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メリットがある話は断りづらい

「さて、この後はどうするかな~~」


とりあえず工房内に設置している戦闘用アンドロイドを点検する。


戦闘用アンドロイドとはAIが操作可能なロボットだ。


魔導人形キラの戦闘強化バージョンだと思ってくれればいい。


「問題はなさそうだな」


武装に問題はない。


「次に燃料庫だな」


地下に入るとそこには透明なガラスのような結晶にいくつもチューブが繋がっている。


「魔石も問題ないな」





この結晶は魔石だ。


魔石にはいくつか種類があり、これはすべての属性に関係なく使えるタイプだ。


他にも火石、水石、風石、土石、雷石、光石、闇石とそれぞれ属性に偏ったタイプがある。


これらは何のためにあるかと言うと杖などに使われ魔法の触媒だ。


たとえば人間の魔力で1の効果を発揮できるとしよう、だがこの属性魔石を通すことで同じ属性魔法の効果を2にも3にも増幅することができる。


だが魔石にも複数の属性を持っていたり、又は全く持ってなかったりするものも存在する。


いま目の前にあるのは火、水、雷、光の属性を持っている魔石で、このエネルギー源としては優秀な魔石だった。


(ちょうど町の市場で売っていてよかったよ)


これは領地視察の時にある村の市場で見つけたものだ。


「……それにしてもでかくなったな」


本来は手に納まる程度だったのだがすでに岩と言っていいほどの大きさになっている。


ここでは回収した魔力を魔石に注入し、溜めて、その魔力で工房の設備を動かしているのだ。


ではその魔力はどこからきているのかと言うとゼウラスト内の市民から魔力を貰っている。


貰うと言っても体から漏れ出る少しの魔力をそこかしこに設置してある魔石で回収し、この場所に供給するようにしているだけだ。


手順としては


魔石が周囲の魔力を回収。

その後、回収した魔力でここの魔石まで魔力の管を作る。

魔力の管を通って魔力の受け渡し。

その後、必要最低限の魔力を残してまた回収。


このループだ。


魔力の受け渡しはこれをベースにしている。


「うん、どれくらい溜まっているんだろう」

『工房を全力で稼働させてもあと一年は持つ計算になります』


すると部屋に電子音のこえが聞こえてくる。


AIが管理しているのはあの場所だけではない、この工房内全域、それと魔道具により情報がわかるところもだ。


「じゃあこれからも頼む」

『はい、私の存在意義はこの工房を死守することにありますので』


こうして工房を後にする。











「で、なんのようだ」


自室でいつものように父上の片付かない書類を整理していると急な来客があった。


「お初にお目にかかります、私アーゼル商会のガルバ・アーゼルと申します」


やってきたのは唯一エルフとのつながりを持っている商人、ガルバだ。


「もう一度聞くが何の用だ?」

「実はゼブルス家にお話を持ってきたのです。すでに知っていると思うのですが私はエルフの一人と知己になっております」

「ああ」

「ですが肝心の使節団が何かをやったそうで、一向に話が進みません」


なんとなく言いたいことが見えてきた。


つまるところさっさと条約が結ばれて交易をしたいのだが、今回の件で出来そうにも無くなった。


時間が経つと自分以外にもエルフに知己を持つものが増えてアドバンテージが少なくなる。


俺の方もガルバとの組み合わせで知己ができやすい。


つまり、自分の人脈を貸すからさっさと事態を解決してくれって言っている。


「質問だ、なぜアズバン家を頼らない?」


普通ならつながりがあるアズバン家にこの話を持って行くのが正しいはずだ。


「ええ、普通ならそのように判断するでしょう、ですが私がエルフの伝手を持てたことを知ってイドラ商会で私に伝手を持とうとしたその情報力、それでゼブルス家のほうがふさわしいと私共は愚考しました」


なるほど確かに裏の騎士団から絶えず情報が送られている俺の方が色々と詳しいだろう。


まぁほかにも南の貴族である俺がへまをしても、北の領地にはほとんど影響はないからな。


「で、具体的にはどうしろと」

「私たちがエルフとの窓口になり交渉を進めるのです、その際に当然ながら貴族でない私が参加するのは無理でしょう。なので」


そこで俺を使いたいわけだろう。


現在の王国にはノストニアの窓口になりそうな存在はいない。


なにせ今回でそれを作ろうとしていた段階なのだから。


(本当にめんどくさいことになったよ)

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