第十三話 驚きの低ランク
「……Fランク、ですか」
リーダーの女性は、信じられないものを見るような目で彰人を見つめた。
彰人は少し困ったように笑う。
「はい。実は、レベルもまだ低くて……」
「レベルも……?」
「なので、本当に倒せて良かったです」
そう言いながら、彰人は倒れた魔物へ視線を向ける。
自分でも、よく倒せたと思う。
あのときは夢中だった。
ただ、相手の動きを見て、ゲームで覚えていた感覚を重ねただけ。
それがたまたま上手くいった。
そんなふうに考えていた。
――そのとき。
彰人の頭に、ふと別のことが浮かんだ。
(あ! そういえば魔物倒したから、レベル上がってるかも!?)
(あとでステータス見てみよう)
そんなことを考えていると――
「えっ!?」
突然、リーダーが声を上げた。
隣にいた盾槍士の女性も、驚いたように彰人を見る。
「本当に……?」
「え?」
「本当に、今日登録したばかりのFランクなんですか?」
「はい……」
彰人が答えると、二人は顔を見合わせた。
そして、盾槍士が恐る恐る口を開く。
「だって……」
「……?」
「クリティカル、出してましたよね」
「クリティカル……?」
彰人は首をかしげる。
「はい」
リーダーが真剣な表情でうなずいた。
「あれは、そう簡単に出せるものじゃありません」
「そうなんですか?」
「相当な鍛錬を積んだ者でも、狙って出すのは難しいです」
盾槍士も続ける。
「余程のことがない限り……あんな一撃は出ません」
二人の表情には、驚きがはっきりと浮かんでいた。
「……まさに、奇跡の一撃です」
「奇跡……」
彰人は思わずつぶやく。
しかし――
(いやいや……)
(ゲームなら、ちゃんと狙えるんだけどな……)
心の中で、そんなことを思う。
けれど、この世界では違うらしい。
自分にとってはゲームで身につけた知識。
だが、この世界の人間にとっては――
長い鍛錬の果てに、ほんの一瞬だけ生み出せるような技術だった。
「……」
彰人は少しだけ、複雑な気持ちになった。
そして、もう一度倒れた魔物を見る。
(俺……本当に、この世界でやっていけるのかな)
そんな疑問が、頭の片隅に浮かんだ。
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