僕たちが頑張らないと
「裏カジノってどんなのがあるんだ?」
迂闊に頷いたことを反省したのかオルドは情報を聞き出す。
「実は裏カジノで大きなイベントが告知されてな、なんでも闘技場にワイバーンが出るようだ」
この話を聞いて僕たちは顔を見合わせる。
「裏カジノは私も何度か入ったことがあるが、あの闘技場でワイバーンとなるとほぼかけが決まったものだからな、少しは金額を増やせるだろう」
「もしワイバーンの相手に賭けて、それが勝てばどうなりますか?」
「レートはかなり跳ね上がるだろうからな、だがハイリスクだぞ」
僕たちは頷きあう。
「ちなみにレートはどのくらいかわかりますか?」
「確かワイバーンが1.2倍で相手側は11倍だ、ワイバーンの方は1.1まで下がるかもしれないが相手側はいくらでも跳ね上がる確率はある」
「わかりました、ガルバさん僕たちに投資をお願いします」
「へ?」
「実はそのワイバーンの相手は僕たちなんです」
「!?初耳なんだが」
「多分あの爺さんのことだからその方が客入りが良くなるとでも考えたんだろう」
オルドはクアレスのことを言っているんだろう。
人は知らなかったら知りたくなるからね。
「僕たちならワイバーンに勝てます、勝ちます!なのでお願いします」
「「「お願いします」」」
「……わかった」
するとガルバは立ち上がると。
「560!!!」
「「「!?」」」
500前後で緩やかに上がっていったのを一気に高く積み上げる。
「出ました!560枚!ほかに上の金額のお客様はいますか?…………………いないみたいですね、では本日最後の商品は本日最高額560枚で落札です!!!」
そういって司会者は木槌を叩く。
「これで僕たちは一蓮托生だね」
「ガルバさん…」
「そんな顔をしないでくれよ、僕は君たちに賭けた、ただそれだけだよ」
「僕たち、絶対に勝ちますから!!」
オークションが終わるとガルバさんは一室に連れられて行った。
「いや~まいったね、商品は金額が払ってからじゃないとダメだってさ」
「ガルバさんは大丈夫なんですか?」
「はは、金額をそろえないと八つ裂きにされるってさ」
さらっと怖いことを言う。
「ほら移動しようか」
僕たちは会場を出るとその足で乗ってきた馬車へと向かう。
「よう、遅かったじゃねぇか」
馬車には既にジェナさんが乗り込んでいた。
「で、どうだった?」
「それがあまり、いくつもの問題が起こってね」
「どんなだ?」
ルーアさんが行方不明になったこと、オークションで金額が足りずに超過したこと、裏カジノを当てにしていることを説明する。
「なるほどな……とりあえずカジノに移動しよう」
裏カジノに着くとそこにはクレアスの爺さんが待っていた。
「尻尾撒いて逃げたかと思ったぞ」
「うるさい爺さんだね、ほらさっさと案内しな」
「せっかちじゃのう」
僕たちは裏カジノに入る。
「じゃあ僕は君たちに賭けてくるよ」
ということでガルバさんとは別行動になった。
控室に着く。
「さて、この三日間でお前たちを鍛えた、あとは全力でぶっ潰してこい」
ジェナさんがいい笑顔でそう告げる。
「そろそろ時間です準備をお願いします」
係りの者がそう告げると僕たちは準備してある防具と武器を持つ。
「そうだ、エルダからこれを預かっている」
ジェナさんが渡してきたのは5つの仮面だ。
「お前らなの顔が広まるのはまずいだろうからってさ」
仮面は顔の下半分を隠すようにできていて、素顔を隠すのならこれで十分だ
「それとだが、私はルーアを探しに行く、さすがに先走って弟のところに行かれたらあいつまで捕まってしまいそうだからな」
「そうですね」
あの状態だと弟の姿を見ただけでどんなに敵が居ても突撃しそうだ。
「……死ぬなよ、死にさえしなければ絶対に助けてやるから」
そういってジェナさんは闘技場から出ていった。
「……やれるかな」
「やれるさ、何弱気になっているんだよアーク」
「そうですよ、死にそうになってまでジェナさんに鍛えてもらったじゃないですか」
皆に励まされて僕も顔を上げることができた。




