転生したら訪問客に遭いました。
またマスターの膝の上で寝てしまった、、、。出会って時間もかかってないしいきなり血を吸ってきたり放置してくる人に膝枕されて熟睡するなんてわたしそんなにチョロかったかなぁ。
「ふあぁ~」
寝起きでふわふわしている頭を無理やり上げて回りを見渡してみるがマスターの脱ぎ捨てたであろう服が地面に放置されてるのしか目に映らない。
「寝ている間にマスター学校に行っちゃったのかな?」
「、、、とりあえず顔洗お」
そう言ってバシャバシャ顔を洗ってみるが当然温水が出てくる訳もなく冷えた水を顔に浴びる。
「まだこの世界に慣れないなー」
文明レベルの差を感じる度にそう思う。一度上がった生活基準から下げるのはなかなか心に来るものがあると日々思う。
「ん?私の髪の毛ってこんなにつやつやしてたっけ」
一昨日まで奴隷商の馬車に乗って居た身だったし、貧しい村では髪の毛のケアなんて到底できる状態ではなかったから髪の状態は目も当てられない程だったはずなんだけど、、、。
「見た感じ女優さんみたいにきらきらつやめいていてて、、、これほんとにわたしの髪?」
「、、、引っ張ってみるか」
不安になりながらも髪の毛を一本引っ張ってみるがしっかり痛い。
「いててちゃんと地毛じゃん、、、」
なんでこんなにつやつやな髪になってるんだろう?
マスターの眷属になった時に何か起きたのかな、、、うーん血を吸われている時に何かされてるとか、、、いやマスターすごくわたしの頭撫でてくるときに何かケアしてくれてるのかな、、、?眷属になった時の基礎能力強化のついでとか?
一通り考えてみるが心当たりがどれもマスターと出会ってからのものばかりで原因がマスター以外考えられないのだが、、、。
・・・放置だね!マスターが原因ならどうせ逃げられないし!
「まぁ綺麗になる分にはとりあえずいいか」
何も不利益被ってないしわたし髪の手入れはメンドクサイと感じる側の人間だから自動で手入れされるなら大助かりだね。
しっかし髪質がこうもよくなるとかわいさが跳ね上がるね。銀髪だしお姫様みたいに見えるし。
自分自身をかわいいと思うとおしゃれする欲も湧いてくるよね。いま10歳に生まれ変わったからどんな格好しても不自然に見えなさそうだし。
まぁ今はマスターの住処に閉じ込められてるからおしゃれできないけどさー。でもマスターの膝で寝ている間に着せれてた?この服黒中心でフリフリとかついててかわいい服なんだよ。いつかマスターから
この世界でのおしゃれについて聞いてみてもいいかもね。
「今日も放置されてるし家事しときますか。」
とりあえず片付けしようと部屋を見渡すと昨日と同じくいつの間にかマスターが脱ぎ捨てた服が消えている。
「どういう原理なんだ?」
昨日も目を離した隙に消えていたしなんかの魔法かな?魔法で好きに服を出し入れできるとか?いつでもゲームみたいにコーデ変えられるってロマンだよねぇ。
わたしも魔法使えないかなぁ、、、。でも素質がないとダメらしいけどどこで素質なんて見るんだろ、、、。
魔法って村だと一人も魔法が使える人居なかったし珍しいのかな?
コンコンコン
玄関扉からドアノッカーの音が聞こえてきた。
「昨日マスターが来るって言っていたお母様かな?」
はやく返答しない失礼ですよね。
「はーい今出ますー!」
出迎えようと玄関扉に手をかけた瞬間体が動かなってしまった。
あーこれ昨日マスターが言っていた”家で待っててね”がまだ有効なのか。
なんとか動く部分を使って体が自由になれる所まで戻らないと、、、。
「レーテ”?早く行かないと時間ヤバいわよー!!」
レーテ?マスターの名前かな?それよりも体の自由を取り戻さないと。このモーション途中でストップボタン押されて止まったみたいな恰好を見られるのは避けたい。
「もう!開けるよー!!」
えぇ?ちょっとそんな勝手に人の家の玄関開けるのはわたしどうかと思うな。
そんなことを考えている内にキィと扉が開いて外に居た人の姿が見える。
「レーテ!!早く行かなきゃ、、、えぇとすみません誰ですか?なんか変な体勢ですけど」
赤い色の髪の毛に青い瞳の少女が困惑した表情でこちらを見てくる。サボ〇ンダーみたいな恰好で止まっている姿を見られるのはすごく恥ずかしい。
「あはは、、、変な体勢なのは気にしないでもらえると助かるかな」
「そうだ!レーテ居ますか?今日こそは一緒に登校しようと家の前張ってたんですけど全然出てこなくて!」
家の前張ってたってストーカーかな?普通に怖いんだけと。
「レーテって誰です?」
「あなたみたいな銀髪で赤目のちんちくりんです。あなたとすごく似てるけどもしかして姉妹だったりします?」
レーテってマスターの事だったのかなんかいい名前だね。
「姉妹ではないですねー彼女ならもう家から出て学校向かってると思いますけど。」
「え!もう行ってるの!?家を張っていた意味ないじゃない!遅刻しそうですしそれでは!!」
「あっちょっとこの体の硬直を取ってくれる手伝いを、、、」
行っちゃった、、、走っていくのアスリートぐらい早いんだが。マスターもあんなストーカーじみた人に追われてるの不憫だなぁ、、、。
結局彼女の名前すら聞いてないし、この変な体勢で固まってるのも解消していない。少しづつ動けるようになってはいるが以前ほぼほぼ動けない。
なんで来客対応しようとしただけでこんな目に、、、。
コンコンコン
さっき閉まった目の前にある扉からドアノッカーの音が聞こえる。
さっきの子が忘れ物かなんかで戻ってきたのかな?
入るわよー
全然さっきの子とマスターとも違う声なんだが?なんか普通に大人の女性の声が聞こえるんだか?
なんかナチュラルに入ろうとしてるけど、この世界の人はすぐにドアを開けてしまうの?
体が動けない中無常にも扉が開いてそとの人が見えてくる。
短いがきれいな光沢を放っている銀色の髪、ワインのように深く赤い瞳、身長が高く、右目に傷があるがそんなのも気にならないぐらい整っている顔の女性がそのまま家に入ってくる。
またその後ろに非常に清潔感と品格を感じられる執事と思われる人がひっそりと立っていた。
「あら玄関で待ってるなんて立派ね。それにしてもすごくレーテに似てるわねぇ。それに、、、珍しいわね。見てみなさいジェレミーこの子面白いわよ。」
「あ、あのどなた様ですか?」
「あら?娘から聞いてなかったの?私がレーテの母のアンナよ。」
動けない中物凄く体中を観察されて恥ずかしいし。それになんか傷が入ってる顔なのもあるだろうが圧を感じるのだ。わたしは小動物よろしく体を縮みこませるしかできない。
「アンナ様そんなに体をマジマジと見ながらお話しされては、お嬢様が作った眷属の方もうまく喋られないでしょう少し落ち着かれては?」
「そんな事言わないでよジェレミー、娘がようやく眷属を作ったと思ったら変なポーズして出迎えてくれるしこんなに面白い子なんだからちょっとくらい浮かれてもいいでしょう?」
わたしの何がそんなに面白いのだろう、、、
「あなた名前は?」
「ひ、広橋蓮花です、、、。」
「レンカね!これから大変だろうけど娘をよろしくね。」
なんだかよくわからないけどなぜか好印象のようだ。勢いすごいなこの人。
「こっちは私の眷属のジェレミーよ。」
「よろしくお願いいたします。」
「よ、よろしくお願いします!」
優しそうな声でなんだか落ち着く気がする。
「自己紹介も終わったみたいだし家に入れてくれる?ちょっと長旅で疲れてるのよね。」
「そうしたいんですけど体が動かなくて、、、」
「アンナ様恐らくお嬢様の命令で動けなくなっているかと」
「あーなるほどね!これなら”家から出るな”かな?出迎えようとドアに近寄ったら発動したみたいね。家の中に押し込めばいいか。」
ちょっいきなり抱えないで、このサボテンダーのポーズだと落ちそうで怖い!
抱えられながらリビングまで行った辺りで体の硬直が取れた。ようやく自由に体を動かせる軽く感動する。
「あの、動けるようになったのでそろそろ降ろしてもらえると助かるのですが、、、」
「あらそう?んーもう少し娘の物を持って居たかったけどこれ以上は怒られるかもね。」
やっと降ろしてもらえた、、、体の自由の喜びの次は地に足がついた喜びか。
「そういえばレンカはどうやって娘の眷属になったの?」
「なったっていうか眷属にされたがあってますね。奴隷商の荷車に乗せられている所にマスターが来て無理矢理眷属にされました。」
「あらーよほど気に入れられたのね♡レンカはかわいいし良い匂いもするから私もちょっと味見したk」
「アンナ様お嬢様に嫌われますよ。」
「そんな事わかってるわよ冗談よ冗談」
マスターのお母様がヒラヒラとジェレミーさんに手を振ってケラケラ笑っている愉快そうな人だ。
一瞬ヒヤッとしたがマスター以外から吸われることはなさそうで安心する。いやできればマスターにも吸われたくないけどさ。
「あら?この部屋ベッド一つしかないけどレンカは床で寝てるの?」
「眷属にされてからマスターに血を吸われてヘロヘロになった後にマスターに膝枕されてそのまま意識落ちてる生活ですね」
「なんてうらやまs」
「アンナ様」
マスターのお母様はかなりマスターを愛しているみたいだね。少し愛が行き過ぎな感は出てるけど。
「こほんさっきも言ったけどちょっと私ここに来るのに疲れたみたいだから少し休ませていただくわ」
「そう言ってお嬢様のベットで寝たいだけでしょう?」
「まぁまぁ眷属同士でしゃべりたい事もあるでしょ?ジェレミーも教えたい事あるでしょうし。」
「そうではありますが、、、」
「それじゃ私休んでるか仲良しててねー」
マスターも自由人ならお母様も自由人だな、、、。
「なんか大変そうですね。」
「いえいえ好きで眷属やってますから。」
「自分から眷属になったとかそんな感じですか?」
「そんな感じです。すみませんがレンカさん戦闘経験とかお持ちですか?」
「眷属にされるまで奴隷にされかけてた身売りの娘にあると思います?」
「でしょうねしかし眷属である以上常に人間に狙われています。私はこうやってアンナ様と街中に居ますが、これは万が一見つかっても倒すか逃げれるだけの自信があるからです。」
ジェレミーさんの言っていることは多分正しい。小説みたいに特殊な能力も無ければ一般人より強いだけのわたしは見つかったら終わりだ。
「見つかってあなたが殺されるだけなら別にいいです。まだ日も浅いですからお気に入りのペットが死んだだけで済みます。ですが」
ジェレミーさんからとてつもなく圧を感じる。正面から受けていると立つのすら苦しくなる。
「万が一、あなたが人質となりお嬢様が罠にかかり生死の危機に入ったとなれば、このジェレミーがあなたを殺します。」
さっきの圧がさらに大きくなる。これが殺気と言うのだろうか冷や汗が出てきて息を行うのすら困難になってくる。
「だから私が訓練してあげます。大丈夫眷属の体は頑丈ですからギリギリまで詰めてあげますよ。」
「はい、、、。」
ジェレミーさんのとてつもなく怖い顔に私はそういうしかありませんでした。