ノストニアに向かうアークたち
僕たちは雪道を歩いている。
「アネット、大丈夫?」
「うん」
僕たちはアネットをノストニアに届けるために同行している。
「うぅう~、寒!!」
オルドは震えながら歩いている。
「だからもう少し着込んだ方がいいって言ったのに~」
オルド以外は念入りに防寒しているのに、オルドだけは他の5人に比べて薄い恰好をしている。
「くそっ、服をケチるんじゃなかった」
アズリウスで防寒着を買ったのだが、冬直前ということで結構な値段だったのだ。
「アーク、そろそろ日が暮れる野営の準備をしないか?」
「そうだね」
カリナの言葉で野営に適した場所を探す。
ほどなく進むといい感じの穴倉が見つかった。
「ふぅ~~あったけ~~」
中を確認すると何かが居付いている様子もないので焚火で暖を取る。
「それにしても冬に山に入るとは思わなかったわ」
アネットの護衛で同行しているルーアも雪山を超えてノストニアに入るとは思わなかったのだろう。
本来なら秋の間にノストニアに帰るか、そのまま春までグロウス王国で過ごすのが普通らしい。
「そろそろご飯にしませんか」
「そうだね」
僕は父さんから譲り受けた亜空袋から調理道具を取り出す。
―――――
亜空袋
★×7
【収縮収納】
外見からは考えらないほど容量がある魔法の袋。かなりの頑丈なのだが、一度破れると中身がすべてあふれ出すため注意しなければいけない。中に入れた物の重さは感じない。
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乾いた木材もこれで持ってきたのだ。
さすがに食べ物は中は時間が止まっているわけではないので保存のきく食料以外は持ってきてない。
ということで食器と干し肉を取り出し、カリナに水を出してもらい、簡単なスープを作る。
「あ、ちょっとまってください」
アネットが何やら木の根っこを差し出してくる。
「これもいっしょににこむとおいしくなるよ」
「……これはショウガですか、ありがとう」
ショウガを切り刻み、煮込んでいるスープに入れるとおいしそうな匂いがしてくる。
「本当なら野菜も煮込みたかったのですが」
残念ながら持ってきていない。
「いいじゃんか肉さえあれば」
オルドはそういうが女性からは不満そうな顔をしている。
食事を済ませると外は真っ暗になると交代で夜の番をする。
「あ~寒い~~」
今回はリズと一緒に見張り番をしている。
「そういえばおじさんに弓をならっているんだってね」
夏から凄腕弓使いのおじさんに弓を習っているのだ。
「うん、連射も~人の動きを予測するのも上手くなったよ~」
証拠に一度森に行ったときの獲物の数が格段に上がっていた。
「アークは強くなった~?」
「ああ、お父さんに鍛えられていたよ……いたよ……」
父さんは名のある冒険者だ。
それゆえにかなりのスパルタで鍛えられている。
「いまでも結構強くなったと思うんだけど、お父さんにはまだ一撃も入れられていないよ」
「ご愁傷様~~」
それからも話が弾み、夜が濃くなっていく。
時間になると交代して僕は眠りについた。
それから10日掛けていくつかの山を越えるとまだ冬なのに雪がない森に入った。
「もどってこれた」
するとアネットが駆けだす。
「あ、待って」
道中でも魔物は出ていた、ここも安全だとは思えない。
だがそんな心配とは裏腹にアネットはどんどん先に進んでい
「追いかけるわよ」
ルーアは即座に追いかける。
「俺たちもいくぞ」
僕たちもアネットの後を追う。




