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クラリスにも何かあるみたいだ

「クラリス、魔力の方はどうだ」


もう一つの手がかりの方はどうだろうか。


「ものすご~く薄いけど残っているわね、それも三つ」


そう言うとクラリスは空を見上げる。


「また空にか」

「そうねここから南の方向に飛んで行っているわ」

「となると追跡は?」

「……微妙にできそうね」

「やっぱそうだよな………本当か?!」


思わずクラリスを二度見する。


以前はできなかったので無理だと思っていたのだが。


「ここら辺からは雪だからあんまり魔力がかき乱されていないのね」


ということでギリギリで追うことができるみたいだ。


「じゃあウライト待ちだな」

「その必要はありません」


小屋からウライトが出てくる。


その表情は何かを決断した時の顔だった。


「もういいのか?」

「ええ、ご配慮いただきありがとうございます」

「……では行こう」


こうして俺たちはノストニアを出て例の女性を追う。








「ぅぅぅぅぅぅぅやっぱり寒い」


俺達がやってきたのは雪山の一つだ。


もちろん防寒具も持って来てあるんだがそれでもかなりの寒さが残る。


「あの、よければ私の魔法で温めましょうか」

「!!!………いえ、気持ちだけ受け取っておきます」


現在俺たちは魔力の痕跡のみで追跡している。そしてそれが上塗りされると追跡ができなくなる。


「ああ、大丈夫ですよ。魔力操作で追跡に影響は出ませんから」

「………ではお願いします」


ウライトが指を振ると小さい火の玉がリンの周囲に浮かぶ。


「ウライトは火の精霊と契約しているのよ」

「へぇ~」


戦闘をこなせるエルフのほぼすべてが何らかの精霊と契約しているという。


「じゃあ、クラ「そういえば皆さんも寒くないですか?」」


ウライトが会話を遮って聞いてくる。


「ああ、俺は大丈夫だ」

「私もそこまでではないですね」

「……なんでそんなに寒さに強いの…」


リンは俺達のことをうらやましそうに見てくる。


「なぜかってそりゃ」

「身体強化で何とかしているに決まっているでしょう?」

「はえ?」


身体強化は何も力が強くなったり速くなったりするだけじゃない、、温冷や五感を強くすることもできる。


「そのようなことが……」

「もちろんそれなりに魔力操作が必要だけどね」

「まぁリンの身体強化は大雑把だからな」


ということでリンは早速【身体強化Ⅳ】を使う。


「くっ、まだ寒いです」

「まだまだだな」

「そうね、魔力が体の外側に集中しているわね。これだとステータスの強化は申し分ないけどほかの面ではあまり恩恵はないわね」


イメージとしては人型のスポンジに水を染み渡らせていくようなものだ。


俺とクラリスは中心部を、リンは外側を重点的に魔力を浸透させているのでこのような違いが出ている。


「……こうですか?」

「う~ん、若干よくなったけど」

「まぁ今後の課題だな」


現在は少しだけ中にも染み渡った状態になっている。


「だが少しだけ寒くはなくなっただろう?」

「たしかに先ほどまでの冷たさではないですね」


若干ではあるが効果を体感できているそうだ。



それから俺たちは常人では危険極まりない道を突き進む。


「にしてもこんな道を通ることになるなんてな」


雪の登山では絶対に通ることのないような場所を何度も通過する。


(さすがのクラリスたちでもこの状態じゃ速く移動はできないな)


移動も森の中のように軽やかにとはいかず、ゆっくりと慎重に進んでいる。


「なぁウライト、なんで精霊を聞こうとしたときに邪魔したんだ?」


先ほど精霊の話を遮ってきたのは理由があるはずだ。


「……エルフは精霊と親和性が高いとされています」

「それは聞いた」

「……そしてごく稀にですが精霊との相性が悪いエルフが生まれることがあります」

「それがクラリスだと?」


ウライトは静かに頷く。


「話を聞いている限りでは別段おかしい話ではないんだが?」


適性がないのであれば仕方がない。


「……それだけじゃないんですよ」


そういってウライトは足を速める。

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