なぜこのようなところに
まずは二人に聞いた遊び場近くを探索する。
子供たちの遊び場はほどほどに視界が開けており隠れられる場所はあまりないだろう。
「アルーーーいないのかーーーーい」
ホーカスさんが大声で呼ぶが反応は無い。
「これは……奥に行ってしまったのかな」
「そうだと思います」
僕とホーカスさんの意見が重なった。
「だけど、どの方向に行ったのか……」
「私ならわかるわよ」
「!!そうだ、ルーアは魔力を見る魔法が使える」
人探しには一番最適な手段をルーアは持っている。
「え………魔力を見る…………」
だがホーカスさんは何やら思案顔を作る。
「見えたわ、こっちよ」
ルーアを先頭に森を進んでいく。
「……」
ホーカスさんは何やら考え込んでいる。
森を走ると、しばらくすると広い草原までたどり着いた。
すると草原の中で居眠りをしている子供が一人いる。
「はは、アルはここで昼寝をしていたのか」
どうりで現れないはずだ、とホーカスさんはつぶやく。
「アル、アル、起きて」
「ん、ん~……あれ、ホーカスさん?……あ!かくれんぼ!!!」
居眠りしてしまったことを思い出したのだろう。
「ほら、皆が待っているよ帰ろうか」
「うん!!」
何とか子供たちを見つけて村に帰ってこれた。
日が落ちると僕たちは教会で夕食をいただいている。
ホーカスさんが是非と進めてきたので無下にはできずにみんなでお邪魔した。
「そうか、君たちはグロウス学園の生徒なんだ、しかも特待生でか~」
グロウス学園の生徒であることを教えるとホーカスさんが感心している。
「そこまですごいの?」
学園のことを知らないルーアはよくわかってないみたいだ。
「平民が特待生になるのはそうそうないことだからね、そうだね……………子供が剣一本で狼の群れを倒したぐらいの偉業だね」
「それはすごいわね」
……なんか釈然としない例だ。
「さて、ルーア君、君は何者なんだい?」
食事が進むとホーカスさんが険しい顔つきをする。
「何者って?」
「君ができると言っていた魔力を見る力、それに似た種族を僕は知っているよ」
「……」
二人の間に緊張が走る。
「僕はこの村が好きだ、皆が好きだ、だからこの村を危険にさらすようなことはしたくない………だからなんでこの村に来たのか教えてくれないかな、エルフのルーア」
エルフ、それはノストニアにいる単一種族だ。
伝聞では人よりも高度な魔法を使い、森と共に生きる種族だとか。
ただ正直なところよくわかってはいない、なぜならエルフがノストニアから出てくるのはかなり稀なのだ。
「う~ん、どうやらそこの牧師は確信を持っているようね」
「ああ」
「じゃあ素直に話すわ」
そういうとルーアはローブを取る。
「「おぉ」」
思わず嘆息してしまった。
ローブから出てきたのは黄金と呼んでもいいほどの金髪にあどけなさが残るが美しさとかわいさが混在している美貌を持っている。
「私は弟を探しているの」
「弟?」
「ええ、里から突如としていなくなったの」
「どこかに見つけられないってことは?」
「ないわ、森は私たちからしたら庭も同然、見逃すことはまずありえないわ」
それにエルフには魔力を見る魔法がある。
「獣に襲われた可能性は?」
「それもない、詳しくは言えないけど私たちは森の獣には基本的に襲われないのよ、それに決定的な証拠が出たからね」
「決定的な証拠?」
「人の魔力よ、遊んでいたと思われる場所に人の魔力が残っていたの」
つまりは………
「攫われたわけですか……」
ホーカスさんの言葉にルーアは頷く。
「で、でも王国では奴隷などの人身販売は犯罪のはずです!!」
「そうです、シスターソフィア、ですが裏の世界では平然と行われているのです」
「そんな……」
ソフィアは事実を知ってショックを受けている。
「王国は何をしているんですか……」
「国も頑張ってはいるんだろうけど正直……」
あまり成果が出てないと言いたいのだろう。
「国でもすべてを見張ることはできませんから」
「ですが!!」
「それにこういうのはいくつもの貴族が陰で関わっていますから」
「腐ってやがるな」
「同感です」
オルドとカリナが貴族を軽蔑している。
「もちろんいい貴族様もいますよ」
ホーカスさんが擁護する。
「で話を戻すけど、弟がいたかもしれない場所に人の魔力があったの、で、いまいくつもの同胞が弟の行き先を追っているの」
「理解できました、その際に一つ聞きたいんですが」
「なんですか?」
「この村を襲う可能性はありますか」
空気がピリッとしてきた。
「この村が関与しているならば……ただ中継地にされただけなら大丈夫よ」
「なら村人が関わってないことを祈るよ」




