金色の鍵とお爺ちゃんの思い出
古い大きなお爺ちゃんのお屋敷。
2階にある、古いタンスの下から2番目に、金色の鍵が大切にしまい込まれている。
僕はそれが、どこの鍵かワカラナカッタので、とても気になってしまった。
だけど、この鍵はきっとお爺ちゃんの大切な物だって思うから、最初に来たときは元の場所に戻したんだ。
家に帰った後、どうしても気になって、気になって仕方なくなって、その週の日曜日に、自転車に乗ってお爺ちゃんのお屋敷に行ったんだ。
家を出てから2時間かかってしまったけれど、お爺ちゃんはニコニコしながら出迎えてくれた。
僕はお爺ちゃんに鍵を見つけてから今日の日まで、の事を話した。
お爺ちゃんとタンスを開けると、お爺ちゃんは鍵を持って僕について来るように言った。
2階のタンスのあった部屋から、廊下の端っこにある部屋に入ったお爺ちゃんは、押し入れの奥から真っ白な箱を取り出すと、
「ミンナには内緒だよ」
お爺ちゃんは照れながらそう言うと、金色の鍵を差し込んでクルリと回した。
中から出て来たものは古ぼけた沢山の手紙。
お婆ちゃんからお爺ちゃんへのラブレターだった。
中には何が入っているのかが解った僕は、お爺ちゃんの手作りオムライスを食べた後、お爺ちゃんの車で家まで送ってもらった。
もちろん僕の小さな自転車は、車のトランクの中に積んである。
車の中で、お爺ちゃんとお婆ちゃんの昔話を聞きながら、お爺ちゃんは今もお婆ちゃんが大好きなんだなと感じた。
家まで送ってくれたお爺ちゃんと、今日の事は誰にも言わないと、男どうしの約束を交わしあった後、お爺ちゃんは家に上がらずに車に乗って帰っていった。
そして僕は、玄関を開けると「ただいま」と言ってから家の中に入った。