いずれまた
話し合いが終わり、夜になるとガルバさんが貸し切った店で祝杯をみんなで上げる。
「それにしても来年から交流が始めるのか~ノストニアに行くこともできるのかな?」
「おそらくだけどね、ただ限定的になるとは思うけどね」
「何かノストニアしかないご飯とかはあるの?」
「あるわよ、来た時に案内するわね」
それからノストニアにはどんなのがあるのかやお互いの生活のことを話していった。
そんな店の裏側では二人の影が重なっていた。
「来たか」
「今回はどんなのだったの?」
「経緯はここに記してある」
「さすがね~とても細かいわ、にしてもこんなことが起こっているなんて、若に指示されるまで全く知らなかったわ」
「……もう若は知っているのか?」
「ええ、本当にどこから情報を手に入れているのだか」
二人は身震いをする。
「それとだが今回の件でアズバン家が横やりを入れてくると思う、そこで」
「王家の力を借りたいのね」
「ああ」
「多分大丈夫だと思うわ、事がことだから」
「助かる」
「……ねぇ私もあの料理が欲しいんだけど」
「馬鹿を言うな、さっさと届けてこい」
「うぅ~あんなおいしそうなのに、くれなければゼブルス家での痴態をさらすわよ」
「してみろ、その時は私と隊長でさらに何倍も恥ずかしい話をまき散らすからな」
「う~~、さよなら私のご飯」
「さっさと行け、ルナ」
「そっちもへましないでね、デッド」
それから数日が立ち、王都に戻る時が来た。
「皆さんお世話になりました」
僕たちの見送りに様々な人が来てくれた。
「ではシスターソフィアこれにて今回の巡礼は終了です」
「はい、ありがとうございました」
エルダさんはソフィアに証拠の書状を手渡す。
「向こうでも元気でな、これ道中で食えよ」
マークスさんはドライフルーツを包んで渡してくれる。
「ほらジェナも」
「っち、あ~あれだ、確かにお前のユニークスキルは強力みたいだ。だが覚えていろ、この世界にはそんな力が効かない相手もわんさかいるってことをな」
ジェナさんはそっぽを向きながら強くなるアドバイスをくれる。
「はっはっは、相変わらず素直じゃねぇな」
「うるせえ、ベルヒム!」
「っ痛~~、まぁなんだ今度こっちに来た時に知りたいことがあったら俺を訪ねな」
「その時はよろしくお願いします」
残念ながらデッドさんは仕事で来れないみたいだ。
「お~い、アーク、そろそろ出発するぞ~」
「うん、では皆さん今回はお世話になりました」
すると見送りに来てくれた人たちは笑ってくれる。
「また来いよ」
そんな声を聴きながら馬車が出発する。
ゴトゴトゴト
「いい街だったね」
「だな」
馬車に揺られながら街道を進むと、何やら手紙が馬車の中に入り込んでくる。
「なんだろうこれ?」
手紙を開けてみるとルーアさんからの手紙だった。
「アーク、ルーアから何だって?」
「今回の件は本当にありがとう、今度は私が力になるって」
ルーアさんはパーティーの翌日には弟を連れてノストニアに戻っていったのだ。
(また行こう)
こうして僕たちの夏休みは終わった。




