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転生したら私も保護された件について

目が覚めると知らない天井だ()ごめん嘘言った知ってる天井だね。

あの後マスターの家に無事たどり着けたみたい意識を失う最後辺りはあんまり記憶にないや。外を見てみると明るくなっていて朝日が迎えている頃だった。

そういえばなんで倒れたんだっけ、、、。



「あの子はっっっっ!?!?!」



勢いよく上半身を起こすと腹部に焼けるような激しい痛みが走り思わずうずくまる。

痛みの根源を見てみると傷口はもうほとんど塞がっているみたいだ。さすが吸血鬼の眷属の体だね再生能力が高いのかな?



「起きてすぐから元気なのねレンカちゃんって、、、」

「なんでフィーカさんが?」

「なんでってレーテの家でレーテと一緒に夜ご飯作ってみんなで食べようって、レンカちゃん待ってたら汚い子供背負って血まみれ顔面蒼白で倒れたら看病くらいするに決まってるじゃない!」

「背負ってた子供の方は!?」

「すごく衰弱してたから軽く濡れた布で体を拭いて綺麗にした後に別のベットで眠ってもらってるよ」

「よかった、、、」



外出1日目で逃走と戦闘をやった後に腹にナイフを生やしたかいがあったみたいだ。周りを見渡してみるがフィーカさん以外見当たらない。わたしが起きたらマスターが何かしてくるものだと思ってたけど思い上がりだったみたいだね。



「そういえばお姉ちゃんは?」

「さぁ?軽く応急処置した後にちょっと見てくるって言ってどっか行ったよ。もしかしてレンカちゃん嫌われてたりする?」

「ははっかもね」



ん?今マスターの事を今お姉ちゃって言った?第三者にバレないようにされてるのかな?

それはそうとちょっと体痛いけど子供の様子見ないと、、、かなり衰弱してたしあんな所に居たら心の方も大変な事になってるだろうし、、、。



「ダメダメ!ケガ人が動こうとするなんてダメ!」

「この身で守ったから目で実際に安否を確認したいだけなの」

「ダメなものはダメ!レンカちゃんは回復が早かったから大丈夫そうに思えるけど普通だったら3日は起き上がる事すらできない傷と出血だったよ!?」



そんなにヒドイ怪我だったのね、、、あんまり実感がないや。



「まぁとりあえず安静にしてて?昨日2人で作った夕飯を持ってくるから」

「おぉご飯!」

「なんか随分と喜ぶのね、、、すぐに持ってくるから絶対動かないでね!」



釘を刺されてしまった、、、でもやっぱりあの子の事が気になるんだよね、、、。

んー何か良い匂いしてきた。



「ほらレンカちゃん一応怪我してるから消化に良いものにしておいたから」

「おいしそう!」

「鶏肉から出汁を取ってハーブ入れた後パンを浸した簡単な物だけどおいしいよ」



フィーカさんからスープを受け取って一口啜ると鶏出汁の胃袋を広げてくれるような匂いと共に出汁に浸ったパンが口の中に入ってきて多幸感があふれてくる。



「んー!すごくおいしい!」

「そんな大げさにリアクションしてくれるとはうれしいね」

「ほんおにおいしいですよ!」



パンが入ってるけどご飯入れて猫まんまにしたらもっと最高だろうなぁ。

わたしはご飯派なのだ。まぁこっちの世界で米なんか見たことないけど。



「おいしそう」

「そうでしょそうでしょ私とレーテが時間かけて作ったんだかr、、、って今の誰?」

「あの、、、フィーカさんの隣に」



いつの間にかフィーカさんの隣に、わたしが気になっていた子が立っていた。

まだ目覚めたばかりなのか体がふらふらしていて危なっかしいが、視線はわたしの持っているスープから外れない



「えーと、とりあえずこっちに来て座ったら?」

「ん?ん」



よたよたと危なっかしい歩みでわたしの隣まで来てから、ベットをよじ上ってわたしの両手の間に入ってきた。なんだこのかわいい小動物は、、、。



「かわいいのにかわいいのが合体した、、、」

「これ食べる?」

「ん」

「はいあーん」



目の前の子にスープを一口あげた瞬間、驚きの表情の後パーッと顔が輝いて「もう一口ちょうだい」と口を開けて待っていてもっとスープをあげたくなってくる。



「どんどんお食べ」

「小鳥の餌やりみたいに見えるよ」



フィーカさんからからかわれてしまった、、、仕方ないでしょこんなキラキラした目を向けられたらむりだって。そう思いつつスープをあげ続けていたら、わたしの分を食べきった辺りでお腹いっぱいになったなのか口を開けるのをやめてわたしの方に向き直して抱き着いてきた。



「レンカちゃん随分と気に入れられたね」

「よんだら ほんと に きてくれた」

「へ?」



目の前の子供がたどたどしく話し出す。こちらを向く綺麗な黄色の瞳を見ているとすこし不思議な感覚が襲われる。

なんでわたしがあんな場所に行ってしまったのか気になってたけどこの子に呼ばれてたって言うの?それにこの子に見られるとなんだか落ち着かないような、、、。



「ねーあなたの名前はなんて言うの?」

「なまえ?」

「あなたの親があなたを呼んでいた時に言っていた言葉よ」

「おや?」



もしかして親の事も覚えれないくらい小さい時に捨てられたの?あんな悪臭と疫病と害虫に怯えなきゃいけない場所で?でもそれだったらあそこに置かれていた本と食料は何?



「そういえばこの子結局どうするの?教会にでも預ける?」

「この家で保護したいと思ってるかな。その為にお姉ちゃんを説得しないとね」



かえったわよー



マスターが帰ってきた、わたしが寝ている間何していたんだろう?



「ただいまーってレンカ起きてるじゃない」

「おかえりなさいお姉ちゃん」



そう言うとマスターはまっすぐ来て一目散にわたしに抱き着いてきた。加減する余裕がないのか、かなりの力が掛かっている。

力が大きいし抱き着く勢いが傷に響いてとてつもなく痛いんですけど。



「いででででで」

「ちょっとレーテ!傷が開くって!!」

「無事でよかった、、、」



かなりマスターに心配させちゃったかな、、、他人の安堵の声って結構心に来るよね。

やだなぁマスターの目の端に涙が見えててさらに罪悪感が来る。まずは謝らないと、、、ただの眷属にこんなに心配するなんてやっぱり眷属第1号って特別な存在だったりするのかな?



「お姉ちゃんごめんなさい」

「謝らないでレンカ、、、なんでスラム街なんかに行ったのよ」

「なにか感じて向かっていたら気が付いたらスラム街に居て、感じた所を探してたらこの子が居たの」

「この子って?あっレンカに運ばれてた奴ね!なに勝手に私のレンカに抱き着いてるの!」



私のレンカってなに言ってんのこのマスター、、、まぁ実際に所有物みたいな事にはなってるけどさ。




「おねえちゃん?」

「誰がお姉ちゃんよ!」

「そんなに怒らなくてもいいじゃんお姉ちゃん!ねーこわかったねー?」

「ぐぬぬわたしだってずっとレンカに抱き着いてたいのに、、、」

「れんか は やさしい よんだら きてくれた」

「レンカを呼んだってどうやってよ」

「ずっと だれか よんでた ほんに  よぶ   たすけるひと    きてくれる、、、」



マスター相手に説明しようとしているようだが、どうやら暖かいスーブを食べて眠くなったのか頭が舟を漕ぎ始めていた。ずっとあんな場所に居て衰弱していた状態だったし仕方ないね。



「そういえばお姉ちゃんはどこに行ってたの?」

「レンカをこんな目に合わせた奴を探してたの」

「おーレーテって妹の事になると怖いのね」

「フィーカ」

「はいはいごめんて」



キレ気味のマスター怖いんだけど、、、わたしにはいつもと変わらない声なのがさらに怖さを増している。

わたしに抱き着いていた子にヘイト向けちゃってるし、ヘイト向けられている当の本人はいつの間にか完全に夢の世界に行こうとしてるし、なんとかして家に居ても大丈夫なようにしなきゃ、、、・



「それはそうとレンカ、この子はどうするつもり?」

「お姉ちゃんがよかったらこの子をこのまま保護したいんだけど、、、」

「保護って、、、レンカ何言っているのかわかる?」



それもそうだマスターとわたしは吸血鬼と眷属であることを隠しながら街に居るのに、部外者の新しい住民を増やすなんて馬鹿もいいところだ。でもなぜか近くに居ないと心配になってきてしまうし何としてもあの子をこの家にとどめなければ。



「ダメかな?」

「うっそういう目で見られると断れないからやめて」

「お願い」

「わかったわかったからその子置いてていいからその泣きそうな目やめて」



うっどうにかして交渉しようと思ってたけど、こんな懇願するだけになったなのは我ながら情けない、、、。



「ほんとレーテは妹好きなんだねぇ、、、それじゃもう看病する人帰ってきたみたいだし私は帰るねー」

「フィーカさん看病してくれてありがとうございます」

「いいのよ!お礼として今度レーテの面白い所おしえてねー」



後ろ手にフリフリしながらそう言ってさっさと出て行ってしまった、、、今度なにかお礼しなきゃ。何がいいかな?料理で返す?何かプレゼントのほうがいいかな?

ようやく2人きりになったからかマスターが安心しきった顔でわたしに寄りかかってくる。傷に配慮してなのかそこまで重さは感じない。



「はぁーフィーカの買い物に付き合わされるし私の眷属がひどい目に遭うし散々な日だったわ」

「心配かけさせてごめんなさいマスター」

「別にいいのよ私の方は、レンカの方が大変だったし怖かったでしょ?」

「うーんどうなんですかね必死でやってたので何とも」

「そんな無理をしなくてもいいのよ」



マスターがそう言うと両手を広げてこちらを見つめてくる。



「こんな大変だった時ぐらいレンカの方から甘えてもいいのよ」

「仕方ないマスターですね」

「なにが仕方ないよ」



傷に響かないようにゆっくりマスターへと抱き着く。マスターの体温が徐々にわたしに移って心も温かく感じる気がする。



「怖かったですマスター」

「そうよね」

「死ぬかと思いました」

「そうよね」



マスターに抱き着くうちに安心感からかそれとも傷を負った影響なのかわからないけどゆっくりと意識をマスターの胸へと落としていく。

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