転生したら街の散策でした。
マスター付きっきりの勉強が始まって1週間程経った頃。わたしがいつも通り夜に血を吸われマスターの膝の上で力尽きて眠っていた。
カーテンから漏れた光が顔に当たり目が覚める。今回は疲れが少なかったのかまだマスターが支度している最中に起きられたみたい。いつもきれいな髪がぼさぼさになっていて寝ぼけ眼で服に着替えてて時々転びそうになっていてかわいい。
「おはようございますますたー」
「あらおはよー」
「今日も学校なんですか?」
「今日はお出かけよめんどくさい人間に頼まれてね」
「前から思ってましたけどマスター結構やさしいですよね」
「そんな訳ないじゃない人間の生活に慣れる為よ」
ツンデレみたいなこと言ってるなこのマスター、、、。
「なんか変なこと考えてるでしょレンカ」
「そんな訳ないじゃないですか」
「素直に言わないと今日の夜はたくさん吸っちゃうぞー」
「それはやめてください」
最近血を吸われてもだるさとか寒気とかは感じなくなったが、それでも血液無くなった時の脱力感はどうしようもない。そろそろ飽きて吸うのをやめてくれないかな。
「そうだもうレンカも家の中で勉強か家事っていうのも暇でしょ?文字も覚えたみたいだしもう外に出てもいいわよ」
「もし文様がバレたらどうするんです?」
「私が魔法で隠すから大丈夫だと思う。それにいざ学校でいきなり隠し始めてもうまくいかないでしょうしもうそろそろレンカの体力増強も考えてるから体を外に慣らしておきなさいこれは命令よ」
マスターの一理しかない命令に反論もできないし、1週間弱家に閉じ込められていたからそろそろ外が恋しくなってきたし正直嬉しい。この世界の街にも興味持ってきたし観光してみたい気持ちがある。
「命令なら仕方ないですね」
「そう言ってても口は笑ってるわよ。これ渡しておくわね」
マスターからズシリと重さを感じるポーチくらいの袋を渡されて確認してみると中から硬貨のような物が入っていた。
「お金ないと満足に見て回れないでしょ?好きな事やっていいわよ!使い方は教えたしわかるよね?」
好きな事と言われてもこっちの世界での娯楽なんて知らないしどうしようかな、、、
レーテ!!来たわよー!!!
外から聞いたことあるような声が聞こえてくる。
「マスター来てますよ」
「あの子来るの早すぎでしょ、、、ほらレンカ一緒に出るわよ」
「え?別に時間ずらしたって、、、」
「今日お留守番いないから魔法で鍵かけるの!そうなるとレンカが出れなくなるから出るの」
「ほんと魔法って便利ですね」
「はいはいこっちに来て出かける前に文様隠すから」
そう言われて手をマスターに預けると少しつぶやいた後手の文様が消えていく。魔法使う時のマスター絵になるなぁ。
「はいこれで今日は大丈夫よ。あと日が落ちる頃に帰り始めること!あと」
”私から逃げないでね?”
体が一瞬硬直する。久しぶりに”お願い”をされてすこしびっくりした。
「今逃げてもまた奴隷落ちが妥当でしょうし逃げませんよ」
「それならよかった♪それじゃ今日は共に楽しみましょ」
正直眷属になってから初めての外出だからとてもドキドキしてる。あっまってマスター今ドア開けられても心の準備が、、、
「遅いじゃないレーテ!」
「あなたが早すぎるのよ」
「まぁいいわそれじゃ一緒にお買い物に、、、って後ろの人はこの前変な体勢していた人?」
「あははそれは忘れてもらえると嬉しいかな、、、」
「あら?レンカたち顔合わせたことあるの?」
「レンカちゃんって言うのね。この前ちょっと玄関先で話してたことあるの。それとあの時レーテが私を置いていったの忘れてないからな」
「そんなの置いて行かれるフィーカが悪いんじゃない」
「どういう思考よ!」
マスターとフィーカという玄関で話した子がギャーギャー大声で喋っている。いや大声なのはフィーカだけなんだけど、、、。でもなんやかんやマスター笑ってるんだよねー学校での友達なのかな?
「それであなた達一緒の家から出て来たけど、、、もしかして姉妹?」
「そうよ私が姉でレンカが妹」
「そうなの?レーテの方がちっこいから妹かと思った!!」
うわぁ、、、すごい言うなフィーカって人。めっちゃマスター青筋立ててるけど気付いてないのかな?
それに友達かぁ、、、前の世界で元気にしてるかな。こっちの世界でも友達作れるといいけど?
「くだらない冗談言ってないで早く行くわよ!」
「はいはい、、、ってあれ?レンカちゃんはどうするの?」
「レンカは別の用事よ」
「そうなの?それならいいか!じゃあまたねーレンカちゃん!」
フィーカさんがマスターに引きずられて見えなくなっていった。仲良しだなぁ、、、そういえば何処に行くのか聞いてなかったな。せっかく別行動なのに偶然出会うとちょっと気まずいよね。
「まぁでも久しぶりに自由な外だー」
1回全力で伸びをしてみる。外の新鮮な空気が肺に入ってきておいしい正直室内の方が好きなのだが限度ってのがある。ずっと野菜食べてないとテレビとかで出てくる野菜が美味しそうに見えるでしょ?それと一緒だよね。
「と言ってもここから完全ノープランな訳で、、、んーとりあえず服買いに行きますか!それと食べ物!」
乙女たるものかわいい服着てたいしマスターから渡される服もかわいいけど自分で選んだ服も来てみたい!それとこの体になってからお腹減らないけど食べるという行為をしてないとなんだか落ち着かないから帰ったら料理しマスターに食べてもらうぞー。
「そうと決まったら市場へgo!人が多い方に向かっていけばたどり着くでしょ!」
そう言って人の流れがある方に歩いていく。歩いていくにつれてどんどん喧噪が大きくなり楽しみも膨れ上がっていく思わずスキップで歩きだしてしまいそうだ。
「そこのお嬢さん随分元気だね!うちの料理食べて行かない?」
「なんの料理です?」
「おっ食べくれるのかい?うちのスープは朝に吸うのにぴったりだよ!」
「それじゃ1つください」
「あいよ!」
注文するとすぐ器にスープを注いで渡してくれた。スープを良い匂いが胃袋を広げてくれる。1口飲んでみると暖かくスッと飲めるようにすっきりした味で確かに朝に飲むのにピッタシだ。
「おいしいです。あっこれ代金です。」
「ありがとうよ!かわいい子に飲んでもらえると元気が出るよ!それと見ない顔だが最近来た子かい?」
「そうです。1週間前ぐらいに来ました。」
「そうかい!それなら学校の試験でも受けるのかな?」
「そうです。対策とかするために少し早めに来たんですよね」
「がんばれよ!これ宣伝になってくれたしおまけのリンゴね!」
「宣伝?」
そういって振り返ると周りの人がこちらをちらちら見ていた。
「かわいい子がおいしいって言って食べてくれればみんな店に興味も持ってもらえるんだよ」
「なかなか商魂たくましいですねあなた、、、」
「あはは言わなかったのは謝るよごめんね?」
「まぁ別にいいですけどそれじゃ市場の場所教えてくれます?」
「あっちの方向に市場あるよ。最近来たんならあっちの方向にあるスラムの方は近づかない方がいいぜ。ここはまだマシだけど最近食べ物の値段高くてピリピリしてるからね」
「ありがとうございます。」
言われた方向に歩いていくと5分ほどで人が多い場所に着いた。多くの人々が取り引きをしていて賑わっている。久しぶりにマスター達以外と喋ったけど不自然じゃなかったかな。
「思ったよりすごい賑わっている。学校もあるし結構大きい街なのかな?おっ魚とかも売ってる!」
潮の匂いはしないし川とかが近いのかな?うーん色々あって悩むねぇ、、、こっち来てからの初めての料理だし手の凝った物作ってもいいけど調理器具も買わないといけないしなぁ、、、うーんスープ物でいいか。パンと野菜と少しの肉だけでいいしね。
「ちょっと買いすぎちゃったかも、、、」
買い物に夢中になっていすぎて気が付けば両手がふさがるほど買ってしまっていた。久しぶりにお外出たからマスターから貰ったお金だけどちょっと財布のひもが緩かったかも、、、
「うーん服も見てみたかったけどこれじゃゆっくり見るわけにもいかないよね、、、帰りますか」
でも久しぶりに買い物したらなんかすっきりしたなー入学テストもマスターから逃げることも不安な事は何一つ解決してないけど息抜きは大事よねー。ん?
「何か聞こえたような、、、」
聞こえた方向に目を向けるとスラム街の方向だ。正直行きたくないけど行かないとダメなような、、、誘蛾灯に引き寄せられるように向かってしまう。まだ市場の綺麗な所からごみや汚物が散乱してるような場所へ、気が付けば下水の香りが肺一杯に広がる場所に居た。
「下から?」
誘われるまま足元にあったマンホールのような物を外して覗いてみると底にはボロを身に纏ってうずくまっている子供が居た。
「は?」