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人売りの理由

「さてじゃあこれからのことを話すわね」


ベルヒムさんのいなくなった部屋でエルダさんが話を始める。


「えっと僕たちは?」

「今はこの場で待機、そして現状を理解してもらうわ」


そういうと紙と筆を持ってくる。


「まず、一番に行わなければいけないのはエルフたちと協力関係になること。これは分かるわね」

「はい」


もともと僕たちは手伝おうとしていたのだ、異論はない。


「もし協力関係になれたら次に攫われたエルフの子を探すことになるわね」

「ですがどうやって探すのですか?」


カリナの疑問にエルダさんは答えてくれる。


「まず人攫いの目的は何だと思う?」

「……攫う目的ですか?」

「女性であればただ犯したいだけで攫うって可能性もあるけど今回は男と言うことでその線はほぼない、だとすると」

「依頼された、もしくは換金目的ですか?」


ソフィアの指摘にエルダさんはその通りと答える。


「他にもこの都市を攻撃するためにわざと攫って標的にしたりもあるけど、そこは追跡力のあるエルフよ、バレるリスクが高いわ。ほかには報復なんて線もあるけど森から出てこないエルフと揉めるなんてまずありえないからこの可能性もないわ。となると残りはシスターソフィアの言う通り依頼か人身売買による金目当てね」

「目的は理解できたけどそれが?」


オルドの言う通り目的は分かっても探せなければ意味が―――


「君は気づいたみたいね」

「……人身売買の場所にエルフの子がいる?」


そういうとみんながはっとする。


「正解、もっと正確に言うならば売り出される場所には必ずその子は現れる、ね」


たしかにエルフの子を売りに出すならその場にいないと商談が成立しない。


「でも~場所がわからないよ」

「大丈夫よ、それもベルヒムが調べているはずだわ」


エルダさんはベルヒムさんを信頼している。


「それよりも私たちはしなければいけないことがあるわ」

「それは?」




「協力者を見つけることよ」






エルダさんは昼になると出かける。


『私は少しの間いなくなるわ、その間にベルヒムが来るはずだからその時はお願いね』


それが僕たちに告げられた指示だ。


だがみんなの表情は少し暗い。


「…結局は留守番じゃないか」


オルドの言葉が全員の気持ちを表しているだろう。


なにせ、動いているのは主だってエルダさんとベルヒムさんだ。


僕たちは何もできない、だからとても歯がゆく感じるのだ。






エルダさんが出かけてから数時間後、ベルヒムさんが戻って来た。


「おい、ガキども、居場所が分かったぜ」


なんとベルヒムさんは数時間でルーアさんを見つけることができたらしい。


「ほらさっさと行くぞ」


ベルヒムさんに連れられて僕たちはとある宿屋にやってきた。


「ここだ、お~い」


ベルヒムさんは中に入ると宿屋に併設してある酒場の主人に話しかけた。


「ベルか、例の奴なら外に出ているぞ」

「どこに行ったか分かるか?」

「市場に行くって言ってたな」

「ありがとよ、ほら行くぞ」


酒場の主人の会話が終了すると、僕たちを連れてまた移動する。


「どこに行くんですか?」

「ん?店主が言っていたろ、広場に行くんだよ」

「なぜですか?宿で待っていれば出会うのでは?」


ソフィアの疑問の通りだ。


「馬鹿か、エルフの奴らがなんでこの町に集まっていると思っているんだ?」

「たしか仲間と会うために……」

「そうだ、つまりは今頃報告やら相談やらを行っていると予想できる……そしてその相談でこの街を襲撃するか決まる可能性もあるんだぞ」


そうかだから話し合いのうちに参加したいのか。

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