表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/470

非常識な手立て

「どうですか、男でもかなりの値段で買われていくんですよ」


これには僕たちは何も言えない。


「言い方は悪いですが、エルフという種族自体が珍しいですから男の子でもかなりの値段が出てくるんですよ」

「……金貨400枚で足りますか」


ソフィアは少し不安になる。


「まぁそこは神に祈るしかないな」







それから何人もが出品に出されて売られていった。


「こんなことが平然と……」


ソフィアは青い顔をしている。


それもそうだろう、同じくらいの少女の叫び声を聞けば気分も悪くなる。


僕もみんなもその瞬間に腰を浮かしたほどだ。


「次の商品は今回最後の商品で比較的に手に入りにくい商品となっています」


シーツを取るとそこには耳が長く、髪が長いエルフの男の子(・・・)がそこにいた。


おそらくあれがルーアさんの弟だろう。


「ご存じの通りエルフはノストニアから出てきません、ですが今回不法に我が国に侵入したことで捕えることになりました」


この言葉を聞いて僕は怒りを覚える


(違うだろう!お前たちが攫って来たんじゃないか!)


この場にルーアが居なくて正解かもしれない、あの言葉を聞いて冷静でいられるとは全く思えない。


「では金貨70枚から始めます」


「ガルバさん」

「任せてくれ」


僕たちも参戦する


「110!」

「130!」

「145!」

「160!」

「170!」

「200!」


瞬く間に金貨200枚まで上がっていく。


「220!!」


「225!」

「230!」

「237!」

「240!」

「243!」

「245!」


250前後で勢いは収まってきた。


「270!」


「273!」

「280!」


「300!!」


ガルバさんの程よく数を飛ばすやり方で人数が減ってきた。


「310!」

「315!」

「325!」


だんだん僕たちの限界に近付いてきた。


「350!」


「360!」

「367!」

「372!」


「400!!」


これは僕たちの出せる最大の金額だ。


これで手を上げる人がいなければ……


僕らは願うように周囲を見回す。


「さぁ!金貨400枚出ました!これよりも上のお客様はいらっしゃるでしょうか!!!」

「「「「「………………」」」」」


声が上がらない。


「このまま競り終わってくれ」


ガルバさんの声が切実な願いであった。


「ではこれによ「500枚」へ?」


とある一角から声が上がる。


「……負けましたか」

「そんな!?」


これではルーアさんの弟を買い戻すことができなくなってしまう!


「なんとかなりませんか!!」

「……手がないこともないですが」

「教えてください!!」

「……裏カジノだ」


今までのガルバさんとは違い、その声は弱弱しかった。


「もし金額を超過して競り落とした場合はどうなると思いますか?」

「それは無理やり取り立てられるんじゃないですか?」

「ええ、ですが追加で資金を用意し、取り立てが始まるまでに金額を納めれば全く問題ないのです」


ですが短期間でかなりの金額を用意するのはまず無理ですがね、とガルバさんはつぶやく。


「つまりはとりあえず支払いを待ってもらい、金貨400枚をそこで賭けて、勝つそれならば」

「……ですが負けたら?」

「もちろん、無理にでも取り立てられます、下手すれば今度は自分たちがあの場に立つことになります」


僕たちは買われていった人たちの表情を思い出す。


「正直これは私は関われない、つまりは君たちの決断がすべてを決める」

「僕たちが?」

「ああ、賭けは私の400枚を貸し出す」


つまりは僕たち自身を賭けの対象にするようなものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ