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(ほんと、この子たち悪運が強いね)

「でっかいね~」


僕たちは新しく建てられた倉庫の前に来ている。


「君たちは依頼を受けてくれた子かな?」

「はい」


僕たちは依頼票を見せる。


「じゃあ君たちはこっちの荷物を運んでね」

「「「「「はい」」」」」


馬車に積んでいる荷物を僕たちは運ぶ。


「どう、ルーア、何か見つかった?」

「……ええ」


どうやら話しにくいことのようで倉庫内の死角で話を聞く。


「ノストニアで出会った二人は覚えているわね」

「……もちろん」

「その二人が近くにいるわ」

「!?」


思わず周囲を見渡す。


「ここには居ないわ、あくまで荷物にこびりついている魔力に二人のがあるのよ」

「じゃあこの荷物をどこかで触った?」

「ええ、しかも鮮明に残っていたから結構最近よ」


これには言葉も出ない。


つまり少なからずこの領地にあの二人が来ていた証明になる。


「とりあえず作業を終わらせよう、僕もできるだけ調べてみるから」


と言うことで作業に戻る。











それから何かないかと注意して作業するが、結局、今日の分が終わるまで何も見つからなかった。


「はい、じゃあ、ありがとうね」

「はい」


依頼票にサインをもらうとギルドに戻る。


「ほとんど手掛かりがつかめなかった」


分かっていたけど、依頼でつかめたものは二人の痕跡だけだった。


「とりあえずラインハルトさんに報告しようぜ、明日子爵に挨拶に行くみたいだし、何か掴めるんじゃないか?」


ということでギルドにクエスト報告に行く。



「はい、ご苦労様、坊やたち、これが報酬よ」


受付のお姉さんから銀貨6枚を受け取る。


「しばらくはあの依頼が出てくるから、もしよかったら今度も受けてね」

「機会があれば」

「だな一日で銀貨一枚はおいしいしな」


Gランクのクエストはせいぜいが大銅貨が出てくかどうかだ。


それに比べたらうまいなんてもんじゃない。


ヒュン


「じゃあもど、ッタ!?」

「グエ!?」


ギルドを出ようとしたオルドが外から入ってきた人とぶつかった。


「って~なんだよ急に」

「お前こそどこをみてんだ」


オルドとぶつかったのは僕たちとさほど変わらない少年だった。


「ああ?ぶつかっといてその態度かあぁあ?」

「同じ言葉を返してやるよ、馬鹿が」


両者とも引かずにメンチを切る。


(あ~あ~オルドの悪いところが出た)


言い方は悪いがオルドは町のチンピラのようなところが多々ある。


(根はやさしいって事は分かるんだけど………これさえ治ればな)


と思っていると剣呑な雰囲気が漂ってきた。


「ちょっと~」

「そこまでにしてくれ」

「そうです出口で暴れたら迷惑ですよ」

「なんだ!……と……」


オルドと喧嘩しようとしていた少年はソフィアたちを見ると固まる。


そしてオルドと肩を組むと。


「どういうことだ?お前みたいのにあんなかわいい子たちが」ボソッ

「てめぇ喧嘩売ってんのか」

「だって考えてみろ、どう考えても不良のお前じゃあの子たちと釣り合わねえだろう?」ボソッ

「なぁ、本当にその口閉ざしてやろうか」


すると少年はソフィアたちに向き合う。


「こんばんわ、すみませんねこっちの不注意で、お詫びに食事でもどうですか」

「いえ、あの、今から宿に戻るので」

「おや、では俺が見送りますよ」

「え、いや、大丈夫です」

「遠慮せず」


「おい」


今度はオルドが少年と肩組む。


「うちの奴らを困らせるんじゃねぇよ」

「なんだお前の恋人でもいるのか?」

「……いや、いねぇけど」

「なら、そういわれる必要はないな」

「あいつらは困ってんださっさと失せろ」

「なんにもないなら邪魔すんな」


僕は呆れた目で二人を見ていると後ろから服を引っ張られた。


「………アーク」

「どうしたの?」

「あの子エルフと接触しているわ」

「!?」


思わず少年のことを見る。


「しかも警戒の色じゃない」

「……どういうこと?」

「わからない、けどあの子がエルフと接触したのは確かよ」


どういうわけかわからないけどとルーアさんは言う。


「なぁ頼むよ」

「やめろ、引っ付くな」

「ほら、強敵と戦った後、友になるだろう?」

「戦ってもいないし、お前とダチになんてなりたくねぇよ」


少年は何とかソフィアたちと近づこうとする。


そしてオルドがそれを防いでいる。


「(……なら)あの、君は僕たちに謝罪としてご飯に誘いたいんだよね」

「そう、あ、でも男は要らないから」


ブチッ×2


せっかく助け舟を出そうとしている僕とうっとおしくなってきたオルドからなにかが切れた音が聞こえた。


「アーク」

「あ……うん………分かっているよ」


ルーアの声で正気を取り戻す。


声が掛からなければオルドと一緒にこいつを蹴飛ばしていたかもしれない。


「ふぅ~~~、ソフィアたちをご飯にさそうなら絶対に僕たちはついて行くよ、それでもいいなら考えるけど」

「……………仕方ないか」


上手く席を分ければ一人くらいうんぬん、と少年つぶやく。


「じゃあ、早速行こうか!!」


そういってソフィアの手を引こうとする。


「少し待って、せめて宿に荷物を置かせて」

「わかったよ、俺も報告があるからギルド前で待ち合わせだな」


そう言うと少年はギルドの中に入っていく。


「なんだ、あいつ」

「さぁ~?」


カリナとリズはあいつ興味はないみたいだ。


「アーク、なんで話を受けたの?」


ソフィアが少し怒りながら詰め寄ってくる。


「別にあの人の話に乗る必要はなかったのでは?適当にあしらって宿でラインハルトさんと今後について話し合わないと」

「それがね―――」


ルーアはあいつにエルフの魔力が付いていたことを説明する。


「なるほど」

「だから少し彼を探りたいのよ」

「……私たちを囮に使って、ですか」


げんなりとした表情でソフィアは言う。


王都でもこのような事が度々起こるのでめんどくささを理解しているのだろう。



急いで宿に戻りラインハルトさんに報告する。


「……君たち、引きが強いね」


僕たちの報告を聞くと呆れながらにその言葉が出た。


「わかった、けどあまり遅くならないようにね」


ということで許可をもらい、僕たちはそのままギルドにトンボ帰りする。

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