あの二人と再び
「!?ルリィ!!」
階段を下りた先には小さな檻があり、その中に縛られているエルフの少女がいる。
「おい、しっかりしろ」
気絶しているのかピクリとも動かない。
ローグは持っている短剣出檻の鍵を壊し、様子を確認する。
「ルリィ、ルリィ!!」
「う~、なぁに、うるさいわね」
起き上がるとローグに頭突く。
「って~なんだよ心配してやったのに馬鹿が!」
「ん~~……あれ?なんでローグがここに?」
今度は僕たちに視線が向く。
「同胞!?」
「そう、助けに来たわよ」
ルーアさんも中に入り拘束を解く。
「怪我はない?」
「はい、大丈夫です」
「そう……貴方、魔力を操作できる?」
「……できません」
どうやらアネットに嵌められていた首輪とおなじで魔力を使うことができないらしい。
「それじゃあ逃げるわよ」
長くここにいる必要がないためさっさと逃げるに限る。
階段を駆け上がり、部屋を出るのだが。
「!?」
ギィン!!!
飛んできた短剣をはじくルーアさん。
「やぁやぁやぁ、また会ったね~しょうね~ん」
「お前は!!!」
ノストニアに向かい最中に出会ったあの黒ローブがそこにいた。
「まさか、こんなところまでくるとはね~と言うことはかなりのところまで調べられているのかな?」
僕たちの通路を塞ぎ通せんぼしている二人。
「アーク、何とかして二人を逃がしたい」
僕は二人を見る。
確かに戦力でいえばルーア、僕のみだ。
ローグは戦闘手段を持ってないし、ルリィは魔力を封じられて戦えない。
対して相手はソフィアたちが居ても普通に勝てるぐらいだ。
「そうだね、ローグ、ここは僕たちが抑えるから逃げて」
「!?だがな」
「そしてオルドに伝えて、助けてって」
「!!わかった」
「させないよ」
ローブの男が腕を振ると荷物が浮き上がり退路を塞ぐ。
「っ!?」
二人は逃げ道を失う。
「そいつは返してもらうぞ」
「させないわよ」
双剣の男が二人を狙うが、ルーアがそれを邪魔する。
キィン!!!
澄んだ音が響き渡る。
「ルーアさん!」
「ついでにこれも『封魔」
「!?」
そういって腕を振るおうとするので、僕は走り邪魔しに行く。
「ほい」
「ぐっ!?」
腕が上に振るわれると僕の体が浮き地面に叩きつけられる。
(またか!?)
何が起こっているかが全く理解できない。
「邪魔しないでね~『封魔結界』」
結界が敷かれる。
出来ればこれだけは阻止したかった。
これじゃあ前と同じ状態に、いやもっと悪い状況だ。
「それじゃあ彼女は相棒がやってくれるみたいだし、僕は君の相手をするよ」
そう言うと腕が振るわれる。
「がっ!?」
今度は真横に吹き飛ばされ壁に激突する。
(なんなんだこれは、魔法は結界の中じゃ使えない、僕のユニークスキルも発動しない、なんなんだこれは!?)
思考が乱れる、矛盾したことが起こっている。
「かはっ」
「君も高値で売れそうだから傷つけたくないんだけどな」
また腕を振るおうとする。
「やめろ!!」
横からローグが何かを投げつける。
「邪魔しないでよ」
腕を軽く振ると天井まで行って破裂する。
「っ」
「君は要らないね」
今度はローグに向けて腕が振られる。
「!?」
かなりの速さで壁に叩きつけられるローグ。
「うぅうぅぅぅ」
激突したローグはまだ息がある。
「もう一回かな」
もう一度振ろうとするのだが。
「ローグはやらせないわ」
ルリィが庇うように立ちふさがる。
「……しかたない、そこで動かないならば命は助けるよ」
そう言うと再びこちらに腕を向ける。
「気絶してくれれば簡単に済むんだけどな」
そう言うと再び浮遊感に見舞われる。
今度は長く、目を開けると屋根まで届く。
「あがっ!」
屋根に叩きつけられて、そのまま落下していく。
「かはっ!」
地面に叩きつけられると肺の中の空気がすべてなくなるのがわかる。
「手も足も出ないだろう、なら降参してほしいんだけど、怪我が多いと金額が下がるんだよね」
「はぁーーーーはぁーーーー、しない」
「じゃあ素直になってもらうため、しつけが必要だね」
するともう一度屋根に向かって打ち上げられる。
(ここだ!!)
亜空袋からある物を出す。
実は先ほど屋根に叩きつけられたときにある物に気づいた。
先ほどローグが投げたのは小麦粉の麻袋だったのだ。
それが天井に叩きつけられて破裂し、天井に充満している。
そしてその場所はちょうどローブの男の真上だった。
それと僕が取り出したのは火の魔石だ、これを屋根に向けて思いっきり投げる。
魔石が屋根にぶつかると砕け、炎が生み出される。
そしてその結果巻き起こるのは
ボォォオオオオン!!!!!!!




