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この事件の裏にも

この場がひと段落すると全員が席に着く。


「まずはエルフとして、そして姉としてお礼を言います」


ルーアさんは立ち上がり全員に頭を下げる。


「問題ないですよ、こちらとしてもアズリウスが標的にされてはどれだけ被害が出るか」

「こっちとしても身を守っただけだしな」


エルダさんとジェナさんは礼は不要という。


「う~ん!!私としては個人的な取引が成立したから全く問題ないよ!!!あと今夜ディナーでもどうだい?」

「俺も情報屋として動いただけだしな」


ガルバさんは相変わらずで、ベルヒムさんも仕事をしただけだという。


「みんなも手伝ってくれてありがとう」


ルーアは僕たちにも頭を下げる。


「よかった!よかった!これにて一件落着だね!!……ただ」


するとガルバさんの顔色が変わる。


「一つだけいただけないことがあるんだけど」

「なにかあるのか?」


ベルヒムさんやここにいるみんなはガルバさんの言おうとしていることが予想できない。


「まず確認だけど、ノストニアにおける商業の補助という便宜を図ってもらえることになっているよね?」

「ええ」

「それは組織(・・)で?それとも……個人(・・)でかい?」

「……」


このやり取りで数名が何かに気づいた顔をした。


「一つ引っかかっていたんだ、なんでこの場に君しかいないんだ?受け渡しをするなら護送するために数名は必要だろう?」

「それは……」


たしかに、いくら何でも護送するにしてはルーアさんだけで足りるとは思えない。


もし仮に近くにいたのならこの話し合いに参加するのが普通だろう。


「それにだ、オークション最中の行動が変だった」

「そんな時あったか?」


オルドは理解してないようだ。


「ルーアがメイドを見てなぜ動いた?普通なら仲間にその女を見張らせて自分はオークションに参加して無事を確かめるべきだろう。仮にルーアの暴走だとしても味方の声すらも忘れるほど我を忘れていたのかな?」


ガルバさんの言う通りだ。


あの場面だとオークションに参加しやすいルーアさんがそのまま潜入し、味方のエルフにあの女性を見張らせるのが一番のはずだった。


もし仮にルーアさんの暴走でも仲間のエルフが止めているだろう。


「僕の考えでは、ルーア、君は組織で動いていない、違っているかな?」

「………」


ルーアは何も言わずに目を閉じる。


「その通りですよ」


僕たち五人は驚く。


「詳しく話してくれますね」


エルダさんが促すとルーアは静かに話し始めた。







まず、ルーアさんの弟を救出されるのは決定事項だ。


だけどここで問題なのが新王の方針らしい。


「新王は来年から各国と交流を持つつもり、でもそれをよく思わないエルフもいる」


それらのエルフがアイルが攫われたことを理由に交流を撤回させようと考え始めた。


「私は『樹守』、だから王の考えや意見を聞いたことがあるの」


それからの説明で樹守とは貴族のようなものだと教えられた。


「王はこのままではエルフが衰退していくことがわかっていた、だから何とかしようと外との交流を盛んにしようとしたの、でも頭の固いエルフはこれを機に人族に大規模な報復をすることで交流を断とうと考えているの」

「それでルーアが」

「そう、できるだけ穏便に事態を済ませ、反対派に付け入るスキを与えないようにするためなの」


これで全員が納得した。


「まぁ、弟が心配で飛び出してきたのは私の独断だけどね」

「「「「おい!」」」」


でも納得した。


つまりはルーアさんだけで弟だけではなくエルフ、それに僕たち(ヒューマン)のことも考えて動いていたのだ。


「ということで組織としては協力できないけど、私自身はそれなりの地位にいる。私のできる限りは協力するつもりです」

「ふぅ、なら安心だね、一応は君もそれなりの立場にいるようだし」


ガルバさんは支援を受けることができるのがわかって安心している。


「そんなことをしなくても今回一番得したのはお前だろうが」

「何のことかな?」

「まずはエルフ交流の先駆け、裏オークションの伝手を作って、裏カジノでの約3000枚の金貨の利益、さらには商売敵を唆し裏カジノで破産させた。最初以外でも十分おつりが帰って来るほどだ」


これには僕たちは全員が口を開ける。


「はは、商人たるもの一つの機会でいくつもの利益を得なくちゃ」


油断できないとここにいる全員が再認識した瞬間だった。


「一応確認だけど、エルフとの交渉に君が参加してもらうことはできるんだよね」

「もちろんよ、それなりに伝手があるから問題ないわよ」


ということでガルバさんの懸念はなくなった。


「でもどうやってルーアと連絡を取るのですか?」


僕は疑問になったことを聞く。


「それは俺が手はずを整えよう」


これにはデッドさんが立候補した。


「俺は王宮の役人の伝手がある、それを使う」


デッドさんの話だと僕たちがルーアさんと出会った村にエルフと連絡できる要員を置き、双方から連絡できるようにするらしい。


「そのために力を貸してほしいのだが」

「わかったわ」


ということでこの場での話し合いは終了した。

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