表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/470

王太子との対面

湖の上にポツンと建てられていた城は世界遺産のモンサンミッシェルを思い出させた。


(まぁあれは修道院だけどな)


城と修道院という違うはあるが偉大さに違いはない。


俺達は重厚な扉にたどり着く。


クラリスが手をかざすと一切音を立てずに扉が開いていく。


「残念ですが馬車が入れるのはここまでです」

「さぁ行きましょう」


ということで全員馬車を下りるとそのまま中に進む。




城の中は、所々に蔦がある。


だがそれは手入れしているようで見ていて不快感を覚えない。


むしろ観葉植物のように安らぐようにも感じる。


さすがにすべてが木製ではないがきちんと森を感じさせる造りになっている。


城の中を進んでいくと中庭を通過して、離れになっている建物に連れていかれた。


(………………なんだこの気配?)


建物のすぐそばに変な気配を感じられた。


「お久しぶりですクラリス様」

「相変わらず固いわね、でアニキはどこにいるの?」

「今、テラスの方で休んでおられます」


建物に入ると近くにいたエルフに声を掛けどこにいるのかを訊ねる。


そのエルフの案内で湖が見えるテラスに案内された。


「……強くなっているな」


テラスに近づくほど先ほどの気配が強くなっていく。






テラスでは一人の男がまったりとしていた。


「ふむ、彼がそうですか」


そこにはクラリスと同じピンク色の髪を後ろでひとまとめにした。


細身の男……のような人物が見える。


顔は服装が違えば女に見間違うほど女顔だ。


そして変な気配を感じていたのはこのエルフからだ。


「はじめまして、かな?」

「ええ、それで合っていますよ」


向こうも変な気配を感じていたのだろう。


すこし挨拶が変な感じになった。


なんというか、長年会ってない小学校の知り合いになったときのような感覚なのだ。


「アニキ、この人があの件について話があるそうよ」







俺達もテラスに座るとこの場で話し合いを始める。


「初めまして、私はグロウス王国ゼブルス公爵家長男、バアル・セラ・ゼブルスと申します」

「長い道をご苦労、僕はノストニア王太子、ルクレ・アルム・ノストニアだ、アルムと呼んでくれ。歓迎するよ」

「まずはグロウス王国の貴族が粗相を働いた件で謝罪を」


俺はそういうと頭を下げる。


「こちらとしてもそこまで事態を大きくはしたくない、ただ……な」

「無論、その証にいくつかの賠償案を用意しました」


俺は謝罪の証にいくつかの候補を上げた。


「それはありがたいのだが、そうではないのだ」

「……何か問題でも?」


少し話しにくそうにしている。


「身内の恥を打ち明けるようだが、今回の件は文化の違いということでこちらも水に流そうとしたのだ」


だが実際幽閉される問題になっているぞ?


「……『大樹』が(ヒューマン)との交流に反対しているのは知っているか?」

「ええ、すでにクラリスからある程度の事情は」

「なら話そう」

「他国の私が言うのもなんですが、自国の情報を簡単に教えてもいいものなんですか?」


普通は隠すものだと思うのだが………


「知っていると思うが、私は人との交流に賛成し、全面的に推奨している。ならここで協力関係をつくっているだけに過ぎない」

「(そういう考えか)ですが、それは私のことを信用して初めて成り立つのでは?」


すると、アルムは少し微笑みクラリスのことを見る。


「東の聖樹の件ではクラリスから報告を受けているよ、最初は敵対していたにもかかわらず、共闘し、傷つきながらダンジョンを攻略した」


……後ろのリンは聞いてないですよ、と圧を掛けてきている。


「その後、報酬で手に入った霊薬を渡し、クラリスの耳を治した。そのことである程度信用できると私は考えた」

「…………」


アルムは妹を治してくれて感謝すると言う。


なんか気恥ずかしい。


あの時は傷は俺にも責任があると思い、薬を引いてみただけだ。


それでちょうどよく霊薬が手に入ったのでそのままアグラを経由してクラリスに届けてもらっただけだ。


「霊薬がどれほど貴重か知らないわけではないだろう?」

「……一応は」


レア度はモノクルと同じなのだが消費品だ、価値は霊薬の方がかなり高いだろう。


「エルフにとって耳はかなりの意味を持つからね」


エルフの耳は誇りの役割を持っているとアルムは話す。


斬耳という刑罰もあるほどらしい。


「だからクラリスを救ってくれて感謝する」


王族が耳を亡くしたとなれば外聞を恐れて、下手すればノストニアからの追放される可能性すらあったらしい。


そんなクラリスと救ったことにより、ある程度は信用してくれている。


「私がある程度信用されていることは理解しました、それで本題に戻りたいのですが」


お互いには交流をしたい、そのために手を取り合う。


それはいい、だが肝心の国交を結ぶ手立てがない。


たとえアルムやその仲間が賛成していたとしても政治部分や国の大きな役割を持っている『大樹』が拒んだとしたらまず不可能だろう。


「ああ、だが僕が代替わりをしたら人間との交流を強行するつもりだ」

「……………は?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ