転生したらお勉強開始でした。
「っていう訳で残り2か月間みっっっちりレンカに学校入学のイロハを教えて行こうと思います」
「はぁ」
「そこ!はぁなんてヌけた返事じゃなくてちゃんと返事するように!」
あの後目が覚めたらいつも通りマスターはいつの間にか居なくなっていた。その後いつも通り家事をしていて夕方にマスターが妙に元気に帰ってきたと思ったらこれだ。
「マスター近いです」
「こっちの方が効率良いでしょ?それにかわいいレンカの顔を見ながら教えたいんだもの」
距離感が近いマスターは、肩と肩が触れ合うような近距離で教えてこようとしていた。わたしは普通に学びたいので距離を離したいのだが離した分だけ近づいてくる。
「それで?学校入学のイロハというのは?」
「ふふふそれを教える前にテストをします!」
テストと聞いて良い思い出はない。テスト期間になるとずっとドキドキしながら過ごしていた記憶しかない。
「ますはレンカは碌な教育を受けれない環境に居たからどの程度まで知識があるかを図るものだよ」
「例えば?」
「読み書きできるかとか、どこまで計算できるかとか調べるものだね」
「あーなるほど」
「入学テストがあるんだからちゃんと取り組まなきゃダメだよ!とりあえずテスト用紙作ったから解いてみて!わからなくても後でちゃんと教えるから無理に埋めなくてもいいよ」
とテスト用紙が目の前に差し出されてからめくって内容を見てみるが文字がほぼほぼ読めない。こっちで生まれた村では子供は労働力でまともな教育を受けれなかったしそもそも村のみんなから無視をされていて教えてもらう事すらできなかったから少しの単語しかわからないのは仕方ないじゃない。本を読んだときは挿絵があったし配慮されてたみたいだから読めた?けど、、、
あーこれ終わったわと思いながらテスト用紙を眺めていたら数字が書かれている所に当たる。数字は村で買い物している所とか買えもしない食べ物の値段を見ていたら自然と覚えていた。
算数の問題が並んでいたのでとりあえず解いていく。時々文章問題が出てきて空白になるが算数の所は大体埋めることができた。
「はいそこまで」
制止の声が上がったので手を止める。
「はい回収っと、、、なにこれ?ほぼ算数の所だけ書かれてる、、、」
「文字がわからなくて」
「それはわかるけど、、、レンカどこで数字の計算習ったの?」
「えっと、、、独学?」
「教育受けたことないのに小数も分数も計算できてるし2桁同士の掛け算もできてる。もう算数の方面だけだと最低限商人になれるわね、、、」
マスターが顎に手を乗せ考え込んでいるみたいだ。まぁそうだよね貧しい村で虐待され身売りされたわたしが計算できてるの意味わかんないよねー。村にちょくちょく来てる商人も四則演算ぐらいしかしてなかったし村の人間なんて掛け算できてなかったもの。
「まーとりあえず今のレンカは文字を覚えなきゃダメね!」
「ですよねー」
「安心して!先生としてしっかり教えるからね!」
マスターがまだ無い胸を張っていてとても張り切っているみたいでかわいい姿につい微笑んでしまうが勉強中だから気を引き締める。あっ教えるターンになったからってまた肩が当たるくらい近づくのやめて
「まずは1文字1文字教えていくわね」
そう言ってからマスターの授業が始まった。まずこの国での文字は28種類から構成されているみたい。1文字1文字丁寧に3回ずつ書いていく。時々マスターから「上手」「いい」「さすが」等褒め言葉か飛んでくるものだから明るい空気で勉強できて楽しい。やはり人間は褒めて伸びるのだ人間じゃないけど。
「言語ってほかにあったりするんですか?」
「まだまだあるわよ?私達吸血鬼だけの言語とかエルフ語とかドワーフ語とか」
なんとなく聞いてみたが地方の言葉の差というより吸血鬼と人間以外の種族が出てきてくれて嬉しい。やっぱりエルフとドワーフは異世界に来たら居てほしい種族だよねー。どこかで見れたりできるのかな?
「エルフの血は味気ないし、ドワーフはアルコール感強くて嫌いなのよね」
すごいこんな捕食者からしか出てこないセリフが飛んできた。
「あーじゃあ一番好きな血は何なんですか?」
「それはもちろん、、、」
「そんなタメないで早く教えてくださいよ」
「レンカの血に決まってるでしょー!」
「しまった」そう思った時にはマスターが首筋に噛みついておりニコニコ視線をこちらに向けていた。なんておバカな質問をしてしまったんだわたしは
「ちょ!?離れてください!」
「んーほいしい!」
「吸いながら喋らないでください!」
抗議の声を上げてみるがニコニコしているマスターには1ミリも届いてないし、力が抜けてきて声を大きく出せなくなって来て抵抗すらできない。
結局なすがままに血を吸われいつも通りマスターの膝に頭を乗せることになってしまった。。。
「やっぱりレンカの血は最高ね」
「いきなり吸うなんて、、、」
「まぁまぁちょっとした味変みたいなものだから許してよ」
「そんなので変わるものなんですか?」
「うーんちょっと言葉にしずらいけど感情の味みたいなのがあるのよね」
「感情の味?」
「大体の人は吸われる時に恐怖を感じているのだけど恐怖ってザラザラした味になるのよね。魅了かけて甘さを無理やり出してもいいけど食事に魔力使うのももったいないし出した甘さも変なのよねー」
「吸っている相手の感情がわかるってすごいですね」
「ありがとうねレンカ。でも味からの推測だから絶対わかるって感じじゃないなのよ?ちなみにレンカの吸われてる時の感情知りたい?」
「こういう時のマスターはからかってくるから対して参考にならないし、なにより恥ずかしいから結構です」
「ご主人様の事理解してきたようでうれしい♡」
またふざけてる、、、と思っていたらマスターの手でいきなり目をふさがれて目の前がまっくらになった。
「何するんですか」
「文字を教えてるだけってのもあんまり楽しくないでしょ?だから魔法の練習と一緒にやってみようかなって」
「魔法の練習と?」
「レンカは昨日魔力を線で認識できてたから、私が体内の魔力で文字を作成するからそれを見て何が書かれているか当てるのよ。ほら当ててみて」
渋々魔力を見てみようと集中すると昨日見た赤い線が見えてくる。線をよく見てみるとマスターのお腹辺りに線で作られた文字が見えてきた。作られている文字を答え正解しているとマスターが優しく撫でてくる。ランダムに3週ぐらい出題された辺りでマスターの手が離れていき部屋の明かりに目を焼かれる。ようやく明るさに目が慣れてきたと思ったら満面の笑みのマスターがわたしの顔を覗いていた。
「すごいわレンカ!ほとんど正解だったわよ!レンカは覚えるの早いのね」
「そんなことないです」
「そんなことあるよ!さっき教えたのを当てるのもすごいけど、魔力を読み取れる人なんて学校でも少ないよ?」
もうやっぱりすぐ褒めてくるんだからこのマスターは、、、それはそうと長い時間魔力を見つめていたからかすごく体がしんどい。
「そういえば今日はレンカの体に色は見えた?」
「いえ何も見えなかったですよ」
「そう、、、」
マスターは何か思う所があるのか顎に手を当てて考え込んでいる。なんだかわたしを見る目が少しいつもと違うのだがなんなんだろう。なんだか可哀想なものを見てるような、、、
「レンカも長い間私の魔力を見ていたからもう疲れたでしょう?今日はもう寝ましょうか」
「ええ、、、かなりしんどいのでお願いします、、、」
「寝ちゃった?レンカの体力を増やすことも考えないとねぇ、、、」
ほぼほぼ閉ざしてしまった意識から微かにマスターの声が聞こえてくる。運ばれているのか体が揺られている感覚がある。ふわふわしている今だと心地良く感じる。
「ふふふ毎日ベットまで運んでるけど毎回顔を擦ってくるからかわいいのよねえ。そんなに人に触れてこなかったの?」
「それと私の魔力は見えるのにレンカ自身の魔力を見ることができないのは何でかしら?まったく魔力が無いってなら魔力自体見えないはずなんだけど、、、うーん魔力が無いと魔法が使えないんだけどどうしようかなレンカ魔法好きみたいだったし何かしてあげないとなー」
マスターのそんな声が聞こえたような聞こえなかったような、、、布団を掛けられた感覚を最後に意識を閉じましたとさ。