これにて一件落……なんで女の恰好?
「驚きですね」
「な、賭けといて正解だろ?」
観客席は騒然としている。
それもそうだろう勝利が確定だと思っていたのが覆されたのだから。
(持ち金を全部使ったバカもいるみたいだな)
数人は目が血走りながらアークたちに叫んでいる。
闘技場では仮面を着けた人たちがアークたちを回収している。
(ほとんどセレナの言う通りになった、なら)
俺はさっさと換金を済ませると躰を王都に移動させる。
目が覚めると見慣れた天井が目に入ってきた。
「ここは……教会か……」
今いるのは数日間オルドと共に使っていたベッドだ。
傍に用意されている服に着替え、ベッドから下りる。
「……オルドもいたのか」
隣のベットで気持ちよさそうにオルドは寝ている。
部屋を出るとその足で礼拝堂の方に向かう。
「アーク!!!」
礼拝堂ではソフィアが掃除をしていた。
「もう大丈夫なのですか!?」
そういいながら僕の体をチェックする。
「大丈夫だよ」
「なら安心です」
ここで疑問になっていることを聞く。
「えっと、なんで僕は寝ていたの?ワイバーンに勝ったよね」
「それは「よう、元気そうじゃねえか!!」」
礼拝堂にジェナさんがやってきた。
「ジェナさん」
「けがは全部エルダが治したんだが、なにか違和感はあるか?」
体を確かめるけど
「いえ、無いです」
「そうか、それとそろそろ奴さんたちが到着する、例の部屋に集まってくれ」
と言うことで僕たちは例の部屋に訪れる。
中にはエルダさん、ジェナさん、ベルヒムさん、デッドさん、それと僕たち五人とルーアさんだ。
「ルーアさん」
「よかったわ、無事で」
ルーアさんも心配してくれたようだ。
「体はもういいの?魔力を使いすぎて生命力を削っていたのよ?」
MPが0になった状態で魔力を使うと生命力、つまりはHPを削ることになる。
空になった水瓶から水は掬えないように、どこかで無理が来て生命力が減っていく。
「アレくらい平気だよ、それよりもあの魔法はありがとう」
「…………私にも責任はあるから」
「それでもルーアさんは戻って来てくれたじゃないか」
ワイバーンの戦闘中に聞こえた声、それはルーアさんのものだ。
「お礼ならジェナに言って、彼女のおかげでアークたちがピンチだと教えてくれたから」
そうはいうがルーアが僕たちの命を救ってくれたのだお礼を言って当然だろう。
「どうやら来たようだな」
デッドさんの声でみんなの視線が扉に集まる。
バン!
「やあ!やあ!待たせたね!!」
扉から現れたのはガルバさんだった。
「おい、例の子は?」
「もちろん連れてきているよ」
ガルバさんが道を譲るとルーアさんを幼くした女の子がいた。
「「「「「え?!」」」」」
攫われたのはルーアさんの弟だったはずじゃあ……
「アイル!」
「おねえちゃん!!!」
ルーアさんとアイルくん(ちゃん?)は抱き合う。
「良かったわ、無事で」
するとアイルは安心したのか泣き始めた。
「……で、これはどういうことだガルバ」
「いや、ほらさ、こんなきれいな男の子ってなかなかいないじゃん、でも綺麗な女の子なら貴族とか特殊な事情を持つ子供とかで結構いるだろう?」
つまりはカモフラージュのつもりであんな格好をさせているのか。




