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彼らがここにいる理由

思わぬところで知っている奴に出くわした。


「さて、なんでお前たちがここにいるんだ?」


俺は居心地悪そうにしている5人組を見る。


「えっと、実はですね――」


アークから話を聞いたら頭を抱えようになった。











冬に入ると町の外に行きにくくなる。


なので僕たちはギルドで街中で出来る依頼をこなして小遣い稼ぎをしていた。


「今度はこれにしませんか?」

「いいね」


ギルドでソフィアがとあるクエストを見つけた。


内容は教会がスラムで炊き出しを行うのでそれの手伝いだ。


ということで僕とソフィアはそのクエストを受け、翌日教会に集まり炊き出しに参加した。


今回はオルド、カリナ、リズは用事があるみたいで不参加だ。







「はい、どうぞ」

「ありがと!お姉ちゃん!!」


ソフィアは器に食べ物をよそって子供たちに渡す。


「アーク君、馬車から食材を持ってきてくれないかな」

「わかりました」


僕は食材が置いてある馬車から芋が入っている箱を取り出し運ぶ。


「ふっ」


大人でも持つのが大変な重さでも魔力による身体強化で楽に持ち上げることができる。


それからすべての炊き出しを終えると撤収を始める。


「あ、あの」


服を引っ張られたので振り向いてみると少し年下の少女がいた。


「どうしたの?まだもらってないの?」


フルフル


首を振り何かを訴えるように服を引っ張る。


「ついてきてほしいの」


コクン


どうしよう……


「アーク、どうしたのもう出発するけど……あれ?」


馬車の準備が終わったことを伝えに来たソフィア。


この子に食い止められているのを見てしゃがむ。


「どうしたの?お姉ちゃんたちに話があるの?」


コクコク


するとソフィアの服も掴み路地に連れて行こうとする。


「ごめん、少し遅れるって伝えてきてくれる?」

「わかった」


今はクエスト中だ、依頼主の許可も取らずに勝手な行動はダメなのだ。


ということで派遣されてきた神官にこの事を話すとその場でクエスト達成証をくれた。


これをギルドに届ければクエストは達成されたことになる。


神官たちと別れるとソフィアを追う。


「お待たせ………ソフィア?」


ソフィアはこちらを見ずに固まっている。


「どうしたの……え?」


近づいてみるとなんで固まっているのか分かった。


「ぉねがい、たすけて」


消えそうな声を出した少女は髪をかき分けている。


そこから見えたのはとがった耳だった。











「で、そのあとに皆と相談してルーアさんに連絡して引き取ってもらおうと思いまして」


それでお前らがいるのか。


「なるほどな、あとはクラリスに任せて」

「それは本当なの!?」


エルフの少女の対応していたクラリスが声を荒げる。


「おい、どうしたんだ」

「他にも捕らえられている子供がいるらしいの!!」





エルフ少女の名前はアネットという。


この少女は誘拐に遭っていたエルフの子供の一人だ。


なんでも秋に友達と遊んでいたら急に何かに襲われ、誘拐されたらしい。


その後、その友達と共にどこかに閉じ込められた。


それから多くの子供たちが捕らえられては閉じ込められるを繰り返したらしく、全部で30名ほどになる。





(そこまで大規模に動ける組織なのか……)


エルフ達も馬鹿じゃない30名もの子供が攫われたのなら異変に気付くはずだ。


なのに未だにその組織が存在しているこの時点でかなりの組織が関わっているのだろう。


その後も少女の話は続く。

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