prologue : 03
戦いが開始し、体感で15分ぐらいが経過した。現在は膠着状態で、作戦道理にティラノサウルスの脚部を重点的に攻撃している。交代もスムーズに出来ており、3人とも被弾はまだしていない。
良太は蓮太郎がターゲットを貰っている間に恐竜を囲む三角形からずれ、大河に話しかけた。
「どう思う?足にダメージ入ってると思うか?」
「確実に入ってる。最初よりも機動力落ちてるからね。でも倒れるのかはわからない」
「そうだよな。でもとりあえずこのまま続けてよさそうだな」
大河の意見を聞き終え持ち場に戻り一度恐竜の相手をしてから大河が相手をしている間に、次は蓮太郎に近づいた。
「体力は大丈夫そうか?」
「まだまだ大丈夫だと思う。焦らずに今まで出来てるから攻撃と回避に気を遣えるし、りょう君こそ大丈夫?結構タゲ貰ってるよね?」
「大丈夫だぞ。あんまり攻撃してないから回避に全力かけてる。大河の見立てでは倒れるかは別として機動力は確実に落ちてるらしい。このまま続けるぞ」
「分かった。気をつけてよ!」
「まかしとけ!」
コミュニケーションを取りながらの少しの休憩を終え、ティラノサウルスの注意を引くついでに叫んだ。
「しんどいと思うけど焦ったら死ぬからな!生き残る事を優先しろよ!」
2人から返事はなかったが、叫んだことでティラノサウルスの注意を引けたようで俺に向かって咆哮した。流石に至近距離ではうるさいが、相対している時間も長くなっているためもはや少し慣れてそのまま突撃する。ティラノサウルスが口を大きく開けて突進してきたのを回避しながら脚部に向けてロングソードを振り下ろす。
「...ん? なんか柔らかくなった?」
今まで攻撃を加えてもコンクリートでも叩いているような感覚で一発のたびに手が痺れていたが、今の攻撃ではその感覚が弱く深く刀身が刺さった。
「大河の言ってた通りダメージ蓄積ありそうだな...おい!足ちょっと柔らかくなった!ワンチャン倒れるぞ!」
俺が叫んだことで二人も少し顔を明るくし、スイッチして二人も攻撃すると笑顔が見えるようになった。だがすぐに大河は少し厳しい顔をして叫んだ。
「もしかしたら思ってるよりHP削れてるのかもしれない!攻撃パターンが変わるかも!」
飛んできた大河の分析に良太も蓮太郎も顔を顰める。
体力的に大丈夫とは言っていても、陸上部として鍛えてきたスピードにものを言わせて攻撃と回避をしているため3人とも限界が近かった。しかも3人は短距離種目の選手のため活動限界はとても早いしそもそも15分でも専門外だ。
「めんどくせーな。頼むから火とか吐くなよ...」
良太が呟きながらターゲットを貰いに近づくと今までこちらから干渉しなければ自ら標的を変えていなかった恐竜が突然こちらを向いた。しかも今まではよこ薙ぎにしか使っていなかった尻尾が上を向いてくるくる回っている。
「っ?まずいかっ!」
危険を察知し大きく右に跳躍した瞬間、元居た場所が地面から空に向かって炎の渦に包まれた。驚愕しながら大きく後退し、恐竜を睨むとこちらを向きながら静止している。
良太は少しの間睨み合いをしていたが恐竜が一歩も動いていないのを確認し大河の方に走る。
「おい!口から吐くのは考えてたけど地面から火出したぞ!初見殺しにもほどがあるだろ!」
近づいてきながら聞こえてきた良太の愚痴に大河は呆れた。
「じゃあなんで良太は初見殺しが避けれたんだ?僕はあれ避けれないよ。」
「そうだよ。りょう君どうやって避けたの?」
近づいてきた蓮太郎も話に加わった。恐竜は先の攻撃の反動か少し活動を停止している。本当は攻撃のチャンスなのだろうが安全確保を優先して動いているため、これ幸いと3人は状況の確認を始めた。
「尻尾だよ。今までこっち見ても尻尾をくるくる回す事なんてなかったのに急に回し始めたから一応逃げたらあんなことしてきた!地面から来るなんて予想できるわけない」
「...よく周りが見えているとは思ってたけどそんなに見えてたのか。尻尾を回していたのには気が付かなかったよ」
2人は良太の観察眼に舌を巻いた。自分たちは初見攻撃を避けるなんて出来ないだろう。実際に向けられたらそのまま大人しく丸焼きだった。
「それより、そろそろ動き出しそうだ。大体硬直時間も分かったし、次あの攻撃されたときは攻撃するぞ」
「...分かった。尻尾を見ればいいならそれを意識しながら戦うよ。こんなに硬直するような攻撃をするってことはもう相手も限界なんだろう。」
「最後攻撃したとき、右脚大分深くまで剣が通ったからもしかしたら切り飛ばせるかも」
「なるほど。じゃあ蓮太郎の言うように右足を重点的に攻撃しよう。倒れてくれれば万々歳だね」
「「了解」」
次の作戦を大河が決め、作戦会議を終了したタイミングで動き出した恐竜の咆哮と共に3人は走り出した。




