第17話「ギルドの追及と、新たな契約」
Dランクへ昇級したものの、リィンの心は晴れなかった。
ギルドの応接室。リィンとノアは、ギルド長を前に尋問のような空気の中にいた。膝の上では、一回り成長したぷーちゃんが不思議そうに辺りを見回している。
「……リィンさん。君たちが討伐したという『蒼炎の主』だがね」
ギルド長は、机の上に置かれた青白く輝く魔力の結晶片を見つめた。
「あのエリアは我々も危険視していた場所だ。フォレスト・ウルフの試験会場にそんな個体が出るはずがない。……君たち、試験中に『外部の力』を使ったのではないか? それと、この結晶、強力ではあるが、本来の主の核にしては小さすぎる」
リィンはごくりと唾を飲み込んだ。ナイト様のことは言えない。でも、嘘をつくのはもっと怖い。
「……わかりません。私は必死で戦って……気づいたら、その結晶が落ちていたんです。……もしかしたら、蒼炎の主はもっと大きな石を持っていたのかもしれませんが、私が気づいた時にはこれしかなくて……」
リィンは必死にそう主張した(ぷーちゃんがもう一つを食べてしまったとは言えない)。ギルド長はリィンの目を見つめ、溜息をついた。
「……まあいい。証拠はないし、結果として危険個体がいなくなったのは事実だ。この結晶の残滓は買い取ろう。だが、次からは気をつけるように。特に、君はまだDランクだ」
尋問を終え、ギルドから出たリィンは大きく息を吐いた。
「……怖かった……。ノア、あんたもう少し緊張感持ちなさいよ」
隣を見ると、ノアは壁にもたれかかって立ったまま寝ていた。
「……あー。石は美味かったか、ぷーちゃん」
「キュイッ!」
「人の話を聞きなさいよ! ……まったく。ギルドに睨まれた今、しばらくおとなしくしてた方がいいかもしれないけど……」
リィンは財布の中身を確認し、再び頭を抱えた。
「ぷーちゃんの食費が……! 魔石代が足りないわ!」
彼女はギルドの掲示板を見て、一枚の大きな依頼書を剥がしてきた。それは危険度も報酬も破格の「大規模合同クエスト」だった。
「これしかないわね……! ノア、命がけで石を稼ぐわよ!」
ノアは眠い目を擦りながら、報酬の欄を見て小さく呟いた。
「……石、たくさん買えるか?」
「ええ、好きなだけ買ってあげるわよ!」
こうして、二人は金のために、再び危険な森へと向かう決意を固めるのだった。




