それに似た能力を…
「本当にこっちなのかよ」
僕たちは若干疑っていたが、次第に人が通ったと思われる痕跡がいくつも見つかった。
「ここからならあなたたちでも探せると思うわよ」
「すごいな~よかったらおしえてくれちゃったり」
「リズ」
「わかっているよ、カリナ、冗談だから、冗談」
斥候役のリズからしたら便利に見えて仕方ないのだろう。
しばらくすると近くに人がいる気配があった。
茂みの奥を見てみるとボサボサ頭の人が山菜を採っていた。
「あの~ホーカスさんですか?」
「ん、そうだけど………?君たちは誰だい?」
「僕はアークと言います、実は教会に行ったのですが留守でしたので僕たちが探しに来ました」
「おお、それは悪いことをしたね」
そう言って立ち上がりズボンを払う。
「僕はホーカス、牧師をしているよ」
握手を交わしながらお互いに事情を説明する。
「そうかい、巡礼でこの村に来たのか~こんな辺鄙な村に」
ホーカスさんは何やら感心している。
「それで厚かましいんだけどさ、山菜取りに協力してくれない?」
ということでここら周辺に生えている山菜を手分けして採取する。
「いや~手伝ってもらって悪いね~」
籠一杯に詰め込まれた山菜を見てホーカスさんはニコニコしている。
「―――そうか今マークスの奴が来ているのか」
「はい、マークスさんからホーカスさんは森にいると聞いて」
「そっか、っと急がないと売り切れになるかもしれないな」
僕たちは村に向かいながらいろいろな話をしている。
「なぁおっさん、ここは最北の村なんだろ?ならエルフを見たことはあるのか?」
「う~~ん、残念ながら見たことないな、ただ噂話でなら聞いたことがあるよ、人間ではかんがえられないくらいの美をもっているとか」
道中話題はエルフになっていた。
「他にも弓が得意と聞いてるし、魔法もけた違いだとか」
「噂話よね?」
今まで無言だった少女がホーカスさんに話しかける。
「そうだよ、え~と」
俺たちは顔を見合わせる。
「そういえば僕たちも名前を聞いてなかった」
「ああ、ごめんなさい、私はルーアよ」
ローブの少女はルーアと名乗った。
「そうだね噂話でしか聞いたことがないな、本当にそんな人たちがいるのかさえも僕にはわからないよ」
そういうホーカスさんをルーアはじっと見つめている。
「な、なにかな?」
「いえ、何でもないわ」
こんな感じで帰路についているのだが。
「牧師様!!!」
道中に二人の子供が森から出てきた。
「どうしたんだい?」
「アルが、アルが見当たんないの!!」
そう言って二人とも泣き始める。
「落ち着いて、どうしてそうなったかちゃんと話してくれないかな?」
ホーカスさんが二人を泣き止ますと話を聞く。
「昼に皆でかくれんぼしたんだけど」
「アルだけまだ見つかんないの!!」
そう言って二人は再び泣き出す。
空は赤く染まりもう少しで日が落ちてくるだろう。
そうなると森は一層危険になる。
「急いで見つけないとね、ゴメン、アーク君たちはこの子たちを村まで届けてくれないかな」
「僕たちも手伝いますよ、ソフィア子供たちをお願いできる」
「わかりました」
「誰かが届けないといけないですね」
「俺はついて行くぜ」
「僕もいくよ~」
「ここまで来たら私も手を貸すわよ」
と言うことで僕とホーカスさん、オルド、リズ、ルーアの5人で探すことになった。




