死神
そして次の日、リンと共に昨日と同じように周り、夜、時計台の元にやってくる。
「こんなところにダンジョンが」
「俺も驚いたよ」
ということでさっそく侵入するのだが。
ギャア!
ゴゥ!
アガ!
俺もリンもかなりのスピードで移動しながら敵を切り伏せていく。
衝突事故と言ってもいい。
「それでこの階はこれで終わりですか?」
全ての宝石を集めて扉の前に来ている。
「ああ、じつは隠し扉もあるみたいだが、俺がいるからか既に開いていたけどな」
おそらく二人のうち一人でも開けた人物がいたらその状態を維持するのだろう。
「しかし歯ごたえないですね」
「だな」
セレナの時のようにゆっくりと移動したわけではないので信じられないくらい速く終わった、おそらく5分も掛かってない。
続けて二階もあっさりと階段を見つけることができ上に上がる。
「ここはどこかの屋敷ですか……」
この階層は7つの魔法陣を破壊することを伝える。
「わかりました」
ということで部屋を見つけてから全滅させていく。
「しかし、本当にダンジョンですかここ?」
そう言いたくなる気持ちはわかる。
今までで経験したダンジョンと比べると生ぬるすぎる。
それから6つ目の魔法陣を破壊したときそれは現れた。
パッキン!
黒い水晶を壊すと床に描かれていた黒色の魔法陣が消えていく。
「これであとひとつだ」
すると突如として背中に刃物が突き付けられた感覚がした。
「!?」
リンも即座に振り向き刀を構える。
感覚がした方を見てみると大鎌を持った真っ黒いローブがこちらの方を見ている。
(あれがセレナの言っていた“死神”リーパ―か)
即座にユニークスキルを全開にして、バベルを構える。
「……バアル様、あれが何かわかりますか」
「セレナの話だと俺でも勝てない魔物だと」
リンも俺の言葉で気を引き締める。
リーパーは唯一ある出口を塞ぐようにたたずんでいる。
(俺だけなら逃げることは容易だが)
リンは正直厳しいだろう。
俺なら『飛雷身』連続使用で即座に逃げることができる。
(仕方ない、一当たりして無理そうなら見捨てるのも視野に入れよう)
と言うことでリンと視線を交わす。
それからどちらが合図をしたでもなく動き出した。
まずは『飛雷身』で俺が背後から一撃入れようとする。
ガキン!
振り下ろされたバベルは大鎌で受け止められた。
(やっぱり強敵と言われるだけあるな)
バベルの感覚で俺の筋力じゃあ到底、敵いそうにない。
「はぁ!」
俺の攻撃を大鎌で防いでいる最中にリンは『風迅』で切りかかる。
だが
「!?」
リンの刀はボロく薄いローブを切り裂くことはできなかった。
「避けろ!!」
標的が俺からリンに代わり、大鎌が振り下ろされる。
「っ!!」
リンは大鎌を受け流そうとしたが、受け止めようとした刀をすり抜けそのまま腕を切りつけられた。
「距離を取れ!!」
俺とリンはそれぞれ『飛雷身』『風迅』で距離を取る。
「……やっかいだな」
「なにがっ!?」
回避した先でリン様子を観察すると切られた左腕がだらんとなっている。
「動くか?」
「……いえ、力も入りません」
ほんの少しの情報を繋ぎ、いくつかの答えを考える。
(重要なのは切られた左腕という点だな)
簡単に考えると切られた周辺の部位は動かなくなるのだろう。
だが様子を見るに動かせなくなるだけで、生体機能の停止まではないみたいだ。
「リン、防御するな回避のみだ」
「わかりました」
ということで攻撃を続ける。
そして何度か攻撃をするとわかったことがある。
(リンの攻撃は無視するが、俺の、もっと言えばバベルの攻撃は防ぐ)
ならば
「リンはアシスト」
「わかりました」
リンもそのことに気づいている。
本来なら『飛雷身』で飛び、攻撃をするのだが、この敵はどこやってか『飛雷身』の行き先がわかるみたいだ。
だから自身のステータスのみで攻撃を仕掛けに行く。
ギィン!
バベルはやすやすと防がれてしまう。
それを何度も繰り返し観察する。
(力はあっちが上、速さはこっちの方が上)
それゆえに相手の攻撃をかわしながら攻撃できる。
「クッ!?」
リンの方は死角から切りつけているのだが、全くと言っていいほどダメージにならない。
本来なら剣が通じないならユニークスキルを使えばいいのだが、この部屋の中では自分すらも巻き添えになってしまう。
(!?)
考え事をしていたら一手間違え、大鎌を躱し忘れた。
(ダメだ、視界もほぼこいつに塞がれている)
『飛雷身』で躱そうにもどこに飛んでもこいつの懐の中だ、すぐさま軌道を変えて攻撃してくるだろう。
「っ!?」
となると体の一部を犠牲にして躱そうとするのだが。
ギィン!
なんと軌道上にあるバベルにぶつかり、鎌を防ぐ。
「『パワークラッシュ』」
鎌が止まっているうちにバベルを構えなおし、重い一撃を入れる。
すると衝撃でローブが翻り、ローブの中が見えた。
「『飛雷身』」
すぐさま距離をとり、リンと合流する。
「リン、耳を貸せ」
リンに方針を伝える。




