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その薬の名は

「ということで予想だと、違法薬物で薬づけにされて命令されていたんだろう」

「身元は?」

「全員『赤葉』の『苗木』と『若木』だった」


既に二度目の尋問に向けて確認済みだ。


「しかし薬か」

「詳しい経路は不明、だがかなり中毒性が強いものだ。エルフで薬について詳しい人物はいるか?」

「ああ、すぐに聞いてみよう」


その後、アルムが薬師の元に訪れるがそのような薬について心当たりはないそうだ。


「これは困ったな」

「そうだね」


二人で困っていると扉が開く音が聞こえる。


「あのね、すべてを私に任せないでよ」


扉から入ってきたのはクラリス……とルナだった。


「あ、そういえば忘れてた」

「ひどい!?」

「バアル様、それはさすがに……」


リンにも少し咎められる視線が送られた。


「仕方ないだろう、こいつの価値は魔道具のオマケなんだから」


魔道具さえあるならば別にルナは要らないからな。


「うぅう~~~」

「そんなことを言わないであげて」


年下であるクラリスに頭を撫でられ、擁護されるルナだった。


「まぁこいつは放っておいて「!?」普通に使われる薬品でないことは確かだな」

「そうだね、ほかの人物にも聞いてみるが薬師が知らないというんだ、可能性は低いだろうな」


するとルナがおずおずと手を挙げた。


「それって……どんな症状が出ましたか………」

「それはな―――」


アルムがエルフ達の症状を教える。


「え?それって」

「何か知っているようだな」


俺が視線を向けると即座に逃げようとするので『飛雷身』で横に飛び足を払う。


「ふぎゃ」

「さて教えてもらおうか」


何とか抜け出そうと暴れだすが背中を踏んで抑える。


「というかなぜ逃げだす?」

「………いえ、その、ちょっと視線が………グラス様の許可がなければ教えることはできません」


なんか軽くディスられそうだったが、すぐさま話を変える。


「なるほど」


即座に連絡用魔道具で通信する。


『だれだ?』

「グラス殿、バアルです」

『どうしたんだ?』

「実はほしい情報があるのですが―――」


ルナがそれらしい情報を持っているのだがグラス殿の許可がないと教えることはできないことを伝える。


「ちなみにほしいのは薬の情報で、症状は―――」


エルフ達の情報を教える。


『それは』

「知っているのは教えてもらえますか?」

『……絶対に必要か?』

「ええ、これが無ければノストニアの国交は成り立ちませんよ。一度エルフとの仲が悪くなれば次に仲良くなれる機会はいつですかね~10年?20年?エルフの寿命は長いですからね代替わりするのにどれくらい月日がかかるのか」


エルフの寿命は人間よりもはるかに長いと聞く。


なら次に機会が来るのは遠い先になるだろう。


『……向こうの王太子は我々との交流を望んでいるのではなかったか?』

「それは問題が起きない範囲でですよ、今回のような誘拐・拉致と言った問題が関わってくるのならそうも言ってられないですよ」


本当は問題を解決しさっさと交流したい、と言うことは伏せる。


「それも、既に事態は動いているのです、ここで時間が過ぎてしまえばどうしようもできなくなりますよ?」


既に三人を拘束している。


裏に逸る存在が感づかれたと知るには時間の問題だろう。


「それにそこまでの薬品が出回っているなら、私も領地に戻れば調べるくらいはできます」

『………いいだろう、傍にルナはいるか?』


連絡用魔道具を渡すとルナが何度も驚いている。


「はい、はい、わかりました………」


なにやらしょんぼりしている。


「では話してもらうぞ」

「………はい」










ルナの話ではおそらく使われたのは『快楽薬』というものだ。


簡単に言うと前世で言う麻薬にあたる。


効果は天国なような幸福な気分を味わえるようで、依存性は一度使えば抜け出すことができなくなるほど強い。


さらには脳を小さくする作用まであるようで、国では真っ先に売買組織と生産組織を潰しているぐらいだ。


「で、出所は?」

「今のところネンラールが最有力候補に挙がっていますね」


裏組織の流通を探るとネンラールからの供給が多いそうだ。


「それでこの症状を解くにはどうしたらいい?」

「………今のところは自然回復を待つしかないです」


拘束し、薬が抜けきるまで待つしかないのだとか。


「だめだ、時間が無さすぎる」

「他にはエリクサーといった魔法薬が必要になります」


それもできない、エリクサーは希少すぎて物自体がない。


「あの、これで何とかなりませんか?」


するとリンが腕に着けている物を見せる。


「………とりあえず試してみるか」

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