援軍が加わり第二ラウンド
大爆発だった、僕はすさまじい衝撃で吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「げほっげほっ」
身体強化すら使えなかったらこの爆発で死んでいただろう。
「いや~冷やっとしたよ」
だがローブの男は未だにその場で立っていた。
「屋根を落として僕を下敷きにするのはいい考えだね、ただ、この力が無ければだけどね」
男の頭上では一番大きな瓦礫が傘となっている。
そのせいで全くと言っていいほどダメージを与えられてない。
対して僕は少なくないやけどを負っている。
「ここまで痛めつけると見た目が悪くなるな~」
男の俺を目る目は希少な生物を見る目だった。
「っっっっ」
動こうとしても体が言うことを聞いてくれない。
焼けた肌が痛み、関節が動きにくくなっている。
立ち上がるだけでも気を失いそうだ。
「きゃあ!」
ルーアさんもこちらに吹き飛ばされてくる。
「おっ、上手く加減できたみたいだね」
「ああ、だが少し腕前が上がっていた」
「魔法が使えないとなればそうなるのも当たり前だよ」
二人は軽口をたたき合う、僕たちなど眼中にないのだ。
「それじゃあ、バレるとまずいから気絶させて」
「了解だ」
近づいてくる足音が聞こえてくる。
「っ」
「もう終わりだ」
いつの間にかすぐ目の前にあの男が迫っていた。
「眠れ」
その言葉と共に拳が迫ってくる。
「アーク!!」
よこからルーアの声がするが駆け寄ろうとするが間に合わない。
「よくやった、アーク君」
頭上から声がするとともに何かが振り下ろされた音がする。
「……また邪魔が入ったか」
現れたのはラインハルトさんだった。
「どうして……ここが?」
「ん?さっきの爆発が目印じゃなかったのか?」
『いいかい、危険だと思ったらすぐさま目立つような行動をしなさい、そうすれば私がどんな時でも駆け付けますから』
思いがけないことに先ほどの爆発が合図となってくれた。
ラインハルトさんは約束をどおりすぐに駆けつけてくれた。
「ほらこれを飲んで」
するといつの間にか近づいていたガルバさんが何かを手渡してくれる。
「これは?」
「高級回復薬だよ」
瓶を受け取り、飲む。
すると傷が急速に癒えていく。
そしてかすかながら魔力も回復しているのがわかる。
「ありがとうございます」
「じゃあ頑張ってね、私には戦う力がないからこれぐらいしかできないけど」
「充分です」
僕は再び剣を取り構える。
「っち、子爵め、なんで邪魔が入ってんだよ」
「どうする?」
「………全員殺す、急がないと人目についてしまう」
「了解だ」
言葉が聞こえると主に先ほどとは違い、殺気が濃密になる。
「させないよ」
ラインハルトさんが双剣の男に向き合う。
「こいつの相手を私がしよう」
「……」
二人は共に双剣で構え合う。
「アーク君とルーアさんはそっちを相手にしてくれ」
そういうと二人の姿は掻き消え、金属音だけが響き渡る。
「ほぉ~あの状態になっても切り合えるなんてかなりの使い手だね」
視線の先では影が動いたと思ったらいくつもの金切り音が聞こえる。
「さて、じゃあこっちもやろうか」
僕とルーアさんは黒ローブに向き合う。
「二対一か~ここは正々堂々一対一でやらない?」
「どの口がそういうの!!」
ルーアが接近する。
「くっ」
例に漏れずルーアさんが浮き上がる。
だがその隙に僕が迫る。
「あんまり複数は得意じゃないんだけど……」
ルーアさんに向けていた手が僕に向けられる。
それと同時に僕の体も浮き上がる。
今回も地面に叩きつけられると思いきや中途半端な位置でまた落下していく。
「理解したわ、あなたのその力は一人にしか通じないのね」
「……どうだろうね」
着地後、何が起こっているか確認すると、ルーアさんが短剣で鍔迫り合いをしていた。
「形勢逆転ね」
「果たしてそうかな」
黒ローブは後ろに飛ぶとそのまま空に上がっていく。
そして体を反転させると屋根に着地する。
「僕は接近戦は強くないから考させてもらうよ」
そして腕をとある部屋に向ける。
その部屋は最初に僕たちが入った部屋で中には
「ほら避けられるかな!」
剣が、槍が、斧が、矢が雨のように飛んでくる。




