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お手並み拝見するとしよう

「では皆さま、時間です」


係りの人が来て、僕たちを闘技場まで案内する。


『急遽開催したにもかかわらず多くのお客様にお越しいただき誠にありがとうございます。それでは今宵の対戦はかの有名なグロウス学園の生徒です!!』


闘技場に出るとライトが照らされる。


「アーク君」

「わかっているよ」


僕たちは気を引き締めなおす。


『そして対する相手は亜竜と呼ばれますが、竜の1種であるワイバーン!!』


反対側にある扉が開くと大きな檻が出てくる。


ギャァアアアアアアアア!!


檻の中でワイバーンが暴れまわっている。


『それでは~~~~はじめ!!』


声と共に檻が開かれる。


「行くよ皆!」

「おう!!」

「ああ!!」

「ええ!!」

「うん!!」










「連携は上手いな」

「そうですね、トロールを倒した実績があるのも納得です」


俺は観客席から五人の様子を窺っている。


(咆哮はあらかじめ知っていたのか)


証拠に耳を塞ぎ、咆哮を防いでいた。


(まぁすべてを防げたわけではないだろうがな)


証拠に少しだけ動きが鈍っている。


『泉の精霊よ、我が声が聞こえるならば力をお貸しください“泉の奔流(ルカルーサ)”』


少女の一人が詠唱すると水の固まりが五人の周囲に展開する。


「なんでしょうかね」

「おそらく支援用だろう」


水系の精霊魔法を使い、緩衝用の壁にしているんだろう。


(そうでもしなければ一撃で死ぬだろうし)


「あの二人は良く躱しますね」


アークとオルドがワイバーンのヘイトを貰い、カリナとソフィアが支援と回復、リズはワイバーンの目などを狙い行動の阻害と少しずつのダメージ蓄積といった具合だ。


「ですが、あれぐらいではワイバーンに勝てないのでは?」

「まぁ普通ならそうだろうな」


だがユニークスキル持ちなら普通のくくりに入ることはまずない。


「おお!!」


闘技場を見てみるとワイバーンが吐き出した炎が五人を飲み込む。


「アレくらいは平気だろう」


この体の目に搭載してあるズーム機能で現状をよく観察する。


五人の周りにはカリナが出した水の塊がそれぞれを飲み込み炎から身を守っている。


次第に炎が弱くなると五人は動き出す。


アークはワイバーンの足から駆けあがり背中を移動する。


オルドは逆に足元からお腹の部分に潜り込み、殴りかける。


「これなら、掛け金が無駄にはなりそうもないですな」










それなりに順調に戦えている。


『いいか、まず最初にやるのは咆哮への注意だ』


ジェナさんの言う通り、ワイバーンは最初に咆哮を繰り出してきた。


『ワイバーンは咆哮を強者かどうかの選別に使っている、だから完全には防ぐな、程よく喰らって逆に油断させろ』


ということで咆哮の声を完全に遮断せずにある程度軽減できるように耳を塞いだ。


「ジェナさんの言った通りですね」

「ああ、それじゃあカリナ頼むぞ」

「わかっている、泉の精霊よ、我が声が聞こえるならば力をお貸しください“泉の奔流(ルカルーサ)”」


カリナが水精霊を呼び出すと、僕たちの周囲に水の塊を作り出し、周りに浮かせる。


『ワイバーンで肝になるのはカリナ、お前だ』

『私ですか?』

『ああ、お前の精霊魔法はワイバーンに相性がいい、衝撃を和らげることができてブレスの炎を受け止めることもできるからな』


ということでワイバーン戦の要はカリナと言ってもいいほどだ。


動けるようになるとワイバーンは先ほどの咆哮で動けない僕らを見て笑ったような気がした。


動きもいたぶるような動きで距離を詰めてくる。


『そしてアーク、オルド、お前たちは絶対に攻撃を回避しろ』

『なぜですか』

『お前らの防御力ではどんな鎧を着たとしても衝撃で死ぬ、だから避けろ』


「万物の御霊よ、彼の者に大いなる力と祝福を授けたまえ“自然の祝福(プネウマ)”」


ソフィアが強化魔法を使ってくれたタイミングで僕とオルドはワイバーンに迫る。


『だが、それは攻め込むなと言う意味じゃないぞ、むしろお前たちがワイバーンの気を引かないと後ろの三人が危険になる』


と言うことで、攻め込みながら攻撃をかわし僕たちを攻撃対象にするのが目的だ。


何度か攻撃しているとワイバーンが距離を取り始めた。


「これはっ!」


カリナが手を突き出すと、僕たちの周囲に浮いていた水の塊が大きくなって僕たちを包み込む。


ガァアアアアアアアアアアアア!!!


ワイバーンの口から炎がまき散らされ、僕たち全員を飲み込む。

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