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報告と一つの成果

「で、どうだったの?」


私は村から離れた場所でクラリス様に報告をしている。


「無事にアークがアネットを届けることはできました」

「それは良かったわ」

「ですが、なぜこんなことを?クラリス様もノストニアに向かうならそちらでも」

「……バアルが届けるのと、アークが届けるのとどちらが信頼を得やすいかは分かるでしょう?」


クラリス様やアルム様が人族との友好を望んでいるのは理解している。


だからわざわざ、アークたちに依頼した。


「それに貴女もいるのだから問題はないと踏んだの」


納得できる部分もあるのだが、心情的には微妙だ。


「一応は友好関係のきっかけは作れました、ですが」

「ですが?」

「村へ向かう途中に誘拐者と遭遇、誘拐現場を目撃し、戦闘になりました」


そういうとクラリスは驚いた顔になる。


「詳しく聞かせて」


それからアズリウスから出た後の報告をする。


「魔法が使えない?」

「はい、『封魔結界』というものが使われると精霊魔法が使えなくなりました。ですが身体強化などの体内で使う魔法は問題ありませんでしたので、おそらく体外での魔法を禁じるものかと」

「だから子供たちも捕らえられたのね」


エルフは精霊と親和性が高い。


そして神樹や聖樹の影響で精霊の数が多いのだ。


そのためにほぼすべてのエルフは何らかの精霊と契約している。


故にすべてのエルフは最低限の戦闘能力を持っていると言っていい。


なのでそれさえ封じてしまえばただ力の強い子供でしかなくなる。


「まぁわたしなら関係ないけどね」

「それは、まぁ………それとエルフの中に裏切り者がいる可能性が出てきました」

「どういうこと」


私はあの二人が事前に情報をもっていた言動をしていたことを伝える。


「もちろん、騙すための言動かもしれませんが」

「仕方ないわ、それに……」


クラリス様は何かを迷っている顔になる。


「あの……」

「貴方になら言ってもいいでしょう」


するとクラリス様が近づき耳打ちしてくる。


「現在、アニキの客人バアルが情報を精査していると裏切り者の可能性がでてきたの」

「!?……ですが人族(ヒューマン)なのですよ、信用なさるおつもりで?」

「あら、あなたもアークと言う少年を信用しているじゃない」

「それは!!」

「それにアニキも信用している、さらには向こうと利害関係も一致している、言い方は悪いけど正義感を振りかざしているアークという少年よりは信用できると考えているよ」

「っ!?」


私は悔しそうにする。


(彼らは弟を助けるのに手を貸してくれた、アネットも何とかしようと私に頼ってきた、そんな彼を疑うなんて)


不敬ながらもクラリス様に不快感を抱いた。


だが客観的に考えてクラリス様の考えの方が普通だろう。


「では今後の動きはどのように動きますか?」

「あなたは五人と連絡とれる距離にいて普段通りに、とりあえずはもう一つのグループの結果待ちよ」









アークがノストニアの村に到着して数日が立つ頃、アズリウスでは。


「それでどうなったのかな」


私、ガルバはデッドが用意した部屋で檻のなかの人たちを見ている。


「エルフ達は優秀だな」


ジェナが連れているエルフの一人を見てそう漏らす。


「そう難しいわけではない、だがこれだけ捕えても確信にたどり着けなかった」


檻の中にいる十数人からいくら情報を搾り取っても確信にはたどり着けない。


運搬の護衛やオークションに連れていく際に少し触れた程度だった。


核心のどの組織が誘拐をしているかが不明のままだ。


せいぜいどの組織が裏オークションの窓口になっているかぐらいだ。


「で、知っているのは本当にそれだけか?」

「ほ、本当だ!俺らは真っ黒いローブの男からオークションの窓口になってくれって頼まれただけだ!!」

「お、俺も場所を貸しただけで、中で何が起こっているかは知らない!」

「わ、私もよ!」


全員のやり方を聞くとこうだ。


まず最初に交渉役は真っ黒いローブが来る。


その組織の名義でオークションに出品、そして売れた1割の金額を名義代をして払われる約束になっている。


他にもほかの組織の名義で倉庫を借りたり、倉庫に届けたらまたほかの組織がエルフを会場まで運搬する。


そのようなルートがわかっているだけでも7つ発見されている。


「張り込みの結果はどうですか?」

「残念ながら空振りだ、運ばれてきたのは普通の商品が大半だった」


(おそらくバレているな、しかしどうやってアズリウスの倉庫まで運んでいるんだ?)


誘拐組織は倉庫に来るまでまったく足取りがつかめてない状態だ。


「…………」

「ジェナさん、何か思うところでも?」

「ああ……すまない」


私はジェナさんが何か考え込んでいるのに気づく。


「そういえばガルバの方はどうだった、同胞はいたか?」

「残念ながら2人ほど」


オークションには二人のエルフの子供が売られていた。


しかも片方は女児だったことから金貨700枚越えだった。


(いくらあとで補填してくれるとは言ってもこのままでは限度がある)


現在、残りは金貨1500枚だ。


このまま行くならあと数人が関の山だろう。


「しかし、このままではしらみつぶしにしていかないといけませんね」

「なぁ、それなんだが、裏組織に侵入して金を受け渡す際に捕まえることはできないか」


ジェナがめずらしく、いい案を出す。


「そ、それなんですが」


一員が言うには、オークションの売り上げは仲介料を除いた代金だけを箱に詰めて倉庫に置いておくだけなのだそうだ。


そうすれば翌日の朝には影も残ってないらしい。


「へぇ~」

「なんか、思いついたのか?」

「ええ、ひとつ質問を良いですか?」

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