蹂躙とジャストタイミング
土の手が崩れて拘束が解かれる。
「おし、やっちまえ!」
「「「「おおおお!!!」」」」
「ゴミが、数をそろえれば何とかなると思ったら大間違いよ!!」
振るわれた剣を避けると殴り飛ばす。
「へ、こんなガキに吹き飛ばされ、ッグパ」
殴られた男は起き上がろうとすると大量の血を吐く。
「他にこうなりたい奴はいる?」
すると先ほどまで粋がっていたごみは動きを止める。
「うろたえるな、奴らに使えるのは身体強化ぐらいだ、遠距離から攻撃しろ!!」
その声に従いゴミは弓や投石などで攻撃してくるようになった。
「『刃布の舞服』」
飛んでくる矢や石を振るった袖で弾き飛ばす。
「ウライト」
「わかってます」
ウライトは弓を構えて速射をする。
「が!?」
「う!?」
「痛ぇ!?」
腕を射抜き遠距離の攻撃をできないようにする。
「クラリス様、矢はこれで最後です」
道中の百足の大群で消費されており、そこまで弾数は無い。
ウライトが矢を撃ち切ると剣を取り出し、接近戦に移動する。
「近づいてくるぞ!?」
「こっちの方が数は多い、囲め!!」
私たちはそれぞれ囲まれ動けなくなる。
「こういった時のための手段もあるのよ『赤ノ演舞』」
「なんだ~」
「はっ、服に模様が入っただけじゃないか」
侮っている声が聞こえる。
「なら試してみれば!」
目の前にいるゴミを吹き飛ばす。
「「もらった!!」」
すると後ろにいる二人が切りかかるが。
ボォウゥゥゥ!!
「「ギャアアア!?」」
背中から炎が噴き出て二人のことを焼き殺す。
「今回は模擬戦じゃないから遠慮なく使えるわね!」
するとごみ共がうろたえる。
「ど、どうしてだ!?」
「魔法は使えないんじゃなかったのか?!」
事前にルーアからこの結界のことは聞いていた。
(予想どおりね)
この結界は体外での魔力操作を阻害する機能がある。
それゆえに精霊魔法などが使えなくなる。
だが逆を言えば体内での魔法はそのまま使用することができる、さらに『赤ノ演武』のように体の表面で発動させることもできなくはない。
(でもやっぱり全力とは程遠いわね)
本来なら一瞬ですべてを灰にするほどの炎が噴き出るはずなのに、ギリギリ焼き殺すほどしか出ていない。
(それでも問題ないけどね)
ということで眼前の敵に集中する。
ウライトの方も気になるが、腐っても赤葉の一員だ、これぐらいで危険だという認識はないだろう。
「がは!?」
最後の一人を吹き飛ばし、残りの頭領に向き合う。
「っち、使えない奴らだな、おい!!」
するとある方向に走り出す。
「なにを、!?」
頭領は木箱を開けると何かを引きずり出す。
「痛い!!!」
「暴れるな!!」
「ひっ」
取り出された少女の首に剣が付きつけられる。
「~~~っ」
油断したまさかあんな場所に一人いたなんて。
「武器を捨てて下がれ!」
私はユニークスキルを解除して、ウライトは剣を捨てる。
「そっちのガキも剣を捨てろ」
リンも刀を捨てる。
「よし、そのままじっとしていろ」
「うぅっうっ」
「黙れ!!」
「!?」
「やめなさい!」
「動くな!!!」
エルフの少女を連れながら少しずつ出口に移動する。
「まさか、こんな悪いタイミングで襲撃を受けるとはな」
「貴方たちが誘拐をしている組織なのね」
「まぁそうだな、でも案外時間がかかったな、もっと早く見つかると踏んでいたんだがな~存外優秀でもないみたいだな」
そういってこちらを見下ろす。
「いいか、そこで動くな」
ゴポ
「たく、用心棒がいない時に来やがって、手駒が死んじまったじゃねえか」
ゴポポ
「こうなれば、さっさとずらかるにかぎる」
ゴポゴポゴポ
「なんだ、さっきから」
ザパァ!!!
頭領の後ろの湧き水が盛り上がり、何かが出てくる。
「なにが!?」
「邪魔だ」
出てきたものが頭領を吹き飛ばす。
「今よ」
「はい!!!」
瞬時にウライトが動き少女を確保する。
「………何やっている、バアル?」
現れたのはずぶ濡れになったバアルだった。
「………何この状況」




