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【旧作】冷徹公爵の異世界人生~助けてほしいだと?なら見返りは?~  作者: 朝沖 拓内
第一章 こうして転生し盤石な人生を手に入れる
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一日の長

「そこでござらぬか?」

「ダメよ、そうするとナイトに取られてしまうわ」


いつの間にかユリアと凛が手を組み、俺VSユリアandリンになっている。


「ああ、プロモーションされる!」

「でも阻止したらビショップがチェックメイトを掛けに来ます」


もう少し静かにできないものかな。


少しすると扉がノックされる。


「お食事の準備ができました」

「そうか………おい、行くぞ」


だが二人は席を離れない。


「もう少し、もう少しだけ」

「後生でござる」


(仕方ない)


一手戻し、どうしようもない状態にする。


「ほら、これでチェックメイト、終わりだ行くぞ」

「「…………」」


二人は恨めしそうな目で後についてくる。









「なぁバアル、二人はどうしたんだ?」


二人は未だに恨めしそうなめでこちらを見ている。


「チェスでボコボコに打ちのめしてあげました」

「………なるほど」


少し前に父上もチェスでボコボコにして挙げたから気持ちがわかるのだろう。


「チェスってなんだ?」

「お父様、ボードゲームの一種です」


ユリアは父親にどんなゲームかを楽しそうに説明する。


「ではアスラよ、あとで私と対局しよう」

「おう、いいぞ」


あの父上の顔………初心者のアスラをボコボコにするつもりだな。







その後、案の定、父上にボコボコにされ屋敷に雄たけびがこだました。








グラキエス家滞在2日目。


この日は静かなものだった。


父上以外が全員チェスに夢中になっているのだ。


中には母上やリンも加わっている。


「チェック」

「待ったでござる!」


俺は凜とチェスを行っている。


「残念ながら、もう5回待ったを使っただろう、なら無しだ」

「くぅ、参りました」


凜は素直に負けを認める。


「徐々にうまくなっているから、そこまで落ち込むな」

「…了解でござる」


他を見てみる。


ユリアは、アスラ殿と対局している。


実力はどっちもどっちだ、昨日始めた初心者と今日始めた初心者なのだからな。


(平和なものだな)


政治闘争のために交渉しに来た雰囲気など微塵も感じられない。


(完全に休暇を楽しむ親子だな)


気を張っているのが馬鹿らしくなってくる。


「バアル様、おやつをお持ちしました」


メイドが全員分の紅茶とクッキーを運んでくる。


「バアル殿、これは一体?」


凜はクッキーが何かわかってないみたいだ。


「ん?ああ、それはクッキーといってな甘味の一種だ」

「ん~おいしいでござる!」


説明する前に食ってやがるし…


俺も一つ取り頬張る。


(……甘すぎる)


砂糖が大量に使われすぎてくどく感じる。


それでもほかの人は喜んでいるみたいだが。


(どちらかというとガッツリと肉が喰いたい………)


来賓がいる手前、文句は言わない。


「………」

「バアル様」


するとメイドが耳打ちしてくる。


「料理長がバアル様用に少量の肉料理を準備しておりますので」


でかした。


「リン、少し席を外す」

「ではお供します」


ということで厨房に向かう。


「お!若様!」

「俺の分はどこだ」

「こちらに準備してあります」


そこにはおいしそうなサイコロステーキが置いてある。


「にしてもあれですね、普通の子供ならお菓子の方を欲しがるのに、若ときたら肉の方を欲しがるんですから」

「……甘すぎてくどいんだよ」


そういうと料理長は肩をすくめる。


「では今度から砂糖を控えた甘味を用意しますので」

「頼む」







軽く軽食を済ますと軽く運動することにした。


カン!


木刀と木の棒がぶつかり合う。


「しかし、5歳とは思えない腕ですね」


凜は俺の槍さばきを見てそうつぶやく。


「なぜ、バアル様は槍を選んだのですか?この国は剣が人気だったはずですが」


この国の主要な武器は剣だ。さまざまな物語や英雄譚も主人公は全員が剣を使っているくらいだ。


(俺が槍を使っている理由か……簡単に言えば)


「間合いが取れるから」


剣と槍が戦う場合よほどの技量差がない限り槍が有利だと聞いたことがあるからな。


「確かに、足軽に槍を持たせるのもそれが理由でだったでござる」


カン!


「だけどバアル様がそんな理由で槍を選んでいたとは意外でござる」


カカン!


「俺は案外、安全を選ぶぞ?」

「それはここ数日でよく知っているでござる、っよ!」


やはり武術のみだとリンに一日の長がある。


槍を吹き飛ばされて首に木刀を突き付けられる。


「ふふ、某の勝ちでござるな」


木刀を降ろし今回の模擬戦は終了した。


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