。


「ただ、こちらはそこまで人気がないのですが」


まぁそうだろうな、金を払わずに家や近所に預けていれば済む話だからな。


まだ受け入れられないだろう。


あとは細々とした話をして総責任者は帰っていく。

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