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2015年度

 2015年度は、僕の30代最後の年であり、また、第2子が小学校に進学する年でもあった。昔は、七つ前は神のうち、などといわれていたようだが、ついにその時期を終えた。そして、第1子は小学4年生になった。


 首都圏で子育てをしていると、話題になるのが中学受験だ。中学受験の準備は年々早期化し、この頃には、受験をするのなら遅くとも小学4年時点から本格的に中学受験塾に通う、というのが普通になっていた。しかし、わが子に中学受験をさせるかどうかの判断は、かなり困難だった。実際、前年度の後半は、夫婦でよく話し合ったものだ。


 まず問題になったのが、経済的な問題だった。第1子が中学受験をするということは、第2子にも同じ選択肢を用意しなければいけない。受験にかかる追加費用は、小学4年から3年間の塾代、受験料、入学金、そして、私立中学の学費3年分(高校はどのみち授業料がかかるので、さしあたり除外)。1人あたりざっと500万円、2人で1000万円くらいになる。最も負担が重いと想定されるのは、第1子が中学3年で、第2子が小学6年のときで、このときは単年で200万円を超える出費が見込まれた。


 改めて棚卸しをしてみると結構な金額だったが、貯蓄のペースを落とせば、全体として赤字になることはなさそうだった。とすると、次に問題になるのは、子どもにとってそれがよいのかどうか。


 子どもが飛び抜けて優秀なら、その道を進ませてあげたいという思いもある。一方で、そこまででない場合、やり方によっては子にかなりの負担をかけることにもなる。また、かなりの費用をかけて勉強に邁進させることになるので、その間の他の体験はどうしても制約される。他方で、高校受験がないので、特に公立高校の内申点が問題になるような場合には、中学で受験を済ませておいた方がよい。


 こうした諸々の考慮要素をみながら、我が家の決断は公立で行く、というものだった。子ども達は2人ともスポーツが好きで、今も水泳にサッカーにと体育系の習い事を複数もっていた。これを取り上げるのはしのびない。また、スポーツで培った積極性と協調性があれば、学校生活で大きくつまづくこともないだろうし、内申も何とかなるだろう。であれば、今は好きなことのためにお金を使ってあげたい。また、塾代などがあまりかからない分、旅行などに多めにつれて行ってあげよう。ということで、中学に入った瞬間から勉強に立ち後れたりすることがないよう、いわゆる中学受験専門塾ではなく、基礎学力を底上げするタイプの学習塾に通わせることにした。


 2015年度の経済は、日本株式と世界株式で明暗が割れた。これまで絶好調だった先進国株式の市場が軟調だったのに対し、アベノミクスが推進された日本株式は堅調だった。全体としては、年度末にかけて含み益が減少する結果に終わる。といっても、500万円以上の含み益を確保してる状態なので今更慌てるようなこともない。


 そんなわけで、日々は淡々と過ぎていったが、東日本大震災後の好調な市況に動揺が生じ始めていたのも事実だった。そして、日常生活でも、原発が止まっていることや円安の影響もあって電気をはじめとするエネルギー価格が高止まりし、実質賃金は前年比でマイナスが続く。給料も少しは上がり、ベースアップの呼び声も出てきたものの、値上がりに追いつかない。政府はインフレ率2%を目指すといっているけれど、給料も2%上がらないと、生活は苦しくなる。物価だけが上がって賃金の伸びが追いつかない「実質賃金の低下」が、じわじわと家計を圧迫し始めた。



【家計と資産の概要】2016年3月

 年度末の時点での家計と資産の状況です。


 収入の部

  夫

 月収:45万円

   手取:34万円

   年収:720万円

 月収:46万円

   手取:35万円

 年収:740万円


 貯金の部

  貯金:1050万円


 資産の部

  株式

   32万円

  投資信託

   日本株式:791万円(△244万円)

   世界株式:868万円(△341万円)

   投信合計:1659万円(△585万円)


 積立状況

   TOPIX連動:毎月5万円

   先進国株式投信:毎月5万円

   累積積立投資額:1074万円



【コラム】クルマの話

 物語の本文では、大きなお金のかかるイベントとして、家の購入と中学受験を取り上げました。一方で、明示的に取り上げていないものの、同じく大きなお金がかかるイベントがあります。それは、自動車です。


 この物語の主人公夫婦は自動車を所有していない設定です。自動車を所有するかどうかは、家を買うかどうかと同じくらい大きな経済的なインパクトを家計に与えます。5ナンバーのファミリーカーを新車で購入し、車検の周期を考慮して11年乗る、という条件で試算してみましょう。


 このクラスの自動車は、グレードにもよりますが250万円から350万円程度のカタログ価格のものが多いようです。ここではわかりやすく本体価格300万円としてみましょう。


 ここに、消費税をはじめとした諸税、自動車保険、登録諸費用などが乗ってきます。計算を簡単にするために、これらの費用とオプションをあわせて50万円と想定し、ここまでを初年度の初期費用とします。


 これに加えて、自動車保険料が毎年およそ3万円かかるとすると、11年間で33万円になります(実際には等級や車両保険の有無で上下します)。そして、3年後、5年後、7年後、9年後の4回、車検があります。車検費用を1回10万円とすると、合計で40万円になります。


 さらに、駐車場代がかかります。都市部ではこれがかなり高く、東京都内だと月額3万円程度になることもザラにあります。11年でざっと400万円です。


 ここまでで、11年間に約820万円が必要となります。しかもここには、細かな整備費用や、ガソリン代は含まれていません。1リットル20キロで走行したとして、たとえば年間4000キロ走行すると仮定すると、必要なガソリンは200リットル。1リットル150円と仮定して3万円です。諸々を合計していくと、11年で850万円から900万円が必要になります。1年あたりだと、約80万円になる計算です。


 ということは、1か月あたり7万円ぐらいまでなら、実はタクシーに乗ったり、遠距離移動も新幹線を使った方が安いのです。でも、東京で生活していて、7万円分もタクシーに乗ったり、旅行の移動で年に20万円も30万円もの新幹線代を払う生活というのは、よほどでないかぎりイメージできないでしょう。


 地方では、駐車場代は大幅に安くなります。けれど、それ以外の費用は特に変わらない上、むしろ走行距離は都市部よりも長くなるので、結局、11年間で400万円から500万円かかる計算になります。かなりの重しです。


 東京は家賃が高いという問題がありますが、車の費用がかからず、いざというときも大体タクシーで何とかなるという面は、もう少し評価してもいいかもしれません。趣味としての自動車を否定するつもりは全くないのですが、資産形成という観点からは、自動車の有無は、家計に毎年固定的に乗ってくる支出を大きく変えるため、資産形成における初期の分岐点になりやすいのです。

 この物語はフィクションです。歴史的な事実として、固有名詞で触れられる企業もありますし、株価や指数などは現実の数字に即していますが、それらはいずれも、あくまで実在の企業等をモデルとして再構築したものに過ぎず、記載された内容が真実であることは保証しません。


 物語内(コラムを含みます。以下同じ。)で紹介する銘柄や投資手法について推奨したり勧誘したりするものでないことはもちろん、投資そのものについて推奨する意図はありませんし、投資の結果を保証するものでもありません。投資判断はあくまでも各自の自己責任でお願いします。


 この物語では、法律や税金の制度を紹介している部分があります。可能な限り正確を期しましたが、その正確性を保証することはできません。また、近年は制度改正のテンポが速いので、早晩、ここに書かれている法律や税制は、現実に適合しなくなることが見込まれます。そうした点を除いても、具体的な状況に対する法律や税制の適用について、筆者はその責任を負いません。その種の判断はあくまでも各自の自己責任で、そして、ご自身で判断が難しい問題については、弁護士や税理士、FPといった専門家への相談を強くお勧めします。

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