幼馴染と、後輩
「暑いぃー暑すぎるー…この暑さどうにかしてくんない?」
と無茶なお願いをしながら履いているスカートに向かって、下敷きを仰いでいるのは、俺の幼馴染である阪本結。
結に対して恋愛感情は一切ないものの、
中学時代はお互い、周りから冷やかされ、話さない時もあった。
が、高校最初のスタートダッシュで
友達作りに失敗した彼女は仕方なく俺といることにしたようだ。
俺も彼女といると気が楽なので、
友達を敢えて無理に作ることもなく、
高校入って2回目の夏をこうして淡々と過ごしている。
『さすがに無理だわ、それは』
「だよね、知ってた笑
しかも午後から雨降るって話じゃない?
イヤだわぁ〜…」
『げ、まじで?傘持ってきてないわ』
「えーテレビで言ってたよ。だから6月は傘常備しとかなきゃ」
『確かにいつ降るかわかんねぇもんなぁ。それにしても暑いな』
「ねー溶けそう」
と意味のない会話をしていると、
たったったっ…
という足音が教室の渡り廊下から聞こえた。
その音は、窓際の前後ろで机をくっつけ、
その上に上半身を横たわって投げ出している俺らの横で止まった。
その正体を見極めようと横目で見ると、
「律先輩」
という声が聞こえた。
声の主はわかったが、対応が面倒くさかったので、
机に伏せたまま黙っていると
「おーい、律先輩!
真咲律先輩!」
「呼ばれてるよ、律先輩」
とニヤッと笑いながら結に茶化されたので
結には無視しながら、
『なに?』
と起き上がりながら返事すると、
「えー用がなかったら来ちゃダメなんですか?」
食い気味にそう言いながら、ふてくされた顔をしているのは、平井煜。
俺たちの中学の後輩で、
なぜか俺に憧れて高校も追っかけて入学してきたらしい、モノ好きだ。
その後、煌も交えて、
たわいもない話をしていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「今日、俺ちょっと用事あって放課後来れないんで、先言っときますね!」
と、大声で叫びながら煌は自分の教室に戻っていった。
『てかそもそも一緒に帰ろうって約束もしてねぇけどな』
「あんた、相変わらず好かれてんねぇ」
『好きで好かれてるわけじゃねぇけど』
「ふふふ、あ、そんなあんたに言いたいことあるわ。
今日暇なら付き合いなさいよ」
…俺に断る権利はない。




