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この世界で何を求める  作者: 七支 刀
prologue

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5/11

prologue : 05

 良太は背中から返された機械的な声に振り向く。横では大河が厳しい顔でロングソードを構え、蓮太郎も鞘に納めていたロングソードに手をかける。


「あぁ、そんなに警戒しなくて大丈夫だよ。私は戦いに来たわけではないからね」


 不審者を見た良太は反応に困って変な顔をしてしまう。能楽の女面を被った顔に魔法使いのローブを着たような服装をしていて色の使い方も奇抜だったからだ。


「なんか服装の方向性おかしくない?」


 呟いてしまった独り言にお面を被った不審者は声を上げて笑った。


「ハハハハッ!軽口を言う元気はあるようだね!フフフッ、まぁそれぐらい図太くなければあの立ち回りは出来ないか。」


「...どちら様ですか?この高校の人間ではないですよね?」


 緊張した声で蓮太郎が不審者に質問する。


「そうだね。私は”くろこ”。貴方達がここに連れて来た『犯人』だ。」


 その発言に蓮太郎と大河は顔を強張らせ、ロングソードを持つ手に力を込める。今にも切りかからんとする雰囲気を良太は感じ取った。だがこの場面での戦闘は得策ではないと判断し、良太は二人の肩をつかむ。


「落ち着け。俺たちは今戦った後で全力で戦えないんだ。勝てる見込みがない」


 良太が囁くと二人は良太の顔を向く。良太の目の奥に明確な意思が見えたためロングソードを掴む手を緩めざるを得なかった。2人が力を抜いたことを確認して改めて班員と名乗った人物の方を向く。


「それで...犯人様がわざわざ出向いて何の用です?私たちは貴方の予想外の行動でもしましたか?」


 大河の質問に”くろこ”は肩をすくめながら答えてくれた。


「その通りだよ。確かにあの恐竜は倒せるように調整はされていたが、まさか3人とは。しかもダメージすらまともに受けないのは予想外だ。そもそも他は、戦いが始まってもないんだよ?」


「あぁ、なるほどな。想定よりもクリアも早ければ消耗も少ないからわざわざ出張ってきたってことか。...チートは使ってないよ?」


「ハハハッ!面白い事を言うね。疑惑の調査に来たわけではないから安心してほしい。単純に称賛に値すると思ったから伝えに来ただけだ。まあ時間的に余裕があるんだし少し私からもご褒美をあげようと思ってね。アイテムではなくこの世界についてだがね」


 その発言に良太と大河は驚く。自ら情報を落とすといった”くろこ”が何を考えているか測りかねていた。焦りを必死に隠そうとしている蓮太郎が質問する。


「...情報ですか。その内容は全体で共有を行ってもいいのですか?」


「君たちがどう扱おうと構わない。それで話そうと思っているのは君たちが口にしていた疑問だよ。『相手が人間じゃなかったらいいな』だったかな。それについての回答だ。」


 予想以上に重要な情報を話そうとする”くろこ”に3人は身構えた。予想していたよりもこの世界の核心を話そうとしているようで、疲れてあまり頭が回っていない良太も身体が強張る。


「君たちが危惧した対人間の戦いが起こる可能性は否定しない。こちらとしては想定している事象だし、君たちから見れば推奨しているように見えるかもしれないね」


 ”くろこ”の発言に三人は厳しい顔をした。蓮太郎に関しては完全に怯えている。”くろこ”はその反応を無視しそのまま続ける。


「ちなみに敵モンスターとして人型が出てくるから、対人型の戦いに慣れてない同士ということは無いだろうね」


 良太はその発言に戦慄する。人間同士の血で血を洗う戦いを想像してしまい気分が悪くなりながら質問を返した。


「つまり、道筋としては戦争だか何だかで人を減らすことが目的として連れてこられたって認識でいいのですか?」


「その認識で問題ない。だが減らさなくともクリア自体は可能だよ。耐えられるかは別としてね?」


「いやな言い方だな。...人間は愚かな生き物ってか」


「フフッ 正解だよ。私からのご褒美は以上だ。君たちは早すぎたから少し待つことになるが明日の正午から全体にこの世界の説明をする予定だ。...ああ。もう恐竜がリポップする事はないからゆっくり休むといいよ」


「ご丁寧にどうも。じゃあ休ませていただきます。」


「君たちはとても面白い。もう少し狼狽えると思っていたよ。君達なら多分また話す機会はあるだろう。頑張って生き延びてね」


「...ご期待に添えるように頑張りますよ」


「では、またね」


 手を振ろうとしたのか右手を上げた”くろこ”は一瞬その形のまま固まった。そして良太達にも見える白い板のような画面いくつもも出してをいじりだす。


「...どうかしましたか?」


 明らかにイレギュラーに対処している”くろこ”に良太は興味が勝って聞いてしまった。


「ああ。君たちの話ではないが面白いのが新たに見つかってね。次に顔を出す場所が見つかったよ」


 ローブの上から頭を掻きながら”くろこ”が答え、そのまま幽霊のように身体が透けていきそのまま消えていく。良太達はさっきまで”くろこ”が立っていた地点を見ながら固まっていた。



「...ふ~。変な汗かいたな」


 数分の沈黙のあと、緊張が解けてきた良太がつぶやく。


「間違いないね。けどあいつの話どう思った?」


「多分ほんとの話だろ。選択肢の中に常に戦争とかが選択肢に入ってくるんだろうな」


「良太、戦争になる選択肢の時どうするんだ?」


「...その前に手を打ち続ければいい。どれくらいの人数がこの世界にいるのか知らないけど、死ねば死ぬほど効率が悪い」


「...分かった。僕も手伝うから一人で抱え込むなよ」


「当たり前だ。もう眠い。大河、他の奴らへの説明任せてもいいか?」


「任せて。もう危険はないらしいしね。お疲れ様」


 大河の言葉を聞き終えるかどうかのタイミングで良太は糸が切れたように崩れ落ちた。それをすんでの所で蓮太郎が抱きかかえる。良太はそのまま眠りについた。

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