今回の対処法
呪い。それは魔法の一種で、病気や疫病、災害などを引き起こす禁忌だ。使用には莫大な期間と魔力が必要になるが効果は絶大。
「となると厄介だな」
呪いは一定の距離に呪い用の魔法陣を設置しなくては発動しない。
だがその距離はゼブルス領の端に設置しても届く距離だ。
「さてどうするか……」
騎士団を総動員しても探すのに短くても3か月は掛かるだろう。
「セレナ、呪いを追跡する方法はあるか?」
「あるけど、正直おすすめしないわよ」
なんでも呪いを一度その身に誘導し、その効果を受けながらどこから発動しているかを知る方法があるのだとか。
しかし効果は呪いが消えるまでずっと受け続ける。
「たぶん、この規模の呪いだと3秒もすれば死にますよ?」
ならばその方法は使えない。
「他に方法は?」
「知る限りはこれしかありません」
セレナの知識でも方法がない。
「さてどうしたものかな」
(いっそ死刑囚にやらせるか?)
生き残れたら開放するという条件でやらせるのも手の一つだ。
さすがに本当に逃がす気はないので後々殺すが。
「………?」
「どうしたんだ?」
リンが何やらとある方向を凝視している。
「いえ……なんでもありません」
とりあえずリンのことは気にせずに周囲の村に状況を聞き取る。
「で、説明してもらおう」
「はい、変化が起こったのは一年前です―――」
それから詳しい話を聞くがほとんど資料と同じで全くヒントになりそうなものは無かった。
「―――これで全部です、どうでしょうか」
「資料よりも詳しい状況が分かった、礼を言う」
少しは詳しい状況を確認できたが、ただそれだけだった。
「……あのぅ」
「どうかなされましたか?」
「あの森には何かあるんですか?」
リンは凝視していた方向に何かあるのか尋ねた。
「あの森ですか?あれは『迷いの森』ですね」
「迷いの森?」
リンが気になっていた場所にはある言い伝えの場所があった。
「あの場所ではあらかじめ作られた道以外を通ると元の場所に戻されるという伝説があるのです」
現に村人もそれを経験したものが何人もいるらしい。
「ほかにも新しく道を作ろうとすると急に魔物の群れが襲って来たりなどで一切作業ができないのです」
まぁそれは確実に何かの存在が関与しているだろうな。
「で、なんでリンはあの森が気になっているだ?」
すると自信なさげにリンは語る。
「――は?視線を感じた?」
「いえ、視線ではなく見られている感覚です」
リンは『土知りの足具』と言うものを身に着けており周囲の状況を常に把握している。
だが見られている感覚があったときに周囲に何かの気配はなかったそうだ。
「じゃあ、とりあえず行くことにするか」
なにも手掛かりがないんだ、ここは行って見るべきだろう。




