人探しに最適な
「しかし、昼間のあいつ綺麗だったな~」
「お前な」
班は男と女で別れることになった。
そして男が集まればこういう話になるのは必然だろう。
「じゃあ、お前あの子にお茶に誘われたらどうする」
「もちろん行くに決まっているだろう」
あんな綺麗な子に誘われたら誰だってついて行くだろう。
「しっかし、あんなところに旅人が来るのか」
「そこまで不思議なことは無いだろう?詩人だってネタを探しに辺境の土地まで行くっていうし」
「……そっか、だからグミエラって実のことも知っていたのか」
オルドは何やら納得してない表情だ。
「それにしても不思議な森だね」
ノストニアに最も近いからかとても清らかな空気だ。
「本当にな、これなら子供でも遊び感覚で足を踏み入れそうだ」
僕たちは森が危険と言うことを知っているが年端もいかない子供なら遊び場として入りそうだ。
「でさ、お前三人の中で誰がタイプだ?」
オルド……最も話題にしたくないことを出してきたな。
「どうだろ、みんな綺麗でかわいいからね」
「そうはいってもタイプぐらいあるだろ~~」
「うっとうしい!!」
三人が綺麗でかわいいのは本心だ。
そして三人ともタイプが違うのも分かる。
優しくて清楚なソフィア、正義感があり真面目なカリナ、いたずら好きで人懐っこいリズ、三人とも男子から飛びぬけて人気がある。
他愛ない話をしながら森を進むと、広がりがある場所にたどり着く。
「ここまで進んで会わないのか……はずれを引いたか?」
「戻ってソフィア達と合流する?」
「そうだな」
一度崖の場所まで戻るとすでにソフィアたちがすでにそこにいた。
「どうでしたか?」
「こっちにはいなかったよ」
「ふむ、ではすでに村に戻っているのでは?」
「かもね~」
ということで村に戻ろうとするのだが
「あら、あなたたち」
道中の道で屋台で出会った少女と出くわした。
「あなたも森に?」
「ええ、手持ちじゃ何も売ってくれなさそうだから」
森で物々交換をできる何かを取ってくるわけか。
「あなたたちはなんで森に入っての?収穫物も持ってないようだし」
「実は―――」
森で牧師ホーカスさんを探していることを教える。
「ふ~ん、手伝ってあげてもいいわよ?」
「え?」
「私人探しとかは割と得意な方なの」
僕たちは顔を見合わせる。
「協力してくれるのはうれしいけど……」
「なぜですか?」
「そう難しく考えないで、さっきの恩返しとでも考えておけばいいわ」
「じゃあお願いしてもいいですか?」
皆の顔を見て反対の様子がないので協力してもらうことになった。
「ここがそうなんだけど」
僕たちは再び崖の場所まで来た。
「どう、なにかわかる?」
「ちょっと待って」
少女は崖の方をじっと見つめる。
「その人はこっちに行ったようね」
「え?」
少女は僕が探した方向を指さす。
「ねぇ~なんでそっちなの?」
「そんなの………ああ、そっか」
なにやら少女は考え込む。
「誰にも言わないと約束できる?」
全員が同意する。
「私は人の魔力を見る魔法を使えるのよ」
「魔力を見る?」
そんな魔法を聞いたことない。
「まぁちょっとした秘伝みたいなものだから内緒にしてね」
ということでこの件については触れない。
それから少女の後をついて行く。
僕たちが通った道の中間あたりで方向転換し、全く別方向に進み始めた。




