宿屋の店主「顧客のことを喋るのはちょっとな…」
僕たちはまずはルーアの場所を探す。
「あのすみません、ここにルーアという少女が泊まっていませんか」
「すまんがそういうことは言えないんだ、友人か?」
「そうです」
「もし顧客にいるなら伝えとくけど、お前たちの名前は?」
僕たちは自分の名前を教え、もしいるならば伝言を伝えるようにお願いした。
「やっぱり教えてくれないね」
その後も何件も宿を回るが泊まっているかどうかすら教えてくれる宿は無かった。
泊まっている、又は泊まりに来たら伝言をお願いしてきた。
キュ~~~~
ソフィアを見ると顔を赤くしてうつむいていた。
「おなか減ったね、そろそろ戻ろうか」
いい感じに空が赤くなってきたので教会に戻ることにした。
「二人とも~おかえり~」
教会の宿舎に戻るとリズがいた。
「デートはどうだった~」
「ええ、楽しかったですよ」
「それはよかった~」
これに二人の会話に入るとややこしくなりそうなので何も言わない。
「そういえばオルドとカリナは?」
「エルダさんの買い出しを手伝っているよ~」
部屋にいない二人はエルダさんと共に市場に行っているらしい。
「アーク、ソフィアが元気になってよかったね~」
リズもソフィアを心配していたのだ。
「リズ少し手伝ってほしいのですが」
「いいよ~」
「内容は聞こうよ」
「ソフィアが無茶な頼みをするわけないじゃ~ん」
まぁそうなんだけどさ。
ソフィアはルーアの弟探しを手伝いたいことをリズに伝える。
「いいよ~」
ということでリズもエルフ探しに協力してくれることになった。
「戻ったぜ」
「ただいま帰りました」
しばらくするとオルドとカリナが部屋に戻って来た。
「おかえりなさい」
ソフィアの声にオルドとカリナは安心した顔をした。
カリナはソフィアの元にオルドは僕の首に腕を回す。
「うまくやったようだな」
「まぁね」
「で、どんな悩みだったんだ?」
僕はソフィアがエルフのことを憂いていることを説明する。
「そっか」
「それでオルド達にもエルフ探しに協力してほしいんだけど」
「いいぞ、こんな話を聞いて無視できると思うか?」
オルドは快諾してくれた。
「無論、協力する」
「ありがとう、カリナ」
向こうも話が付いたみたいだ。
「じゃあ、みんなでルーアの手助けをしよっか」
「「「「お~」」」」
それからルーアがどこにいるか話し合っていると教会の子供がご飯ができたことを教えてくれる。
僕たちは食堂に移動して神光教の祈りを真似してから食事を始める。
「それで、シスターソフィアはいつ王都に帰還するのですか?」
シスターエルダが聞いてくる。
「それなのですが―――」
ソフィアが困っている人がいるので手助けしたいという旨を告げる。
「そうですか、本来なら王都に戻り巡礼の報告をするのが正しいのですが、そういう理由なら何も言いません、その方の問題が解決するまでここを使ってください」
「ありがとうございますシスターエルダ」
シスターエルダが許してくれたので僕たちは宿に困ることなくアズバン領に滞在できるようになった。
「それでその方はどのような問題を抱えているのですか?」
「それは―――」
ルーアの弟が人さらいに合ってここまで探しに来たことを伝えると、エルダさんの顔色が変わった。
「人攫い………ごめんなさい、ここまで大きい問題だとは」
エルダさんは何やら考え込む。
「正直に話してほしいのですが、その人は外国の方ですか?」
これには少し迷ったが頷くことにした。
「そうですか………シスターソフィア、この問題にかかわることはやめておくことをお勧めします」
「なっ!?」
ソフィアは驚いている。
「おそらくこれは一学生、貴族でもない子供が関わったらどんなことが起こるか」
「シスターエルダは放っておけと!!!」
「そうではありません、この件は何の力もない子供には荷が重いということです、国に任せてあなたたちは関わらないようにすべきです」
エルダさんの言い分も理解はできる。
なにせ子供が危険なことをしようとしているのだそれを阻止しようとするのは当然だ。
「それでも私は彼女に協力します」
これにはエルダさんも観念したのか
「………意志は固いようですね、わかりました、私も手を貸せる限りで協力しましょう」
ソフィアの曲げない意思にエルダさんは折れてくれた。




