尋問と裏切り者の症状
数時間前~
「じゃあルナ、始めてくれ」
「はい」
部屋に人形を設置すると部屋中に魔法陣が描かれ、消えていく。
「これより一刻は部屋の中では嘘がわかります」
「そうか………俺はバアル・セラ・ゼブルスではない」
すると壁の像が動きだす。
ガガガガガガガガガガガ
変な音を立てて、腕が俺の方を向く。
「これが嘘をついたってことか」
「はい」
「理解した、クラリスあいつらを呼んでくれ」
残念ながらじっくりとやりたかったが、一日に2回しか使えないのならある程度簡素に行うしかない。
「呼んだわよ」
部屋の中に13人のエルフが入ってくる。
「クラリス様、私たちはどうしてこのようなところに」
「残念だけど説明はできないの、そして私の指示に絶対に従ってちょうだい」
クラリスが反論は許さないと示唆するとエルフ達も口を噤む。
「では順番に答えてください、貴方たちは誘拐事件に関与していますか?」
皆わからずも「いいえ」と順番に言っていく。
すると三人反応があった。
それから時間まで三人を尋問したのだが。
三人は一向に口を開かなかった。
(なぜだ。ここで話せば減刑にする準備があると伝えているのに頑なに口を閉ざす?人質はいないとすでにクラリスから教えてもらっている。金などにも応じない)
こいつらの思考が読めない。
「っなんとかいいなさい!!!!」
三人を何とかしゃべらそうとしているクラリスだが、すべてが無駄に終わる。
「っっっっっっ」
30分経ったのでこの三人を部屋から出して監視させる。
「なんでしゃべらないのよ!!」
「金でも自分可愛さでも脅されているでもない………となるとなんだろうな」
「みんなを!!なんで!!」
クラリスは悔しそうにする。
「ざんねんだが、このままやっても意味がない」
一日に2回しか使えないんだ、しかもそこまで長く彼らを拘束はできない。
回数は限られている。
ダッダッダッダッダッダ、バン!!
「大変です!!!」
俺達はすぐさま三人を押し込めた部屋に向かう。
「クラリス様!」
「何があったの!?」
扉の前の侍女に聞くととりあえず部屋の中に居たら三人とも呻き始めたらしい。
「その後に、なにやらブツブツとしゃべり急に暴れだしたのです」
ゴン!!
今でも扉を強く叩き、ひびが入る。
「今は中で何人かが頑張って押さえつけていますが……」
さらに大きな音が部屋の中で起こる。
「扉を開けてくれるか」
「あなたは、でも」
扉は蔦で補強されている状態だ。
「いいからさっさと開けろ」
「私からもお願い」
するとクラリスからのお願いは断れないようで、渋々扉を開けてくれた。
「気を付けてくださいね」
中に入ると先ほどのエルフ達が暴れまわっている。
「ぐっ」
一人を相手にしていたエルフがこちらに飛んでくる。
とりあえずユニークスキルを発動し、受け止める。
「大丈夫か?」
「ああ、……子供?とりあえず危ないから部屋から出ていなさい」
そういうと口元をぬぐって身体強化で再び迫ろうとしている。
「なんで止められないんだ?理性を失って暴れているだけだろう?」
「それだけじゃない、奴ら痛みを感じてないからだ。気絶させようともできない」
見ている限り確かに痛みは感じてないようだ、攻撃を受けても平気で突っ込んでくる。
「だが、お前たちも手加減しすぎだろう」
同胞だからか取り押さえる方を優先している。
「ふっ」
「て、おい、クラリス」
クラリスは先ほど飛んできたエルフが相手にしていた奴に近づき、顎に素早く一撃を決める。
カクンと暴れていた男は崩れ落ちる。
その後も二人を素早く気絶させるクラリスであった。
「これで問題ないわね」
「手際がいいな」
エルフの一人に近づく。
(外傷はクラリスの一撃だけか)
エルフの一人が何かをつぶやく。
「アレを、あ、れを、くれ」
そう言って口から泡を吹きながら何かを求めるように胸元を掻きむしる。
「とりあえず気絶しろ」
触れながら軽く『放電』でしっかりと気絶させる。
「ありがとうございますクラリス様」
「いいのよそれで何があったの?」
「それが―――」
向こうは向こうで事情を調べてくれている。
そして俺は嫌な考えが脳裏に浮かんでくる。
(急に暴れだした、それも何かを求めて、だが尋問の際にその品を要求すらしなかった……つまり俺たちに要求できない物………それに急に暴れだす、禁断症状と言ってもいい………可能性で最も高いのは)
ここまでピースがそろえば答えも絞られる。
「薬物依存」
無論魔法の可能性もなくはないがここまで条件を付けて行える魔法はそうそうない。
それに前世でみた薬物の禁断症状に似ている点が多い。
とりあえずここはクラリスに任せて、アルムのところに向かう。




