第1章(6)
第一章はこの話で最後です^^
次回から少し残酷な描写が入る予定なので注意です。
三人はひらひらと雪が舞う通りを歩いていた。
突然、オリガが足を止める。
「リズ、アダム。ここまで探しに来てくれたこと、感謝する」
振り向き、二人の顔を見つめる。
「そして、神であるわらわが失態を犯したこと、申し訳なく思う。お前達には迷惑を掛けてしまったな・・・・・・」
オリガは視線を落とした。
リズとアダムは目で合図し合った。
「姫様。そのことなんですけどね」
「さっき王様にお聞きしたら、このことは罪に問われないとおっしゃっていたのよ」
「民も、姫様が悪いとは言っていませんでした」
オリガはきょとんとした様子で二人の使用人を交互に見る。
「わらわの居場所があるというのか?」
二人は大きくうなずいた。
「民や他の神様には、姫様はたまたま失敗してしまっただけだと認識されているわ」
「私とアダムもそう思っていますしね」
オリガは安堵の表情を浮かべる。
リズとアダムはそれがてっきり罪から解放されたための表情なのだと思っていた。しかし、返答は二人の予想とはまったく異なるものであった。
「まあ、わらわに責任があるということは誰に何と言われようと変わらないことだ」
オリガは目を伏せる。
「神の世界では単なる失敗であったとしても、人間の世界ではそれは人殺しでしかないのだ。そして、残念ながら神の力でも、一度死んでしまった者を生き返らせることはできない」
オリガは少し弱々しい声で言った後、今度はこぶしを強く握り、覚悟を決めたような表情で続けた。
「それでも、わらわはできることを積極的にやっていきたいと思うのだ。まずは、もうあのような失敗をしないように、自分の能力を高めようと考えている。一生懸命皇女、そして才能の神としての義務を全うし、より完璧に近づきたいと思う」
「姫様・・・・・・」
リズとアダムは姫の変わりように驚き、そして感動して涙ぐんでいた。
「全力でお供いたします!私もおいしい紅茶が淹れられるようにがんばりますね」
「あたしも、姫様を危険から守るためにもっと修行しないといけないわね」
オリガはとびっきりの笑顔で言う。
「よし、お前達を今日から正式に『一番の使用人』として認めよう」
「姫様、ありがとうございます!」
三人は雪の積もった街灯の下で笑い合った。