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自責の念で動くものほど従順なものはいない

エルフの部屋では2人係で見張りをしている。


そして暴れたエルフの方は何十にも太い蔦で縛られた状態になっている。


「では、始めます」


リンがユニコーンリングに魔力を籠め始めるが、うっすらとリングが光っているだけで発動しない。


(無理か)


失敗だと思っていたのだが。


「ちょっとゴメンね」


クラリスがリンのリングに手を当てるとさらに強く発行し、白い光が男に向かって飛んでいく。


そして男が少し光った後は表情が和らいで安らかな寝顔になった。


「……成功か?」


とりあえず水をぶっかけて起こす。


「ブハッ!ガハッガハッ!!何をする!?」

「おい、現状を理解できるか?」


すると数秒黙りこくと、サァーと血の気が引いて行く。


「俺は、俺は!!」

「自責の念に駆られるなら知っていることを総て話せ」


そう促すと口が独りでに動くように告白し始めた。









まずエルフが依存症になったのはとあるヒューマンが原因だ。


「俺は地方を巡回中に森の中で行き倒れている女性を見つけたんだ」


虫の息だったことから人でも関係なく治療をしたそうだ。


そしたら女性が感謝し。


『故郷で流行っている香り草です、どうぞ使ってみてください』


といい、火にくべて周囲に煙を撒いたらしいのだ。


「人がノストニアにいる時点で不審に思わなかったのか?」

「もちろん思ったが、あまりにも痩せこけていたから特別な訳があるのかと思って聞かなかったんだ」


それから体調が戻るまで森の一部に匿ったそうで。


「上に報告しようとは思わなかったのか?」

「ああ、脅威には感じなかったし、雪が無くなれば出ていく約束だったからな」


そうして行くたびに煙を嗅がされたそうだ。


「そしたらだんだん自制が聞かなくなってきて」

「気づいたら同胞を売っていたわけだな?」


力なく頷く。


「じゃあ聞きたいのはここからだ、お前はどうやって情報を売っていた?」

「………実は『飛ばし文』を渡して、それを」


『飛ばし文』は村でも使った、紙に文字を書けば文字が飛んでいくアレのことだ。


「なるほどな」

「頼む!!信じられないようだが、俺に償いをさせてくれ!!!」


地面に頭を叩きつけて懇願している。


「アルム様は誘拐組織について調べていて俺を調べているのだろう!」

「ああ」

「だったらお願いします!俺に、俺に!!!!」


泣きながら、懇願してくる。


そんな男にアルムは手を触れる。


「違います、貴方は貶められたのです」

「アルム様……」

「なので頼むのはこちらからです、子供たちを助け出すために僕に協力してください」

「はい、はい!!」


アルムに差し出された手を力強く握りながら涙を流すエルフ。


するとアルムの額が光り、それがエルフの中に浸透していく。


(なんだこれは?)

「ではこれより僕の手足となり動きなさい」

「はい!!」


アルムは一人の兵士を手に入れたことになる。


「では、早速だが頼みたいことがある」










「え?任務?」

「そうよ」


僕たちはノストニアのとある村に来ている。


そしてしばらくそこで楽しく過ごしていたのだが突然ルーアが村から離れると言い出した。


「どうしてだ?しばらく待機だって話じゃなかったのか?」


いつもは気にしないオルドでも今回のことは急すぎると思っているみたいだ。


「何かわけでもあるんですか?」

「そうだよ~」

「できれば話してもらいたいのですが」


僕たち全員がそう言うと悩みながらも話してくれた。


「裏切り者らしきエルフが見つかったのよ」

「「「「「え!?」」」」」


これには僕たちも驚く。


「今その人物がとある村に訪れる途中なの」

「ということは」

「ええ、また同じことが起こるかもしれないわ」


アネットの時のように誰かが攫われるかもしれない。


「じゃあ止めないと!!」

「そうだな」


僕とオルドも準備をする。


「ちょっと!」

「さ~て僕たちも準備しないとね~」

「だな」

「ですね」


ソフィアたちも荷物を整理し始めた。


「だから」

「ここまで来たら乗り掛かった舟です」

「だね」

「うむ」


ソフィアたち言う通りだ。


ここまで来たら放ってはおけない。


それにフィアの友達が教えてくれたあの事、よく考えるとおかしく感じる。


「みんな馬鹿ね……ありがとう」


ルーアも準備を始めた。

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