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第一章.10予兆

お詫び 前回戦闘に入ると予告してましたが、思いの他、戦闘に入るまでの会話が長引いてしまいました。

次回投稿は確実に戦闘に入ると思われますのでそれまでご容赦を・・・・・・

第一章.10予兆



 アメリカ太平洋艦隊の出撃は、すぐに連合艦隊司令部へと届いていた。

 これに対して、山本五十六はすぐに吾郷と芳野の二人とその他、数十人の

将校を旗艦大和に呼びよせ緊急会議を開いた。


 議題はもちろん


「アメリカ太平洋艦隊がハワイ真珠湾を出航し、北上中との情報はもう皆に

届いていると思う。」


 座席から立ち、山本は会議室の将校達の顔を眺める


「いいように舐められたものですな。連中は堂々とこちらに進撃中だというでは

ありませんか」


 腕を組みながら山本のすぐ横に座っていた宇垣纏中将は舌打ちをした。


 連中はこちらをまるで相手してやるとばかりに堂々と位置をばらしながらこちらに

向かってきていた。


 それが宇垣達を苛立たせていた。


「即刻、撃って出るべきです!!何のための機動部隊、何のための連合艦隊ですか!?

この日の為に我々は、訓練してきたのです。それが今、目の前で実現されようと

しているのですよ」


 訴える宇垣に対し、山本、山口と言ったいわゆる航空派は以前、険しい表情のままだった。

 宇垣はそうは言うが、連中も並列世界から技術提供と情報の提示は受けているはず、

ならば一筋縄ではいかない。更にこちらにとって不利になる条件はまだある。


「連中は噴進弾で武装している可能性がある。」


 山本が述べた言葉に宇垣とは反対側の席に居た。南雲と草鹿は肩を震わせた。

南雲と草鹿はその兵器の恐ろしさを身を持って体験したのだ。もしあんなものが

多数飛来したらと思うと今でも背筋が凍りつくような恐怖を感じる。


「それに問題は空母の数だ。」


 山本がそう告げると、自ら耳に付けていた装置に触れる。同時に目の前に

薄透明な四角い板のような物が映りだす。


「皆、きちんと映っているか?」


 一応確認を取ると全員が頷くなどの反応を返した。どうやら全員の網膜に

映し出す事は出来ているらしい。


「アメリカが保有している現正規空母は8、我が方は赤城と加賀の欠番により

4だ。ここに軽空母も合わせたとしても絶対的に数が足らない。」


 史実ならば、今現在、アメリカが保有している空母は5隻のハズだったが、開戦と

同時にこの三ヶ月で新型のエセックス級空母が1隻就航している。護衛用の軽空母も

いれると、アメリカはすでに空母の保有数が10を越えていた。


「戦艦もそうだ。敵の方が数も砲数も上、こちらは旧式の戦艦ばかりだ」


 山本の言葉に宇垣が席か立ち上がった。


「本艦があるではありませんか!所詮、敵の持つ主砲は16インチこちらは18インチ何も恐れる事はありません。米戦艦など、木っ端微塵に粉砕してやろうではありませんか」


 あくまで攻撃の姿勢を貫く宇垣に山本はため息をついた。


「気持ちは分からんでもないが、どうだろう吾郷君?」


 山本は後ろでじっとこちらを見ている吾郷に話を振った。


「どうって、俺は口出ししねぇよ山本さん、こりゃあんたらの戦争だろ?俺たちはあくまで

見物人として扱ってくれねぇかな?」


 あくまで見物人のように吾郷は言う。


「申し訳ありません。山本閣下」


 それに続き、芳野も深くお辞儀をした。


「助言くらいしてくれても罰は当たらんだろ?せめて、敵の異界兵器の情報ぐらい

欲しいのだが」


 食い下がる山本に


「まったく、しかたねぇ人だなあんたも・・・・・・」


 吾郷は重い腰を上げた。


「んじゃ少しだけな――」


 


  ●




 夜風のまだ厳しい真夜中、出航していく船の達を山本はそっと

見守っていた。


 会議より、数時間、帝国連合艦隊は米艦隊を殲滅すべく出航と

出航準備に追われていた。


「頼んだぞ、山口――」


 出航していく空母部隊を見ながら山本は呟いた。


「南雲と草鹿、俺が推したんだ。今度の作戦お前にかかってるからな」


 先ほどの会議の事を思い出す。


 結局、作戦という作戦は無いまま、昔からの発想であった"漸減作戦"をとる

という事で決定した。


 漸減作戦というのは航空機や潜水艦などの戦力を使い、敵の艦隊をすり減らし

その後、日本近海で艦隊決戦を行うと言う。時代を逆行してるような作戦だ。


 しかし、気になるのは会議中に発した吾郷の言葉だ。


 "まぁ、一度、やってみろよその漸減作戦"


 あの男はそう言うと、簡単な敵戦力の説明と手筈を説明した。


「今更、漸減作戦とは・・・・・・」


 漸減作戦を捨てて空母による真珠湾奇襲を計画した山本としては複雑な心境だった。


 もし、これで上手くいけば、また大艦巨砲主義者達を喜ばせるだけだ

というのに・・・・・・ 


「何か考えがあるのか、それとも・・・・・・」


 守る気が無いのかと口にする前に山本はその言葉を飲み込んだ。


 彼らはこの三ヶ月で信じられないほどの技術進歩と情報を与えてくれたのだ。その彼らが

こんなにもすぐに見切りをつけるとは考えずらい


・・・・・・ただ、全力で当たるしかないか


 思いを胸に秘めて山本は機動部隊が消えていった闇をひたすら眺めていた。



            ●



 山本がそんな思いを抱いているとは知らず、吾郷は気楽に私室でタバコをふかしていた。


「おっちゃん、あんま吸うと体にわりぃぜ?」


 吾郷の端末をいじりながら清正は吾郷を見た。


「いいんだよ。第一タバコくらいやんねぇと、ストレス社会を生きていけねぇんだよ。おめぇもその内わかるさ」

「いいよ俺は、つうか分かりたくねぇよ。汚ねぇよな大人って、自分はすぐに逃避するくせ子供には逃げんな!とかさ、汚ねぇマジ汚ねぇよ」

「うるせぇなぁ。いいんだよ大人なんだから、てか、お前も大人だろ?」


 疑問を投げかけると、清正は掌を拳で叩いた。


「そうだよ。俺もう二十歳だから大人じゃん。おおんじゃ逃避していいのか!」


 お前はいつも逃避しているもんだろうと吾郷は思った。そしてふと気づく。


「そもそもおめぇ何んでいんだよ?それになんで人の端末勝手にいじってよ」

「はぁ?なに言ってんだよおっちゃん!来いって言ったのおっちゃんじゃん」


 吾郷は咥えていたタバコを掴むと、


「あ、だっけか?」


 言ってまたタバコを咥えた。


「それで済ますなよ!!俺はこれからやる事あったんだぞ!忙しいんだぞ!多忙なんだぞ!!」

「おめぇの予定なんざ知らん。俺は司令長官だぞ、偉いんだぞ?」


「知るかぁ!!んじゃ今から俺が司令官になる。おっちゃん倒して俺がなる!そして、女性隊員の

制服を全部エロい服にかえる。そしてエロい事する!」


「おめぇはいつも何かしらやらかしてるじゃねぇか、あぁそういえば、今日弓枝の乳揉んでたな、あの分の請求おめぇの給料から差っ引いてやっからな、ついでに俺の慰謝料も」


 吾郷はなんともいやらしそうに微笑む


「汚ねぇ!! 汚ねぇぞおっちゃん!朝倉の胸に値段つけんのかよ!?」

「当然だ。ありゃ俺のだぞ!?それをおめぇ勝手に揉みまわしやがって、これ以上でかくなったらどうする気だよ」

「どうもしねぇよ!!逆に嬉しいだろ?」

「そりゃ・・・・・・」


 口ごもる吾郷に清正は指差しながら


「あー!図星だなおっちゃん!!今日も目の保養にしてやがったな!言いつけるぞ、芳野おばちゃんに

言いつけかんな!」


 無駄に騒ぎ立てる清正に吾郷は声を荒げて


「うるせぇ!言いつけやがったらおめぇは軍法会議の上、セクハラで銃殺刑だ!!」


 まるで子供のように言い合っていると扉が開き、一体の機骸が入ってきた。


「―――定刻どうりまいりましたが、これは帰還してもかまわない状態だと判断いたします。――さようなら」


 機械的に口を動かして倭は白い髪を靡かせて後ろを振り返った。


「あ、おいっ!待て!帰るな倭っ」


 吾郷が引き止めると、倭は歩みを止めて無表情な顔を吾郷に向けた。


「なんですか?吾郷様――」

「用件あんだよ。キヨ、おめぇにもな」


 視線を清正に向ける。


「なーんだよ。やっぱあんじゃん」


 勝ち誇ったように清正は笑った。


「――まぁな」


 吾郷は加えていたタバコを灰皿に押し付けると二人の方に体を向けなおし


「回りくどいのは言い方はしねぇ、明日出撃する。目標はマリアナに向かって進撃中のアメリカ太平洋艦隊だ。」


 言い切った。


 それにすぐに反応を示したのは倭だった


「――出撃、というのは戦闘行為ととってよろしいのでしょうか?」

「そうと言えば、そうだな。しかし、違うといえば違う。」

「蓄積された情報によれば――ハッキリしない回答ですね。」

「そうだな、でもよ。俺たちの存在自体がハッキリしないものその物だってわかってるよな」


 倭が尋ねたい事の意味を吾郷は少なからず、理解している。

 倭が尋ねたいのは、その戦場での自分たちの立ち位置、日本に味方して敵の艦隊と

戦うのか否かという事だろう。


「――蓄積情報不足です。納得のいく回答を願います」

「そうだなぁ、俺たちはまだ、この世界に定着しているわけじゃない。いわばまだ立ち位置や配役の決まっていない役者も同じだ。俺たちの当初の目的は何だった倭?」

「この世界における、歴史の改竄防止、及びその行為に該当した組織の殲滅です。」


 吾郷は倭の回答に数回頷いた。


「そうだな、俺たちは一方的に裁く事の権限を持ってこの世界に来たわけだが、その俺たち自体が改竄に手を染めた場合、どうするよ?」


 投げかけられた問いに倭はしばらく黙りそして――


「――情報不足です。その場合、倭達が殲滅されるべきですが、それを行う者がおりません」

「その通りだ。しかし、俺たちはすでに日本海軍への接触と資源及び技術提供を行った。これは改竄と違うのか?」

「断言します。それは、最低限の対処だと倭は判断します。他国の技術進歩を考えればそれは最善の処置です。さらに、与えたのは日本がこれから開発する技術のみです。常世の技術は一切与えておりませんし、与えたとしても手に余ると判断します。」



 事実、日本政府に渡した技術は並列世界の日本が開発した技術をそのまま渡したと同じだ。ほっといてもいずれ日本はそれを開発する。

 しかし、世界各国の技術が数年先を行っているというのならば、ここでバランスをとっておく必要があった。



「――史実なら、今頃、日本は東南アジアを制圧し豊富な資源を手に入れていたはずだった。しかし、それができなかっただから、俺たちは大陸にある油田を教えてその歴史の足りない部分を補った訳だ。」


 一呼吸おき


「さて、話を戻すぞ、明日の出撃だが、出撃艦は本艦のみとする。戦闘行為に対しては歴史の改竄組織が現れた場合、この歴史に直接原因のあるほどの改竄が行われた場合に限定する。」


 吾郷の言葉を聞いた倭は小さく頷くと


「――出撃はいたしますが、作戦自体には参加しないと判断してよろしいでしょうか?」

「そうだな、そう思ってくれ。俺たちは第三者として日本艦隊に随伴する。」

「――理解しました。それでは出撃に備えます。」


 吾郷に敬礼をすると倭は部屋を出て行った。

 それを見送った後、吾郷は清正に視線を向けた。


「理解したか?キヨ」


 問いかけに清正は苦笑いをしながら


「おう!さっぱりだ。明日出撃って事だけは分かった」


 バカみたいに大口を開けて笑う。倭艦長に吾郷は底知れぬ不安を感じた。


 



清正「はい!と言う事で、やってきました。後書きこーなー!!」


ヤ 「静かに出来ないんですか?」


 以後、清正→キ


キ「逆に聞きてぇよっ!!ついに十話だぜ十話!!

二桁突入だぜぇ!?なのにどうしてそんなにクールなんですか!――はい倭さん」


ヤ「まだ、終わらないんですか?」


キ「おう痛いっ!痛いよ倭っち!!もう少しソフト、ソフトに行こうよ。」


ヤ「取り合えず、黙ってください。」


キ「命令キターっ!!」


ヤ「――騒がしいですね。後、補足しますが、この話正確には第11話ですので」


キ「なぬ――っ!!騙された!騙されたぞ、おのれハメやがったな!!」


ヤ「――バカはさておき、無事十話目を越す事が出来ました。読者の皆々様にはこの様なバカ丸出しの小説をご覧になっていただき感謝の念に耐えません。今後ともよろしくお願いします・・・・・・そこで笑う。――嫌です」


キ「カンペの丸読みはよくねぇぞー!!」



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