騒動の収束と冬の予感
そして予定の三日後。
俺たちは再び、あの樹の元に訪れた。
「それでどうする?」
『……世話になる』
と言うことでウルは俺らを共に来ることになった。
ゼブルス家の自室で今回の件の報告書をまとめている。
「バアル様、お茶が入りましたのでお持ちしました」
ドビラをノックしリンが入ってくる。
その足元には白い狼、ウルがついてきている。
『人族の生活はめんどくさいな』
ウルは近くにある厩舎の一部を改造して、そこで生活している。
「なにか違和感はあるか?」
『ない、言うなら、この紋様だ』
ウルの足の部分には一つの紋様が入っている。
「リンは?」
「ないですね、しいて言えばたまに頭に響く声でビックリする程度ですね」
リンの手の甲にも同じ文様がある。
これは『従魔契約』の証だ。
街に入るには従魔契約を結ばないと入ることができない法律になっている。
そのため契約しようとしたのだが、やるならリンとしたいということで、ウルはリンの従魔になった。
契約内容はそれぞれで決めて定めることができるのだが
・人の住む街で自己防衛や契約者の許可なく人に危害を加えてはならない。
・単独で街に入ることはできない。
・また指定された場所には入ってはならない。
この三つだけは確実に結ばなくてはいけない。
ちなみに契約はギルド職員に『契約魔法』を使用してもらい契約する必要がある。
他にも恩恵があり、お互いに意志を伝えあうことができるようになる。
「それでお仕事の方は進んでいますか」
「ああ、ほとんど作成し終わった」
事の顛末を書き記し、ここ2週間の作物の状況を調べたものを書き記してある。
(呪いが収まったのが理由なのか程よく豊作になったな)
あとは父上に提出しに行けばいいだけだ。
窓の外を見てみれば、セレナがカルス達に魔法のことを教えている。
「はぁ~~~~」
息を吐くと白く染まる。
もう少しで冬になる。
「そろそろ暖房出すか」
「お手伝いします」
『俺は庭で寝転んでいる』
こうして秋の騒動も終わった。




