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【旧作】冷徹公爵の異世界人生~助けてほしいだと?なら見返りは?~  作者: 朝沖 拓内
第一章 こうして転生し盤石な人生を手に入れる
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その条件は

「まずこの交渉はグラキエス家とゼブルス家の両家のみの交渉だ他家にはすべて秘密にしてもらう。いいな」

「もちろんだ」

「で、交渉の内容はゼブルス家は裏から第二王子イグニスを支援してもらう代わりに我がグラキエス家から採れた鉱物を安く供給するというものだ」


アスラは内容を一つずつ詰めていく。


内容は


ゼブルス家

・第二王子派閥主催のパーティーには特別な理由もなしに欠席はしない。

・第二王子からの要請は利益が生じない場合を除いて要請を断らない。

・あくまで中立だと言い張るため表立って第二派閥であるとは公言しない。

・ゼブルス家所有の魔道具の優先的販売


グラキエス家

・ゼブルス家に鉱物を安く供給する。

・ゼブルス家から第二王子派閥支援の際にはグラキエス家が仲介をしてゼブルス家の名前が出ないようにする。



「こんなもんでどうだ?」


グラキエス家当主は父上にそう尋ねる。


「……バアル」


仕方ない。


「父上に代わって失礼します」

「なんだ、交渉は息子に行わせるのか?」

「それが家の利益になると判断したまでだ」


アスラ様は父上にチクリというがそんなのどこ吹く風だ。


「まず、この鉱物はどれほどの値引きを行われるのですか?」

「……おい」


後ろにいる役人が1枚紙を差し出してくる。


「……本気で言っておりますか?」

「何か問題でも?」

「残念ですがこの値段では受けられません」


そう突き放す。


「ほう、明確な理由があるのだな?」

「ええ、我が家は過去に同じように便宜を図るからと言われ鉱物を安くするといわれたことがあります」

「それがこれよりも安いと」

「ええ、これがその資料になります」

「……は?」


俺は作成した資料を見せる。


そこには先ほど提示された値段よりもさらに安い金額が書かれている


「これだけ値引きをされて承諾しなかったのです、言いたいことはわかりますか?」


例えばA家で銀が相場から10パーセント引き、金が30パーセント引きの提示をされる、次にB家が銀40パーセント引き、金が20パーセント引きだと提示される。


そして俺は銀40パーセント引き、金30パーセント引きを提示しているに等しい。


もちろんこれは俺が作ったのは今まで(・・・)提示された最大限条件を参考にしているだけで何ら問題がない。


「だが、こちらもこの値段では受けられない」


当然だろうこの値段だと市場価格が壊れる。


「ではいくつかの案件を飲んでもらえるなら条件を見直しましょう」


ゼブルス家

・第二王子派閥主催のパーティーには特別な理由もなしに欠席はしない→第二王子派閥主催のパーティーは不都合がない限り欠席はしない。

・第二王子からの要請は利益が生じない場合を除いて要請を断らない→第二王子の要請は標準的な利益が生じない場合以外要請を断らない。

・あくまで中立だと言い張るため表立って第二派閥であるとは公言しない→あくまで中立と言い張るため自らは表面的には中立を装い、裏でできるだけ支援をする。

・ゼブルス家所有の魔道具の優先的販売→イドラ商会の新商品のみ販売予定日前に予約可能。


グラキエス家

・ゼブルス家に鉱物を安く供給する→ゼブルス家に鉱物を市場価格よりも安く供給する(別途割引あり)。

・ゼブルス家から第二王子派閥支援の際にはグラキエス家が仲介をしてゼブルス家の名前が出ないようにする。

・第二王子派閥がゼブルス家を標的、又は派閥内の除外を受けた場合それの援護をする。


という風になった。


「また鉱物については輸送なども行ってもらえますか?」

「それはそちらでか、もしくはお抱えの商会を使ってもらいたい」


まぁそれくらいは引き受けよう。


「では父上、交渉はこのように纏めましたがいかがですか」

「ん?ああ問題ないよ」


俺がグラキエス家ならこんな条件で結んだりはしない、だがグラキエス家はすでに第二王子派閥であることを明確にしている。


もし第一王子が王位を得たら冷遇されるのは目に見えている。


逆に第二王子が王位を取れば、その分優遇してもらうことができ条件ででた損失を簡単に埋めることができるだろう。


「………」


アスラ様は渋い顔をしている。


そりゃそうだろう、すぐにでも異議を申し立て条件を変更、もしくは交渉を破棄したいはずだ。


だけど今損してでもゼブルス家を味方につけなければならない。もしゼブルス家を味方につけなければ第二王子派閥は一気に後退することになるからだ。


仮にこの交渉を蹴ったとしよう。それ自体は別にいい。でも第二王子派閥が負ければ結果的に損をすることになってしまう。


つまりは投資に似ている。イグニア殿下という会社にさらに投資をして後々利益を得る。それか投資はせず、現状を見守る。この場合は会社(イグニア殿下)が倒産する確率が増える。そして親戚関連からグラキエス家はエルド殿下に乗り換えることはできないのだ。


ということでそこをつかせてもらい、有利な条件を引き出した。










交渉が終わると二人をメイドに託して俺と父上は執務室に戻った。


「どうですか父上」

「……やりすぎだ」


つまりは追い詰めすぎということか。


「知っています」


それを考慮に入れながら交渉した。


これを何度も続ければゼブルス家は弱みに付け込む家だと判断されるが、交渉したのは俺。


しかも今回が貴族同士で初めての交渉だ、やられすぎたのならともかくやりすぎて文句は言われないだろう。


またやりすぎても、まぁ最初なら仕方ないか~という感じに落ち着くはずだ。


「ということで次からはほどほどにしますよ」


すると父上が頭を抱えている。


「だが、確実にグラキエス家には嫌われたぞ」

「知りませんね、中立を保っていた我が家を引き込んだんです。それくらいの損をしてもらわないとほかの派閥に顔が立ちませんよ」


有名な会社の株が値上がりするのと同じようなものだ。


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