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この世界で何を求める  作者: 七支 刀
prologue

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4/11

prologue : 04

 硬直が解けた恐竜は今までに比べて明らかに威勢が落ちていた。アドレナリンが抜けたかのように、今まで大きく動きが変わっていなかった歩き方が痛みを庇う動き方に変化を3人は確認した。


「これは...さっきの攻撃ほんとに必殺技だったんだな」


 良太は恐竜の明らかな変化に驚いたが、変わらずターゲットを取りに動き出す。大河と蓮太郎も持ち場に戻って攻撃を再開した。


「このまま押し込めば行ける!足切るぞ!」


 大河からの指示が飛ぶ。それに呼応して2人も足に向かって攻撃を集中させる。その結果脚の傷がどんどんと広がっていく。


「そろそろ脚が切れそうだな...やってみるか」


 良太はティラノサウルスのターゲットを持っている状態恐竜の右側に回り込む。ティラノサウルスも体ごと回転しようとして体制を崩した。右脚の外側に大きな傷があるため、身体を急に回したことで辛うじて繋がっていた部分に負荷をかけバランスを崩させた。


「おいおい...そんな方法思いつくか?」


 良太の予想外の方法でティラノサウルスのダウンを取った事に大河はドン引きした。


「今だ!」


 良太の突撃に少し遅れて追随するように2人も攻撃を加えていく。倒れた恐竜は立ち上がろうとしているが、上手くいかず横倒しでジタバタしている。


「いつまで寝てるかわからない!やれるだけやろう!」


 大河からも檄が飛ぶ。3人で全力で攻撃して少し経った時、良太は尻尾が動き出しているのに気が付いた。ティラノサウルスの頭の方には蓮太郎がいる。


「下がれ!蓮太郎!」


 良太の叫び声に蓮太郎が反射的に後退する。大河も反射的に後退している。良太はその間に尻尾の方へ移動しながら尻尾に狙いを定める。実はさっきの攻撃の時から尻尾を切り飛ばしたらどうなるのか良太は気になっていた。


「お前、尻尾が弱点だろ!させるかよ!」


 くるくると回りだした尻尾の光っている部分をめがけてロングソードを横一文字に振り切る。



 "ガアアアアアァァァッッ"


 ティラノサウルスは尻尾を切られた痛みに耐えかねたのか今までとは違う咆哮をしながらのたうちまわる。そして段々とティラノサウルスの表面が赤く光りだした。


「なんで光ってるんだ?...まっっっずい!」


 良太が距離を取ろうとした直後、大きな炎の柱が赤く光ったティラノサウルスを中心として発生し大爆発を起こした。


「ッぐッ!ヤバいヤバい!」


 至近距離で受けた爆風に身体を浮かさせる。良太は耐え切れずグラウンドの端まで吹っ飛ばされた。



「痛ってぇ。爆発するとは思わなかったな...」


 吹っ飛ばされた良太が顔を上げると爆心地にいたティラノサウルスは丸焦げとなって横たわっていた。距離が遠くても分かるほどボロボロになり既に息絶えたようだ。


「...終わったか」


 直度ボロボロのティラノサウルスが淡く光り、そのまま光に包まれて消えていく。


「...これで終わってなかったら俺たちはもう無理だね」


 良太が吹っ飛ばされた地点までやってきた大河が独り言に答えた。大河の顔にも砂だらけになっているので吹っ飛ばされたのだろう。


「多分倒したんだと思う。ステータス画面見たらなんか数字上がってたし、アイテム欄に肉とか入ってた」


 同じように近づいてきた蓮太郎はまだ少し余裕があるのかちゃんと確認してくれたようだ。


「そうか、大きなダメージ受けずに倒せたのは良かったな」


「よかったじゃないよ、最後の爆発は予想してたのか?普通に吹っ飛ばされたよ?」


 最後の爆発は良太の声に反応して後退した2人も回避できずグラウンドの端まで吹っ飛ばされた。大河は爆発を予想して攻撃したのか詰め寄る。もちろん良太にとっても"爆発"は予想外だった。


「予想してなかったよ。...魔法使いの杖を詠唱中にへし折ったらどうなるのかは気になったけど」


「...はぁ、まああれはやるしかなかったからしょうがないか」


 どうやらなぜ尻尾を切ったのかはわかっているようだ。


「りょう君、助けてくれてありがとう。助けてくれたんでしょ?」


「気にするな、あの位置からじゃ見えないのはしょうがないから。全員生きててよかった」


 ティラノサウルスが尻尾を動かしたとき、前にいたのは蓮太郎だった。必殺技を撃とうとしているのに気が付いたのは良太だけでサポートに回れる状況でなく、蓮太郎を守るためにはあの攻撃しか良太は手札が無かった。



 話していると少しずつ全身を覆っていた緊張感が抜けていき少しずつ疲労が表に出てくる。


「とりあえず疲れたな。一回寝たい」


 疲労によって少しずつ意識が朦朧としていく時、不意に背中からこちらに近づいてくる足音が聞こえてくる。吹き飛ばされた場所的に背には教室からグラウンドへつながる道があるだろう。


「?...先生でも出てきた?」


 振り返らず大河たちに問いかけたが返事は無く、顔を見ると良太の後ろ見て固まっているようだ。



「先生ではない。疲れているところすまない。君たちに賛辞を贈ろうと思って出向いた次第なんだよ」


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