五人で挑んでも…
「さてじゃあ最後に全員で私に掛かってこい」
ジェナさんが僕たち全員を相手にする。
「行くよ!!」
「おうよ!!」
まずは僕とオルドが詰め寄る。
「万物の御霊よ、彼の者に大いなる力と祝福を授けたまえ“自然の祝福”」
「泉の精霊よ、我が声が聞こえるならば力をお貸しください“泉の奔流”」
「『二連速射』!!」
次にカリナの精霊魔法でジェナさんの三方向に水の壁を作る。
ソフィアは僕とオルドに支援強化を掛ける。
リズは瞬時に二本の矢を放つ技を使用し、僕とオルドの間からジェナさんに向かって放つ。
「連携は合格ラインだ」
矢を躱し、限られたスペースの中で僕の斬撃とオルドの拳を避ける。
「さあ!次はどうする!!」
ジェナさんは反撃せずに僕とオルドの攻撃を避け続ける。
(だめだ、このままじゃ僕たちの攻撃が当たらない)
僕とオルドの攻撃は完全に見破られている。
カリナの魔法で逃げるスペースを狭めようとも、これ以上狭めれば今度は僕たちが動きずらくなる。
リズは僕たちに当てないように矢を放とうとしているがなぜだか矢を放つ気配がない。
「なんだ手立てがないのか?」
「オルド」
「おう」
僕とオルドは一度距離を取る。
すると水の壁が狭まりジェナさんを飲み込もうと動き出す。
「そう来たか、だがな」
ジェナさんは迷うことなく僕とオルドに接近する。
「こうすればいいだけだろう」
水の壁が止まる、このままジェナさんを飲み込もうとすれば僕たちまで巻き添えになるからだ。
「二人から、離れろ!!」
リズが何とか僕とオルドから距離を取らせようとしてくるが矢の軌道が解っているのか矢を潜り抜けながら接近してくる。
「はぁこんなもんか」
すると強い衝撃が体に巡り、意識が遠くなる。
ドサッ!!
僕は横たわりながらなんとか目を開けて様子を見ると、オルドも同じように倒されていく。
次に魔法を止め剣を構えたカリナが相手になるが、すぐさま攻撃を食らい気絶させられていく。
「前衛が全滅すれば終わりだよ」
その声が戦闘中で最後に聞こえた言葉だった。
気が付くと訓練場にある木陰に寝かされていた。
「目が覚めたか」
横でオルドが水を飲んでいる。
「負けたか~~」
さすがAランク戦闘者と言うべきなのかな。
「僕たちならもう少し戦えると思ったんだけど」
「それは俺も考えたんだが、こうもあっさりと負けるとな~~」
オルドももう少し善戦できると考えていたんだろう。
「まぁ今回はユニークスキル無しで挑んだ、だからしたかないさ」
「……仕方ない、でいいのかな」
確かにユニークスキルを使えばもう少し善戦できたのかもしれない、けど……。
「お前たち起きたな」
ジェナさんと三人が近づいてきた。
「ええ、僕たちの実力はどうでしたか?」
「正直言ってガッカリだ、トロールを倒したって聞いたがそれはユニークスキルがよほど強力だったんだろう」
ジェナさんの言葉が耳に痛い。
「と、それよりも一度教会に戻るぞ」
「何かあるんですか?」
「昼からエルフ達との会談があるんだ、お前らも参加した方がいいと思ってな」
ということで一度僕たちは一度教会に戻る。




