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2018年度

 2018年度は、株価に変調の兆しがみえた年だった。第一期のトランプ政権と中国の貿易摩擦が強まり、追加関税の発動といった強硬な姿勢が報じられた。こうした不確実な状況のなかで、株価は神経質な動きを見せる場面が増えた。そして、年間を通してみると株式市場は軟調で、たとえば2018年の日経平均株価は、年初よりも下げて終わった。ここまでの上昇相場が踊り場に達し、やや後退する、という場面に入ったのだ。


 このときの後退は、継続的な世界情勢の不安といった背景があったので、熊本地震やBrexitのような、株価が一次的に急落してすぐ持ち直すタイプの相場とは違って、それなりの期間にわたって上げ下げを繰り返しながら、全体としてみると、だらだらと値が下がっていく、というものだった。実際、この年の11月には、積立投資の収益が直近高値から5%下落した。これは、2年前に決めた積立て投資額を増額するトリガーに引っかかったので、このときから投資額を5割増しし、月に15万円の投資をすることになった。


 久しぶりの下げ相場で、どういうわけか気持ちは弾んでいた。ここ6年間ほどの積立てがあまりに淡々としすぎていて、刺激が少なかったらしい。そもそも積立投資のごく初期の時期にリーマンショックを経験して免疫がついていたし、あのとき暗闇に投げ込むつもりで買い進めた投資信託が相当の利益を生んでいるので、いつかまた、安くなったときに買いたい。という思いが前に出ていた。


 夫婦ともに仕事は順調で、しかも、この年の経済の変調はアメリカと中国の摩擦が中心だったので、日本経済は弱含んだとはいっても、大打撃を受けるには至っていなかった。昇給ペースも特に変わらないし、むしろボーナスは増えていた。投資の原資になる仕事が堅調であることが、さらに気持ちを安定させていたように思う。


 でも冷静に考えてみると、5%程度値が下がったところで、例えば3年前に買っておけばもっと安かったのだから、絶対値としての意味はあまりない。むしろまとまったお金さえあれば、3年前に多めに買っておけばよかった、というだけの話ではある。でも、全然合理的ではないものの、セールで購入する高揚感というものはたしかにある。気持ちに振り回されて下落相場で投げ売りをするのは困りものだけど、こういうポジティブな気持ちは、むしろ忘れないでいたいなと思ったのだった。


 私生活では、上の子が中学校に入学し、物理的な意味ではほぼ手が離れた。ここから、思春期特有の精神的な負荷はかかるにしても、ようやくそこまで来たという達成感は大きかった。下の子も順調に小学4年生になっており、特に問題はみられない。


 2018年末にかけて下げていた株価も、年度末にかけては盛り返し、保有資産は直近高値まであと少しというところまで戻していた。積立額を5割増しにした期間は結果としてわずかで終わり、振り返ってみれば、平穏に時が過ぎていった。



【家計と資産の概要】2019年3月

 年度末の時点での家計と資産の状況です。


 収入の部

  夫

 月収:48万円

   手取:36万円

   年収:780万円

 月収:49万円

   手取:37万円

 年収:800万円


 貯金の部

  貯金:1500万円


 資産の部

  株式

   40万円

  投資信託

   日本株式:978万円(△226万円)

   世界株式:1368万円(△637万円)

   投信合計:2347万円(△863万円)


 積立状況

   TOPIX連動:毎月7万5000円

   先進国株式投信:毎月7万5000円

   累積積立投資額:1484万円



【コラム】働き方改革

 2018年は、いわゆる働き方改革関連法が成立した年でした。


 これは、労働条件などに関する8本の法律を改正するものでしたが、多くの労働者に関係する内容としては、時間外労働(残業)の上限が法律でされることになった点や、有給休暇の取得が一部義務化されたこと、非正規労働者の待遇に関する不合理な差別が禁止されたこと(いわゆる同一労働同一賃金)といったものがありました。


 残業の上限は、原則として1か月につき45時間、1年間につき360時間までとされています。ただし、これには非常に複雑な内容の例外がついています。一応紹介すると、1年のうち6か月までの繁忙期については、労使協定を結ぶことで、1か月につき100時間未満、2~6か月平均で80時間以内、1年間で繁忙期以外の月を含めて720時間までの残業が許容されるということになっています。


 この最大許容値は、いわゆる過労死ラインといわれるレベルです。なので、この規制は厳しいのか緩いのかよく分からないという感じもします。そもそも、1年のうち半分だけものすごい繁忙期があるという職場も、スキー場や海水浴場といった極端な季節営業を除けば、なかなかイメージしづらいものがあります。ただ、それはそれとして、仮に繁忙期6か月に毎月80時間の残業をさせると、1年間に残業させられる残りの枠は240時間ですから、残り6か月は月平均で40時間までしか残業させられません。そういう総枠を込みで、長時間の残業を規制することになったわけです。


 さてここで、「80時間の残業をさせる」といった使役の表現をしたのには、理由があります。この規制は、あくまでも企業が労働者に、合法的に残業をさせる上限を定めているものです。この時間を超えて残業をさせると、そのような残業をさせた会社は刑事罰に問われます。では、実際に100時間を超えて働かされてしまった場合に、労働者は超えた分の残業代をもらえなかったり罰せられたりするのかというと、そうではありません。実際に働いた分の残業代は、当然もらう権利がありますし、労働者側に犯罪が成立することはありません。


 有給休暇取得の一部義務化も、長時間労働を減らすために導入されました。といっても、取得が義務なのは年間5日ですから、2か月に1回有給を取得するとか、お盆休みやゴールデンウィークの谷間に休むとかすれば、特に問題はありません。それすら休めないような会社は、さすがにまずいというひとつのサインだと思えばよいでしょう。


 非正規労働者の待遇は、ワーキングプアとして大きな問題になってきました。その差別的な待遇を改めること自体はよいことなのですが、このとき問題になったのは、正社員の待遇を切り下げることで結果的に平等を実現する、という方向に舵を切った会社が少なからずあったことです。


 会社としては労務費は固定費ですから、なるべく小さくしたいとか、そこまで行かなくても総枠が増加しないようにしたいとかと考えるのは、当然といえば当然です。ただ、さすがにこういうことをすると、そんな会社は嫌だ、と思う人も出てきます。2018年当時は今ほど人手不足感がなかったのでそれでも何とかなったのですが、今そんなことをしたら、その会社は採用にかなり苦労するだろうなという感じがします。


 何事も需要と供給で、人手が不足しているときは、会社もそれなりの待遇を示さなければ、人を雇えません。その意味では、2020年代半ばになって、氷河期の頃とは逆の状況が、ようやく訪れたといえるでしょう。そういう意味では、労働基準法などを守らない会社は、今後は緩やかに淘汰されていくのかもしれません。

 この物語はフィクションです。歴史的な事実として、固有名詞で触れられる企業もありますし、株価や指数などは現実の数字に即していますが、それらはいずれも、あくまで実在の企業等をモデルとして再構築したものに過ぎず、記載された内容が真実であることは保証しません。


 物語内(コラムを含みます。以下同じ。)で紹介する銘柄や投資手法について推奨したり勧誘したりするものでないことはもちろん、投資そのものについて推奨する意図はありませんし、投資の結果を保証するものでもありません。投資判断はあくまでも各自の自己責任でお願いします。


 この物語では、法律や税金の制度を紹介している部分があります。可能な限り正確を期しましたが、その正確性を保証することはできません。また、近年は制度改正のテンポが速いので、早晩、ここに書かれている法律や税制は、現実に適合しなくなることが見込まれます。そうした点を除いても、具体的な状況に対する法律や税制の適用について、筆者はその責任を負いません。その種の判断はあくまでも各自の自己責任で、そして、ご自身で判断が難しい問題については、弁護士や税理士、FPといった専門家への相談を強くお勧めします。

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