第一節 覇者-commander-③
「いいよ、かかってきな坊や」
女はマミコの手首を握ったまま、掌を正面に突き出した。
ぼんやりと光が見える。
…??掌から光…だ…と??
「足止めするよ!!」
緑色の光はそのままコウタを包み込んだ。
「ディレイ(補助魔法)」
地が少し揺れた。気がする。
「こんなので足止めになると思っているのかよ!!」
酒井は剣を引きづりながら走る。
両手で支えた剣を持ちつつ跳躍し、女に斬りかかる。
「おおおおおおおおお!!お?」
しかし、剣は空気を斬った。
その瞬間、男がすきを見て酒井の脇腹を殴る。
周囲の人がざわめく。いやいやいやいや…。そこは止めたり助けたりしないのかよ。
え??俺??俺が助けるの???
よくわからないけど迷っている場合じゃない!!
気をそらせ、そうすれば…。
足元より石ころを拾う。
「…何をしようとしているんだ」
野次馬の一人が俺を止める。
「誰も助けないのか??」
「わざわざB階級様の逆鱗に触れることは…するなよ」
「そんなこと俺には関係ない!!!」
助ける、助ける、助ける…。
俺を助けてくれたコウタ、そして萌え妹キャラのマミコ…。
さあ、動かせ、俺のその右腕を!!
…動かない。怖い怖い怖い…。
ダメだ、逃げちゃ駄目だ!
さあ、今こそ動かせ!!