じゃあ行動するか
俺はアークたちにある依頼を済ませると少しの間アズリウスにとどまる。
「しかし、本当にアークたちだけで大丈夫ですかね?」
「確かに少し不安は残るが、問題ないだろう」
俺がアークに出した依頼はエルフの元にアネットを届けることだ。
「にしてもなぜバアル様が動かないのですか?」
「……いいかリン、俺が利益で誘拐組織を潰すのと、アークたちが正義感で潰すのどちらがエルフの関心を買いやすい?」
「それは……もちろんアークたちです」
そうだろう、俺がつぶしたところで結局は自分たちで事態を解決させただけとみなされる。
だがアークたちは違う、何も知らない少年たちがアネットの知らせでエルフ達を助けようと動くこちらは美談として語られることだろう。
これにより人族にもこういう人物がいるのだと理解してもらうことができる。
「ですがラインハルトさんだけでは」
「ああ、戦力は足りない。だから大々的に用意したよ」
デッドに頼んで裏の騎士団で可能な限りの戦力を用意するように伝えた。
他にもクラリスに頼んで、アルムが用意できるだけのエルフの戦士たちを貸し出してもらうつもりだ。
「ですが根本的につぶすことはできますか?」
「そこは賭けだな、とりあえず結果が出るまで俺たちはノストニアで新たな犠牲者が出ないように協力していく」
「というわけで、戦力を少し分けてくれ」
『いきなりだね』
数日経つと、アルムの部下が指定された場所に魔道具を配置し終わり、連絡用魔道具の使用ができるようになった。
となればあらかじめアルムに渡してある連絡用魔道具で気軽に話し合うことができる。
「グロウス王国としては、人さらいなどのを行う組織は即刻にでも排除したいほどだ、だが」
『僕たちが独断で動かないでくれ、かな』
「そのとおり、そのためにこちらは可能な限り情報を差し出す」
実行はエルフ、判断はこっちという形式を取りたい。
『いいけど、こちらとしては手加減するつもりはないよ』
「もちろんだ、むしろ手荒にやってもらっても構わない、ただ無辜の民に被害は出ないようにしたいだけだ」
エルフの戦力だと大ざっぱに村一つを魔法で焼き払いそうだからな。
『で、戦力はどのくらい欲しい?』
「できれば町一つは攻め落とせるくらいの戦士を1ダースは」
『わかった』
ここで即答できる当たりかなりの実力者がそろっているのだろう。
『で、君はなにをするんだ?』
「……少し気がかりなことがあるからそちらに集中するつもりだ」
誘拐の件で一つわからないことがある。
(30人はあまりにも多い、エルフが馬鹿ではないのなら何らかの手段で魔力を見られないようにしているはず)
たとえ誘拐犯が魔力を隠蔽で来ていたとしても子供の魔力を追えば追跡されてしまうのだから。
(エルフ達だって調べてはいるはずだ、なのに見つからない)
ここに俺は違和感を感じていた。
「とりあえず、組織を潰し終えるまでは警戒してくれ」
『バアルはどうするんだ?』
「少し調べごとをしたい」
『ならクラリスを同行させよう、好きに使ってくれ』
「ありがたい」
ということで早速行動に移る。
「クラリス早速だが調べてもらいたいものがある」
「自分で調べるんじゃないの?」
「俺が調べられるなら俺が調べるよ……ここ数か月で行方不明になった子供たちの詳細を調べてほしい」
残念ながらこれは部外者の俺だと調べにくい。
「わかったわよ」
ということでクラリスの王族という立場を使い、いなくなった子供たちの詳細を調べてもらう。




